部下へのアドバイスを記録していく。すると部下の育て方が見えてくる/部下ノート③
公開日:2020/10/7
1万人の上司が成果を実感! 部下が育てばあなたの会社からの評価も上がる。人事業務のプロフェッショナルである髙橋恭介・望月禎彦共著『簡単なのに驚きの効果 「部下ノート」がすべてを解決する』(アスコム)より、ダメな部下をできる部下へと成長させる新メソッドをご紹介します。
いつどこでどのようなアドバイスをしたのか記録する
「部下の行動」を書いたら、その下の欄、部下に指導したことを書くスペースに、その日、自分が部下に対してどんなヒントやアドバイスを与えたのか、部下の行動にどう反応したのかなどを書いていきます。
ただし、日々のルーチン業務の指示や行動のように、上司から部下への一方通行的な内容は書かないようにしましょう。このスペースに書くのは、部下の行動に対しての反応や行動、それから部下の仕事の改善のために自分が何をしたかです。
たとえば、部下が前向きになるためにかけた言葉とか、会議での部下の発言が面白かったので思い切りほめてみたこととか、部下の行動が目に余って叱責したことなど、を書いていきます。また、もっと部下の仕事に直接使えるような、お客さまへの接し方とか、機械の使い方とか、企画の立案の仕方などを書くのもいいでしょう。
ここに書くのは、基本的に部下の行動に対するリアクションですから、部下ノートをつけ始めたばかりの段階では、無理に書かなくてもかまいません。「これは、今までにないアドバイスだったな」とか、「この行動は思い切ったな」というものがあれば書く、という程度で十分です。
もしできれば、どのタイミングで言ったのかを書き添えてください。
同じ言葉でも、タイミング次第で、その効果が変わるからです。
できない部下を「できる部下」に変えていくために、最も大事になるのは、部下それぞれに合わせて、いろいろなアプローチをすることです。
その効果をはっきり確認していくうえでも、忘れずに誰に向けたものだったのか、イニシャルか名前も書いておくようにしましょう。
1週間に一度の振り返りが部下の行動を変える
部下ノートには、部下に指導したことを書くスペースに書き込んだ部下に対する自分の行動の効果も記録していきます。
チェック項目は2つ。
1つは週単位でチェックする、部下の行動変化。
○(変わった)、△(変わりつつある)、×(変わっていない)の3段階で評価します。
たとえば、部下に指導したことを書くスペースに、「大きな声で話したほうがお客さまにも信頼感を与えるから」というアドバイスがあったとします。
取引先に同行したら、部屋に入るなり大きな声であいさつしたら○。
あいさつしたりしなかったり、もしくは言いやすい人に声をかけているなら△。
以前と変わらないなら×。
こういう評価になります。
この振り返りを行うことで、部下に対する自分の行動が適切だったのかどうか判断できます。効果がなければ、新たなアドバイスや指導を考えなければなりません。
また、ノートに残しておくことで、この方法はこの部下に合わないとか、この問題を解決する策としては向かないといった、判断基準を自分のなかに蓄積していくことができます。
もう1つのチェック項目は、3週間後に行う成果確認。
これは、週単位でチェックした内容が、仕事の成果(結果)につながったかどうかを、やはり3段階で評価します。
○(成果が挙がった)、△(これから成果につながるかもしれない)、×(まったく成果につながらなかった)。
たとえば、
売上があがるもしくは、契約を獲得できるなどしたら○。
契約まではいかなくともアポイント先が増えたら△。
売上、アポイント数など、目に見えた数字の変化がなければ×。
という評価になります。
○△×というように単純化することで、振り返りの時間をグッと短縮することができます。
成果につながったかどうかを3週間後にチェックすることによって、はじめて自分のアドバイスが会社的に意味のあるものだったのかどうかを確認することができます。
これも行動変化と同じように、自分のなかの判断基準を蓄積していくことになります。
行動が×であれば、指導自体を見直して、成果が×の場合は、成果を出すためには、どうすればよいのかを改めて考えます。
そして、日々のアドバイスを「今後の指導」の欄に書いていき、最終的に、成果(結果の欄)に○がつくようにしていきます。
最初は大変かもしれません。
しかし、続けていくと「忘れやすいから失敗する」「報告しないから失敗する」「思い込みが強いから失敗する」などなど、その人の失敗のパターンは、大体同じであることに気がつくはずです。
ですから、回を重ねるほどに、「今後の指導」の欄に書くのも早くなりますし、アドバイスも的確になっていくはずです。
【次回に続きます】