アイドルとは?/巴奎依の社会不適号①

アニメ

公開日:2020/10/2

巴奎依
撮影=山口宏之

皆さん初めまして。巴奎依と申します。

この度、ダ・ヴィンチニュースさんにてコラムを書かせていただくことになりました。
コラムを書いたり、改めて人に文章を届けるというのは初めてのことなので、拙い文章かもしれませんがお付き合いいただけると幸いです。

まず私が何者かと言いますと、つい先日アイドルグループを卒業しました。
約8年間所属していたA応Pという、全員がアニメオタクなグループを先日8月の頭に卒業しました。

元アイドルと名乗るのが世間的にはとても分かりやすいと思うのですが、実はA応Pと言うグループは、自らをアイドルとは名乗っていないんです。

最近はとてもアーティスティックなアイドルグループがあったり、喫煙を公言しているアイドルがいたり、少し前だと一夫多妻制度のアイドルグループがあったり。

アイドルという言葉が多様化している今、その概念がねじれにねじれていると思うので、今回は私が思うアイドルとは何か?についてお話をしようと思います。

人がアイドルや推しについて話しているのを聞いていると、日本の「アイドル」の概念って二極化しているように思います。

職業アイドルと、精神的アイドル。

前者、職業アイドルは分かりやすいですよね。歌って踊って、握手会をして。
そういう意味では私の所属していたA応Pも、私自身も、非常にアイドルらしかったと思います。

後者の精神的アイドルとは、少女性や偶像感、精神力のようなものだと思っています。
この少女性を求められることが私はすごく苦手でした。
変化しないことを強要されているような、その感覚にだけは唾を吐いて活動していました。

なのでそういった意味では、私はアイドルのようでアイドルではなかったんじゃないかな?と思います。

移り行く感情を理解されたくはなかったし、何も強要されたくなかったし、何よりファンを困惑させるのは大好きでした。

アニメオタクグループに所属しているのにステージでアニソンを一切歌わなかったり、
A応Pは自身をアイドルと名乗らないのに私、巴奎依は自身をアイドルだと名乗ってみたり。

今思うと、とてつもなく天邪鬼で扱いにくい人間だったなと反省しています…。

そんな8年間の中で見つけた私の思うアイドルとは、武士道に限りなく近いものでした。
というよりは、武士道がなければアイドルを続けるのは難しいんだと思います。

逆に言えば、天邪鬼でアイドルらしい愛嬌の1つもない私が8年間続けてこられたのは、ただただ己の武士道を曲げられなかったことがプラスに働いたからだと思っていて、誠意だけを胸に戦うことができました。

ファンと距離の近い昨今のアイドルには自然と誠実さを求めたくなるし、距離が近いからこそ誠意があるのか、顕著に見えてしまうんだと思います。

現在進行形で活動しているアイドルの皆さんにはきっと無意識にも自分の武士道があって、中には腹を切る覚悟で活動している人もいますので、元アイドルとしては、その武士道を持ったアイドル達を今も心から尊敬しています。

ジャパニーズアイドルには、ジャパニーズ武士道が備わっているのです。

(次回更新は10月9日の予定です)

ともえ・けい
1月5日、東京都出身。2012年よりA応P(アニメ“勝手に”応援プロジェクト)のメンバーとして活動をスタート。2020年8月2日に、A応Pを卒業。「DJサブカルクソ女」としても活動中。社会不適合者(自称)。

公式Twitter:@kei_tomoe
公式Instagram:kei_tomoe_official