学校に行きたくない原因はどこにある? 学校へは“情報収集”の気持ちで/子どもが学校に行きたくないと言ったら読む本②
公開日:2020/10/20
子どもの“不登校”に悩んでいませんか? 何が原因なのか、その状態の子どもに、親としてどう対応したらいいのか…。マンガの実例を交えながら、経験40年のベテランカウンセラーが取るべき対処方をわかりやすく解説。“登校しぶり”対策の基本をご紹介します。
●夫婦仲の悪さは子どもの問題行動の引き金になることが多い
子どもというのは、家の中にある何か危機のようなものを敏感に感じ取っているものなんです。
子どもは自分の存在を親に依存しています。両親がそろっている場合、母親と父親にそれぞれに依存しているのではなく、両親の安定した関係に依存しているのです。だから両親の不仲は子どもにとっては最大の危機の一つといえるでしょう。安定した関係でいてほしいといつでも願っているはずです。
でも、子どもが大人に影響できることって、考えてみてください、本当に少ないでしょう? 言葉ではまったく影響を与えられないから、病気になるとか、けがをするとか、犯罪行為をするなどといった、いわゆる問題行動であらわすと考えられています。だから子どもの問題行動は大人へのSOSだといわれているのです。
このマンガだけでははっきりわかりませんが、お父さんとお母さんのコミュニケーションはあまりうまくいってなさそうです。樹くんももしかしたら、お父さんとお母さんの不仲を肌で感じていて、それが登校をしぶっている原因かもしれません。
お母さんは、樹くんの学校へ行きたくない気持ちを曲がりなりにも受け止めて、休ませて話を聞いていますから、その点では対応は合格点だと思いますね。皆さんも「病気でもないのに、学校を休むなんてありえない!」と子どもを引きずって連れていくのはちょっと待ってほしいと思います。親の方針を押しつけるのではなく、まずは子どもから話をよく聞くことがとても大切です。
●学校へは“情報収集”の気持ちで行くこと
樹くんのお母さんは、「学校に原因がある」と思っていますから、担任の先生に話を聞きに行っていますね。あくまでも情報収集のためという姿勢を崩さなかったのはよかったと思います。学校への相談のしかたやどんな情報をもらえばいいのかについては、この後のページでくわしくお伝えしますので、そちらを参考にしてください。
ここで注意しておきたいのは、たとえ「学校に原因がある」と思っても、学校を弾劾しないこと、クレーマーのようなスタンスにならないことです。学校のほうも責められると「そんなことを言うなら、あなたこそ親としてどうなのか」となり、対立構造になってしまいます。子どもの登校しぶりという、親にとっては不快な状態から早急に脱したいという焦りの気持ちが、行動を誤らせてしまうのはよくあることです。そうならないよう、気をつけてほしいと思います。親には、自分の中で「こうかな、ああかな」と悩む、葛藤する力をもっていてほしいと思うのです。