致し方ない!? 新卒採用で「サイレントお祈り」が横行するワケ
公開日:2020/11/6
面接を受けたあと、企業からの合否連絡には誰しもドキドキするもの。しかし最近は「サイレントお祈り」という手段が増えており、この場合、受験者は「知らされないうちに」不合格となってしまいます。
企業がやむを得ず「サイレントお祈り」する理由
そもそも「お祈りメール」とは、不合格者に企業が送付する「定型文メール」を指す言葉。多くの場合、「選考の結果、残念ながら不合格となりました。今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます」と最後にお祈りの一文が添えられています。また「連絡がない場合はご縁がなかったということでご了解ください」と求職者に伝える形もあり、こちらは「サイレント(=通知の無い)お祈り」と呼ばれることに。
過去に「サイレントお祈り」を経験した人からは、「不合格でもいいから連絡ほしかった……。気持ち的にヤキモキするし、就活のスケジュールも組みづらかったです」「かなり準備してエントリーしたんだから、合否連絡くらいするのが企業のマナーだと思う」と評判は悪い様子。
以前HR総研が行った調査によると、採用において「合格者のみに連絡する」企業の割合は約4割に及ぶそう。狙いの多くは、「ボーダーライン上の学生をキープする」ことにあるといいます。やはり内定者の中にも「辞退者」は一定数おり、企業はこの辞退者を見越して「合格者候補」を残しておく必要性が。辞退を申告してくる時期は明確に読めないため、あえて「連絡がなければ……」という曖昧さを残す策が必要となります。
ところが目線を変えれば、就活生にとっても「内定の複数キープ」は常套手段。企業側は「あの学生は内定を出したけど来てくれるのだろうか……」と不安に感じるケースが多いよう。就活市場において曖昧に振る舞ってしまうのは、企業と学生において「お互い様」なのかもしれません。
「新卒採用」ならではのメリットとは?
海外に比べて「新卒一括採用」が顕著な日本。「サイレントお祈り」などを駆使しながらも、どうして日本企業はここまで新卒採用にこだわるのでしょうか。
一般的に新卒採用のメリットに挙げられるのは、「大きな母集団の中から優秀な人材を発掘できる」「愛社精神や忠誠心を育てられる」「将来の幹部候補として1から教育が可能」といった内容です。ただしマイナス面もあり、「応募から内定までのプロセスが大掛かりになる」「内定から入社までが長く内定辞退者が出る」などが懸念される点。
一方中途採用には「即戦力」を期待できるという利点がありますが、転職市場から適切な人材を見つけるのは意外に難しいもの。ネット上では「転職組だと、どうしても前職のカラーに染まりがち」「よほどのスキルを持つ人じゃなければ、中途採用より新卒採用を選ぶよね」といった声が寄せられていました。
新卒採用のメリットは多いものの、辞めてしまったら「採用コスト」や「教育コスト」が掛け捨てとなる事態に。どれだけ新卒に内定を出すかは、企業にとって難しい選択といえそうですね。