台風に備えて、絶対にやっておきたい対策とは? 防災のプロが実践する水害への備えを具体的に紹介!
更新日:2020/11/9
日本各地で豪雨による被害は毎年増加傾向にあります。また、水害で毎年多くの方が亡くなっているのも現実。水害大国・日本で暮らす私たちにとって、備えは必須です。そこで、水害への備えについて、国際災害レスキューナースとして25年間、さまざまな被災地での救助を経験してきた辻直美さんにお話を伺いました。
安全に避難することが最大の防災! 水害への備え
「防災について基本的な考え方は、地震も水害も同じです。まずは前回の記事
(https://develop.ddnavi.com/tokushu/676130/a/)
でお話しした、
①ハザードマップで自宅周辺の災害リスクを確認
②被災後の生活をシミュレーションする
③シミュレーションをもとに、非常用持ち出し袋を作る(※)
をやってみてください」
「地震と違うのは、台風や洪水などの水害はあらかじめ来るタイミングが分かっているという点。そのため、安全に避難することが最大の防災になります。ハザードマップで自宅周辺の冠水や土砂災害が予想される場合は必ず避難すべきです。日ごろからアンテナを張って情報収集しておくと、いざというときに避難のタイミングの見極めや状況把握に役立ちます」
※水害の場合はリュックの中身が濡れないようにビニール袋に入れるなどの工夫をしましょう。
水害の情報収集の仕方
・アプリのプッシュ通知を利用する
「最近のお天気アプリは優秀です。自宅の地域を登録しておくと急な天気の変化や災害情報を細やかに知らせてくれます。私は『Yahoo!天気』を愛用しています」
・Twitterを利用する
「災害時、テレビやラジオよりも情報が早いのはTwitter。とはいえ、デマ情報が拡散されている場合も。平時に信用できるアカウントを探してフォローしておくのがおすすめです。気象庁
(@JMA_kishou)
と自治体のアカウントはフォローしておくとよいでしょう。
また、お住まいの地域に台風が来ない場合でも「#台風●号」とハッシュタグを付け、情報発信しているアカウントを見ておきましょう。たとえば、あなたが子どもを持つ親なら、子どもがいる人のツイートをチェックすれば、発災時の状況をイメージしやすくなります。
タイムラインに流れるたくさんのツイートを見るうちに自然とデマを見抜く目も養われてきます。何も起こっていないうちに情報に触れておくことは大切!」
台風が発生! 雨が降り始める前にしておくこととは?
「私は雨が降り始める前に、必ず次のことを行っています」
ベランダや庭にあるものはすべて家の中に入れる
「ベランダに置いているスリッパや物干し竿、鉢植えなどをすべて家の中に入れます。庭でペットを飼っている方は、小屋とペットを家に入れるのを忘れないで」
ベランダの排水溝の掃除をする
「ベランダの排水溝には、葉っぱやほこりがたくさん詰まっています。ここで水が堰き止められてしまうと、ベランダに水が溜まって窓から床上浸水する恐れも。意外と見落としがちなので、マンションの高層階に住んでいるからと安心せずに確認を。一軒家のベランダも例外ではありません」
いつも置いている備蓄よりも多くなるように買い出しに行く
「ローリングストックとして10日分の水と食料、携帯コンロのガスボンベなどを備蓄していますが、台風が来ると分かったらさらに7日分買い足します。
2019年9月に千葉を襲った台風15号の大規模停電の際は、被災直後に東京電力が2~3日で復旧と発表したにもかかわらず、結局1カ月近く停電が続きました。停電すると給水施設が止まり連鎖的に断水します。生活用水が使えなくなるので、備蓄は多すぎるくらいがむしろ適切です。
直前になると買い占めが起こり必要なものが手に入りにくくなる場合があります。私は、台風発生の時点で買いに行くようにしています。いつも食べているもの、使っているものを備蓄として購入するので、被災しなかった場合でも無駄にはなりません」
早々にお風呂に入る
「断水すると次にいつお風呂に入れるか分かりません。台風が直撃する日は早めにお風呂に入っておきます。お風呂の後はバスタブやバケツなどに生活用水を溜めておくとさらに安心です」
窓ガラスを補強
「2020年9月に九州を直撃した台風10号クラスの強い台風の場合は、養生テープで窓ガラスを補強しておきます」
バッテリーの充電
「スマートフォンの携帯用充電器のバッテリーを確認。家にあるすべての充電器を100%充電して、停電に備えます。災害時に情報収集は命綱なので、充電が切れないよう対策するのは必須。さらにソーラー式の充電器があれば万全です」
次回は、辻さんに、水害時の避難に関する読者の疑問についてお答えいただきます。 避難するタイミングの見極め方や、家族構成や状況に合わせた具体的な避難計画などをご紹介しますので、回答を参考に防災にお役立てください。
取材・文=箕浦 梢