部下ノートは“上司力”を上げる! 1週間続ければ手放せない1冊に/部下ノート⑤
公開日:2020/10/9
1万人の上司が成果を実感! 部下が育てばあなたの会社からの評価も上がる。人事業務のプロフェッショナルである髙橋恭介・望月禎彦共著『簡単なのに驚きの効果 「部下ノート」がすべてを解決する』(アスコム)より、ダメな部下をできる部下へと成長させる新メソッドをご紹介します。
会議や行事だけの記入はNG
部下ノートには、部下のことや自分と部下のことならなんでも書いていいのですが、効果につながらない書き方があります。効果がなければ、当然、部下ノートを継続することはできません。
ダメな書き方の代表的な例は、スケジュール帳のような書き方です。
「○月○日、部下との面談」
「○月○日、販売促進会議」
「○月○日、棚卸し」
これは、その日の行事を列記しただけ。これでは部下がどうしたのか、自分が何をしたのか、それに部下がどう反応したのかがまったくわかりません。
何を書いてもいいのが部下ノートですが、社内の行事やイベントだけを記入するのはNGです。
この内容では、部下が育つきっかけにも、自分が変わるきっかけにもなりません。
スケジュール的なものを書き込むのは、何も考える必要がないのでとても書きやすく、とりあえず部下ノートのスペースを埋めることはできます。
これだと、自分がやっていることを自己アピールしてるだけで、部下ノートの目的である部下と自分の成長にはまったく効果なし。自己満足そのものです。
それより、ノートに書いたような行事やイベントがあったとしたら、それこそ書くネタには困らないはずです。
たとえば、「○月○日、販売促進会議」であれば、その会議で部下がどんな意見を出したのか、その意見を聞いて自分はどう思ったのか、そこで自分は何を決断したのかなど、書くことはいくらでもあるはずです。部下ノートに書くのは、そこです。
「部下ノート」は、上司自身のビジネススキルもアップする
部下ノートの目的は、できない部下を「できる部下」に変えるだけではありません。上司自身のスキル向上にも役立つツールです。つまり、部下ノートは、部下も上司も成長できる便利ツールでもあるのです。
自分自身の変化には、すぐに気づきます。
というのは、1週間書き続けると、部下の見方が変わるからです。今まで気づかなかったことに気づける自分に、少し驚きを覚えることになります。
「彼は、思っていた以上に会議で自分の意見を言っていたんだな」
「彼女のタイピングがこんなに速いとは……」
「彼は、とても丁寧に説明できる人だったのか」
上司はどうしても部下のできなかったことや欠点が目につくものですが、長所にも目が届くようになります。いわゆる観察力の向上です。
部下ノートには、部下に対する上司の行動も書くことになるので、部下がうまくできていないところや悩んでいることに、自分は何ができるのかを考えるようになります。そして、実際に部下に対してアドバイスを与えたり、指導するようになります。また、それによって部下が変わったのか、成果につながったのかといった結果も確認していきます。
これは、まさに上司自身のマネジメントのトレーニング。日々の小さな積み重ねですが、確実に上司としての能力アップにつながります。
部下と自分の成長のために始める部下ノートで気をつけるのは、自分の個人的な好き嫌いで書くか、書かないかを決めないことです。ノートに書くのは、あくまでも仕事上での部下の行動や言動で、いいことも悪いことも含めて気になったこと。
好き嫌いを基準に書き始めると、部下のことを客観的に理解することができなくなります。もちろん、自分の成長にもつながりません。
とにかく、まずは部下ノートを習慣にすることです。
日記をつける習慣のある人や、何か気づいたらメモをとる習慣がある人なら、すぐに身につくかもしれませんが、そうでない人は、部下ノートを習慣にするのが最優先。
「部下ノートを書かなければならない」と義務づけせずに、書きたくなったら書くくらいのスタンスで始めるのもいいかもしれません。思うままに書き始めても、1週間も書き続ければ、自分の変化に気づきます。
そして効果を少しずつ実感できるようになると、気づいたときには部下ノートが手離せなくなっているはずです。
【この続きは本書でお読みください】