ネガティブ性格、優柔不断、プライド過剰…自分の困った性格を解決するのは“意志”じゃない!?

ビジネス

公開日:2020/9/28

『科学的に自分を変える39の方法』(堀田秀吾/クロスメディア・パブリッシング:発行、インプレス:発売)

 今の自分を変えたい――。仕事や家庭、恋愛で悩んでいると、自分を変えたいという欲求も生まれてくる。だが、なかなか簡単には変われないのが現実だ。「変わりたい」と思えたことは素晴らしいのだろうが、意志の力だけで努力を続けるのはむずかしい。結局、「自分はずっとこのままなのか…」と諦めかけていないだろうか?
 
 自分を変えるために必要なのは、意志ではなく、科学的な「アクション」である。そう語るのが、『科学的に自分を変える39の方法』(堀田秀吾/クロスメディア・パブリッシング:発行、インプレス:発売)だ。よくある人の悩みに対して、研究によって裏打ちされた科学的アプロ―チで解決を試みる。心理学や脳科学の知見を活かすことで、確実な効果を得るのだ。具体的にその悩みをみてみよう。

私って嫌われてる? マイナス思考を断ち切るには

 人のマイナス思考は、なかなか変えられない大問題。周りの人たちからは「考えすぎだよ」「ポジティブに考えようよ」とアドバイスされるが、意識するだけで解決できるなら悩んでいないだろう。思考のクセを変えるのはそう簡単ではない。本書によれば、人によっては、気晴らしのヤケ酒やふて寝でネガティブな思考を払拭しようとするが、実はそれほど効果はないそうだ。

 では、科学的にはどうするのが正解なのだろうか。本書は、ネガティブな思考を忘れるためには、「寝る前の気分転換」が重要だと語る。北京師範大学の研究では、気分転換をしてから睡眠をとったグループは、単に睡眠をとっただけのグループよりも、いやな記憶が残りにくかったそうだ。つまり、ネガティブな感情やマイナス思考に陥ったまま寝るよりも、楽しい・うれしい気持ちになるものに触れてから寝るといい。詳細は本書に譲りたいと思うが、マイナス思考にはさらに長期的な解決策もある。合わせて参照していただきたい。

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どっちが正解なの? 優柔不断なあなたには

 仕事も人生も、決めなければいけないことの連続である。しかも、自分の選択がどんな結果をもたらすかは、後になってみなければわからない。決断するときには正しいと確信できないから、自信がないといつまでもずるずると決められない…。筆者もまさにこのタイプで、仕事で企画を立てるときにもいつも悩んでしまう。もし失敗したらどうしよう、と考えてしまうのだ。

 著者がおすすめするのが「自信のある人をマネすること」。たとえば、本を買うか迷っているとき、自分と好みが似ているツイッターの人が「おもしろい!」と言っているものを選ぶと、当たることが多い。こうした「好みの似た人の選択をマネる」ことの有効性は、南デンマーク大学の研究でも実証されているという。

 ビジネスにおいても、「TTP(徹底的にパクれ)」としばしば言われる。先人たちが考え抜いた今ある形をマネることで、やがて自分でもオリジナルなものが作れるようになるのだろう。決断の遅い人は、まずはマネをする“誰か”を決めてみよう。決断のプロセスを繰り返す中で、自分の選択にも自信が持てるようになるはずだ。

 本書では他にも「プライドが高い」「完璧主義」「時間にルーズ」「気が利かない」など、“あるある”な私たちの悩みを科学の力で解決するヒントを具体的に紹介してくれる。どうにも変えられないと思っていた自分の性格、変われない自分を責める前に、本書のヒントにぜひ触れてほしい。

文=中川凌(@ryo_nakagawa_7