「この人また自分の感想を言っているんだな~」他人の言動に傷つかないために優しいあなたができること
更新日:2020/10/5
生きているとさまざまなタイプの人に出会う。あまり出会いたくないのが、相手を自分の都合で振り回すタイプの人。他人を振り回しやすい人には、お互いの暗黙の了解をどんどん崩していき、相手を巻き込んだりコントロールしたりする特徴がある。さらに悪いことに人間関係が破綻する原因が自分にあるとは、これっぽっちも思っていない。
ここ数年、こうした人間関係の悩みや生きづらさを解消する言葉をSNSで発信する人が増えている。中でもTwitter「ゲイの精神科医Tomyのつ・ぶ・や・き」
(@PdoctorTomy)
は、「心が軽くなる」「生きるのがラクになる」と多くの人の共感を呼んでいる大人気アカウント。オネエ口調がやさしいけれど的確でわかりやすいとフォロワーが急増し、本格的にスタートしてから1年あまりでフォロワー数が20万人に達する勢いだ。
そんな精神科医Tomyの最新刊『人の好き嫌いなんていい加減なものよ。他人に振り回されないためのTomy流処世術』(精神科医Tomy/KADOKAWA)は、どんな状況でも他人に振り回されずに生きていく方法を、具体的な58のケースとともに紹介している。
思春期の息子に振り回される母親
【Tomy’s Advice】
思春期にはとにかく何に対してもイライラしてしまうものだから、距離をとってそっとしてあげるのが親にとってもいいのよ。それに子どもの成長はあっという間だから、1、2年ぐらいは温かい目で見守ること。子どもに限らず人間ってね、顔色をうかがっているとそんな相手に強気になって不機嫌に接してしまうものなの。常におおらかに接して、細かいことは受け流すようにすると、息子さんも意外とおとなしくしているものよ。
付き合って3年、同棲中。結婚してくれない彼に振り回される女性
【Tomy’s Advice】
はっきり言ってしまうと、3年も「このままでいいや」という関係が続いてしまうと、易きに流れてしまう人がいるのは確か。この女性が不安になるのももっともだと思います。関係自体は落ち着いているのかもしれないけど、落ち着いた関係=信頼できる関係とは限らないのよね。相手に不安にさせないのも誠実さのひとつ。はぐらかして、踏み込ませないようにする相手や考えることを考えようとしない相手なら、あなたの方から彼に思い(ボール)をぶつけて。それはワガママではないわ、正当な行為よ。
気まぐれで指示が変わる上司に振り回される部下
【Tomy’s Advice】
指示をころころ変える上司って、わかっていて指示を変えるよりも「自分が何を言ったのか覚えていない」可能性が高いのよ。大事なのは気まぐれな上司から言われた仕事は、自分の仕事としてとらえないこと。アナタの仕事は仕事全体を進めることじゃないの。上司に言われたことをやることなの。だから仕事全体がひっくり返されて大変な状況になったとしても、アナタは気にしなくていいのよ。ただ自分が「上司の指示に従いました」という証拠は残していかないといけないわ。気まぐれな上司は、気まぐれに責任逃れしちゃう可能性もあるから。
さまざまな悩みに対して、振り回されないために必要なテクニックを使って、著者が答えていく本書。精神科医療をベースにしたテクニックはあらゆる場面で応用可能で、性別を問わず、すべての年代の人が使えるもの。著者自身が周囲や自分に振り回されて悩んだ経験にもとづいたアドバイスはどれも明確で、ひとつの出来事を別の角度からとらえることの大切さを教えてくれる。ひとりで悩んでいるとなかなか気づけない視点をもたらしてくれるメッセージばかりだ。
もし、あなたのまわりに他人に振り回されて生きづらさを感じている人がいたら、ぜひ、この本を贈ってあげてほしい。そして、心にモヤモヤするものを感じている人は、迷わず手に取ってページをめくってほしい。精神科医Tomyがすべての人に贈る、愛にあふれた力強い言葉は、からまった心の糸をほどいて、大きな支えとなるのを感じることができるだろう。
文=向 千鶴子
【著者プロフィール】
精神科医Tomy
1978年生まれ。某国立大学医学部卒業後、医師免許取得。ゲイである自分に何か答えをくれるかもしれないと精神科医局への入局を決意。現在はクリニックの常勤医として日々数多くの患者さんと向き合うと共に、Twitter「ゲイの精神科医Tomyのつ・ぶ・や・き」
(@PdoctorTomy)
で現代人の心を癒している。