「勉強しなさい」と言わずに勉強させるには? 学力を上げるために必要なこと/子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば④

出産・子育て

更新日:2020/11/18

「早くしなさい!」「ちゃんとしなさい! 」「勉強しなさい!」子どもに向かって、毎日こんな言葉をかけてはいませんか? 実は、子どもの自己肯定感をつぶす大きな原因になっているかもしれません。親が使う言葉を変えると、子どもの自己肯定感は高まり、学力も伸びるといいます。ためしたら「すぐに効いた」「成績が伸びた」と話題の書籍から、子どもたちの自信を回復させる「魔法のことば」の一部をご紹介します。

子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば
『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』(石田勝紀/集英社)

子どもの自己肯定感を破壊する3つの呪いの言葉
②「ちゃんとしなさい」

「ちゃんと食べなさい」
「ちゃんと着なさい」
「ちゃんと座りなさい」
「ちゃんと挨拶しなさい」

 しつけのシーンでよく口にし、耳にする言葉ですが、改めて考えてみると「ちゃんと」という言葉は、抽象的で曖昧な、よくわからない言葉だと思いませんか?

「ちゃんと」っていったい何でしょう?

 言ってるほうの親が実はよくわかっていなかったりするので、言われた子どもは「ちゃんとって何? わからない」と素朴に「?」が頭に浮かんでいるはずです。

 実は「ちゃんとしなさい!」というのは、親にとって都合のいいストレス発散用語であり、イライラ波立った感情を言語化して言っているだけだったりするのです。

「ちゃんとしなさい」という言葉の裏には、「いい子でいてね」「私に恥をかかせないでね」という身勝手な親の希望と都合が隠されています。

 こんな言葉を言われ続けた子どもは、
「自分はちゃんとできないダメな子どもだ」
「自分は何かが足りてないのだ」
「自分は親に恥をかかせる不出来な存在だ」
と、劣等感や欠損感を無意識に感じ続けることになります。

「ちゃんとしなさい」という言葉は、子どもに、じわじわと自己否定感を植えつける強力な呪いの言葉なのです。

子どもの自己肯定感を破壊する3つの呪いの言葉
③「勉強しなさい」

「勉強しなさい!」と1回言うたび、偏差値はひとつ下がります。

 これは少々大げさな表現ではありますが、あながち的外れの警句でもありません。「勉強しなさい」は、それほど負のパワーを持った言葉です。

 そもそも、ガリ勉する子がみんな勉強ができるわけではありません。本当に勉強のできる子どもは、勉強を勉強だとは思っていません。

「楽しいから」「面白いから」やっているのです。

 学力は、自発的に、前向きに勉強するから上がるものです。強制されてやっても、効果は知れています。強制されれば、前向きな気持ちは削がれます。

 勉強に対して心がマイナスな状態(面白くない、つらい、やりたくないという心持ち)では、いくらがんばってやったところで、学力は上がらないのです。無理やりやらせたところで、決して身にはつきません。

 たとえ成績が上がったとしても、それは一過性のもので、継続的な積み重ねによる高い学力を身につけることはできないでしょう。

 学力を上げるために必要なことは、たったひとつです。

「子どもの心の状態を上向きにすること」

 これに尽きます。

(子どもの心を上向きにする具体的な方法は、第2章で詳しくご説明します)

 子どもは本来、例外なくみんな「学び好き」です。知らないことを知りたいという欲望は、食欲や睡眠欲などのプリミティブな欲望に匹敵するといわれているほどで、学ぶことを求めるエネルギーは、どんな子どもも必ず持っています。

 だとすれば、そのエネルギーが出やすいように、子どもの心の状態を明るく、軽くしてあげるだけでいいのです。

 親がヒステリックな調子で繰り出す「勉強しなさい」という言葉は、子どもの学ぶエネルギーを凍結させます。

 子どもの心を下向きにしてしまうのです。

 心が下向きになると、子どもは「勉強」への興味を失います。

 偏差値も下がります。

「しなさい」と命令されたり、強制されることはやりたくないから当然のことですね。

 嫌がることを強制しない
 イヤミを言わない
 怒り続けない

 たったこれだけで、子どもの心は上を向き始めます(でも、これができないから多くの方は困っているのですよね。ではどうしたらいいか。それに応えるのが本書です)。

「親が勉強しなさいと言わなくなったとたん、子どもが勉強し始めた」という事例は枚挙にいとまがありません。相談を受けている全国のお母さんたちからも「先生、言うのをやめたら、子どもが本当に勉強を始めました」といった報告を数多くいただいています。

「早くしなさい」
「ちゃんとしなさい」
「勉強しなさい」

 この3つのワードは、どれも「人から言われないとやらない」自主性を失わせる言葉です。

 この言葉を言われるたびに子どもたちは「あなたは言われないとできない子だ。ダメな子だ。弱い子だ」というメッセージを受け取り、やがて「自分はダメな人間だ」と思い込んでいきます。

 それが悪意や憎悪に満ちた言葉なら自制もできるでしょうが、お母さんにとってこの3つの言葉は、いわば「生活必需語」とも言えそうな、便利で何気ないひと言です。

 数回言われたくらいではダメージもない言葉ですが、毎日毎日言われ続けたらどうでしょう?

 母親のイラだった感情とともに負のメッセージは、心にじわじわ沁み込み、確実に子どもの自己肯定感をつぶしてしまいます。

 だからこそ私は、呪いの言葉と呼んでいるのです。

<第5回に続く>

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