森川葵「もっと孤独なものだと思ってたけどデビュー10周年を迎えて、現場で出会う仲間の大切さに気づいた」
公開日:2020/10/11
毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、女優の森川葵さん。本誌では「事あるごとにページをめくる」という一冊『自由な建築』への想いをたっぷり語ってくれた。ここでは、森川さんがヒロインを務め、もうじき公開される映画『リトル・サブカル・ウォーズ ~ヴィレヴァン!の逆襲~』について聞いていこう。
2019年に放送されたドラマ『ヴィレヴァン!』。遊べる本屋「ヴィレッジヴァンガード」を舞台に、サブカルを愛する個性の強い面々が「好き」と向き合うストーリーが描かれた。放送は深夜にも拘らず、サブカル好きを中心にカルト的な人気を集めた。その映画版が10月23日より公開される。それが『リトル・サブカル・ウォーズ ~ヴィレヴァン! の逆襲~』だ。
本作で森川さんが演じるのは、文学少女・リサ。実に1年ぶりの続投に喜びもひとしおだったが、それ以上に驚きが大きかったという。
「映画版の制作が決まったときは、『まさか!』という気持ちでした。キャストのみんなとも仲良くなって、また一緒にお仕事したいとは思っていたものの、『ヴィレヴァン!』を再び撮ることになるとは思ってもいなかったんです。だからキャストが全員続投するとわかったときは、本当にうれしかった。撮影の合間にはプライベートの話で盛り上がって、とても和気あいあいとした現場でした」
一方で、リサを演じる感覚を取り戻すのは少しだけ不安だったそうだ。
「リサは人とコミュニケーションを取るのが苦手な子で、自分の内面をひた隠しにしているんです。でも、信頼できる仲間と出会ったことで、ちょっとずつ心を開いていく。ドラマ版ではそんな変化も演じました。ただ、1年空いたことで、リサの繊細な感覚を思い出せるのか不安があったんです。結果的に、演じながらリサを取り戻していった気がします」
ドラマ版ではサブカル好きたちによるハチャメチャな青春の日々が描かれたが、映画版で映し出されるのは、予想の斜め上を突き進む物語。「サブカルが禁止され、取り締まられる」というSFテイストのある世界が繰り広げられるのだ。
「ドラマでは非常にリアルなストーリーが描かれていたので、映画の台本を読んだときはびっくりしました。急に夢の中みたいなお話になって(笑)。でも、やっぱりサブカルに特化している部分は変わっていなくて、さまざまなサブカルワードが出てきます。覚えるのは大変でしたけど、サブカル好きな人からすれば『わかる、わかる!』って共感していただけるだろうな、と思いながら演じました」
文学を愛するリサのように、森川さんも「好き」を大切にしながら生きている。休日には大好きなアニメを流し、ときには編み物や陶芸に没頭することもあるそうだ。そんな森川さんにとって「好き」とはなんだろう?
「私にとっての『好き』は原動力だと思います。ふだん、なんとなくふたつのことを同時に進めていることが多くて、振り返ったときに『なにしてたんだっけ?』ってなってしまうことがよくあるんです。でも、編み物や陶芸は、それだけに集中していないと作品ができあがらない。その集中力が求められる感じが好きなんです。精神を集中させていると体の力が程よく抜けていくし、いつの間にかつらいことも忘れられるから、リフレッシュできるんですよ」
「好きなこと」でリフレッシュしながら、女優業に邁進してきた森川さん。気づけば、今年でデビュー10周年を迎える。がむしゃらに走り続けてきた10年を振り返って得たものはあるのだろうか。
「仲間、ですね。芸能のお仕事って、もっと孤独なものだと思っていたんです。たったひとりで頑張るしかないような。でも、『ヴィレヴァン!』でキャストのみんなと再会したときに、ひとりで頑張るのではなく、仲間を信頼しながらみんなで作品をつくっていくことが大切なんだって気づかされました。ありがたいことに『ヴィレヴァン!』に限らず、続編に呼んでいただく機会があるので、だからこそ、それぞれの現場で出会った仲間を大切にしようと思っています」
取材・文:五十嵐 大 写真:山口宏之
ヘアメイク:石川奈緒記 スタイリスト: 平田雅子 衣装協力:ドレス15万円、ニット5万7000円/以上、M MISSONI(三喜商事TEL03-3498-6633)ピアス7万5000円、右手人差し指のリング2万7000円、右手中指のリング7万円、左手人差し指のリング2万7000円/以上、ALIITA(パラグラフTEL03-5771-8809)
映画『リトル・サブカル・ウォーズ 〜ヴィレヴァン!の逆襲〜』
監督:後藤庸介 脚本:いながききよたか 出演:岡山天音、森川 葵、最上もが、本多 力、柏木ひなた(私立恵比寿中学)ほか 配給:イオンエンターテイメント 10月23日全国ロードショー
●2019年に放送され、カルト的人気を誇ったドラマの映画版。遊べる本屋「ヴィレッジヴァンガード」を舞台に、サブカルが奪われてしまった摩訶不思議な世界を描く。杉下(岡山)とリサ(森川)は、サブカルをいかに取り戻すのか!?
(C)2020 メ~テレ
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