子どもが登校拒否に… どんな場合でも最初にするべき“基本対応”は?/子どもが学校に行きたくないと言ったら読む本③
公開日:2020/10/21
子どもの“不登校”に悩んでいませんか? 何が原因なのか、その状態の子どもに、親としてどう対応したらいいのか…。マンガの実例を交えながら、経験40年のベテランカウンセラーが取るべき対処方をわかりやすく解説。“登校しぶり”対策の基本をご紹介します。
登校しぶりの基本対応
●子どもの性格や、これまでの歩みなどを踏まえた対応をすること
下は巻頭マンガの1コマです。それまで「勘弁してよー! 今日は仕事休めないんだってばー!」と怒っていたお母さんが、ハッと我に返った瞬間です。
「でも、こんなに泣くなんて」というセリフがポイントです。樹くんの性格やふだんの様子とは違うこと、これまでこんなことがあまりなかったことなどが推察されますね。だから立ち止まって、結局は休ませています。
実は、わが子が「学校に行きたくない」と言い出したとき、こうすればいいという決まった対応はありません。そのときに問われるのは、対応している親のふだんの観察力。つまりどのくらいわが子のことをよく見ているかなんです。
そうです。子どもの性格や、これまでの歩みなどを踏まえて、それに合わせた対応が必要なんです。
例えば、それほど深刻ではないときに、ときどきそうやって親を試すようなことを言ったりする子だったら、「行きなさい」というように言ってしまってもいいと思います。逆に「この子もうヨロヨロだな」と思う生活を続けている場合もあるでしょう。学校の先生からも「いつも覇気がないです」と言われていたり、勉強もイマイチ、友だちと遊ぶ予定もなく、学校のことを聞いても楽しいというようなことは出てこなかったり。そんなときに、わが子の「学校に行きたくない」という言葉を聞いたら、ちょっとこれは考えなくてはならない、と思ったほうがいいでしょう。
いずれにせよ、どんな場合でもまずは理由を聞いたほうがいいでしょう。「どういうふうに思って、『行きたくない』と言ったの?」と。そのとき大事なことは、子どもは思っていることや理由をすべて言葉にできるわけではない、ということです。さらにいえば、誤った言語化をしている場合もある。例えば「先生がイヤだ」と言うけれど、本当は勉強がわからない状態が続いているのを、先生のせいにしていたり。だから親は子どもがすべてちゃんと言葉にできるわけではないということを踏まえたうえで、本人が言葉ではなんと言っているか聞くのは大事だと思います。
●忙しくしていると、子どもの様子に気づかないことも
いざというとき、子どもの性格や、これまでの歩みなどを踏まえた対応をするためには、日ごろのわが子の観察が欠かせません。わが子をいちばん観察できる立場にいるのは、日本の場合、お母さんが多いかと思います。でもそのお母さんが子どもの様子がよくわからない場合があります。働いている、介護をしているなど忙しくしている場合、そういうことがあります。忙しいと、子どもと接している間は、早くご飯を食べさせて、早く勉強させて、早く寝かせなきゃみたいな感じになりがちだからです。私はdoing(行動)と言っているんですが、「何かさせる」イコールdoing(行動)でいっぱいになってしまって、子どもが「どんな状態であるか」、イコールbeing(存在、ありよう)に対する観察の機会がないことが多くなってしまう。そうすると、子どものほうで、学校で何か問題があっていろいろ思っていたとしても、気づかない場合が出てきてしまうのです。
下は巻頭のマンガの抜粋ですが、①と③で、樹くんはお母さんに何か話したそうにしていますよね。でもお母さんは家事のことと、②、④、⑤でわかるように、お風呂に入れる、寝かせる、宿題と時間割をさせるイコールdoingで頭がいっぱいで、樹くんのそんな様子に気がついていません。doingはもちろん大事なことなのですが、ここでお母さんは翌朝のできごとを末然に防ぐチャンスを逃してしまった感は否めません。