先生には「困ってる親」の立場で相談。信頼関係を結んで情報交換を/子どもが学校に行きたくないと言ったら読む本⑤

出産・子育て

公開日:2020/10/23

子どもの“不登校”に悩んでいませんか? 何が原因なのか、その状態の子どもに、親としてどう対応したらいいのか…。マンガの実例を交えながら、経験40年のベテランカウンセラーが取るべき対処方をわかりやすく解説。“登校しぶり”対策の基本をご紹介します。

子どもが学校に行きたくないと言ったら読む本
『子どもが学校に行きたくないと言ったら読む本』(菅野純:監修、あらいぴろよ:マンガ/主婦の友社)

学校との連携法

●「今日お休みします」の連絡はどうする?

子どもが学校に行きたくないと言ったら読む本

 初めて登校しぶりでお休みすることになったとき、学校へどう連絡するかは悩みどころかもしれません。いきなり「今日は行きたくないと言っているのでお休みします」と言っていいものかどうか悩む方が多いのではないでしょうか。

 休もうとしている子どもの立場からいうと、最初から学校には伝えてほしくないことが多いでしょう。もう少し親のところでキープしてほしいと思うのではないでしょうか。学校への伝え方に確立したルールがあるわけではありませんが、この本ではそういった休みが3日間続くようだったら、先生に「実はこういうことだったのですが」と言うようにすることを提案したいと思います。その間は「体調が悪いので」といった一般的な理由で休んでかまわないと思います。休んでいる間に子どもが立ち直れるように、元気が出るような過ごし方をさせることと、親も子どもの休みの原因が何かを考えて、子どもと話し合いなどができるといいと思います。

●担任の先生へは、「困っている親」の立場で相談を

 学校への相談はまずは担任の先生にしましょう。先生とはできるだけ信頼関係を築き、力になってもらいたいですから、「困っている親」の立場で相談に行くという姿勢がおすすめです。登校しぶりの原因をつくったのが担任だとか、担任のクラス経営の問題だとか、最初から攻撃モードで話をもっていくと、信頼関係は結びようがありません。もし仮にそういった背景があったとしても、出だしは、「こういうことで困っているけれど、親としてやるべきこと、学校のほうで先生方がやってくださることについて、相談させていただきたい」という言い方で、相談という形で話をもっていくことが大事だと思います。まずは「相談に伺いたいのですが」という電話を入れてアポイントをとりますが、具体的な相談は電話やメールではなく、面談で直接話をするようにしましょう。そのほうがいろいろな誤解が生じにくいし、先生のほうも親から気になっている情報を得られることになるので一石二鳥です。このとき大事なのは、先生に相談するということは、先生に「時間をとっていただく」のだということ。意識して感謝の気持ちを忘れずにいることで、円滑にものごとが進みやすいと思います。

●万一、担任の先生が信頼できないときは学年主任へ

 もし担任の先生が信頼できない場合には、担任の先生と話したあとで、今度は学年主任の先生に相談に行く、それでもうまくいかなかった場合は、管理職の教頭先生または副校長先生、校長先生に相談する。そうして、少なくとも3段階は手続きを踏んだほうがいいと思います。これらのプロセスで、スクールカウンセラーや地域の教育相談所などを紹介されることもあります。場合によっては、自主的に相談することも考えてみてください。それでもダメな場合は教育委員会へという話になります。

●休みたい原因が学校にあるとき、お願いできる対応

子どもが学校に行きたくないと言ったら読む本

 学校で先生に相談することには、「子どもをよりよく理解するために先生から情報をもらう」という意味と、「子どものことをよく知ってもらう」という2つの意味合いがあります。ここでは、先生から情報をもらうことを少しくわしく考えてみましょう。

 いじめなどのトラブルが原因で「行きたくない」と言っている場合や親がその可能性を疑っている場合などは、まず第一に、実情を調べてもらうことをお願いしましょう。

 それから、わが子の学校での様子を把握するための質問をしてみましょう。例えばどんな友だちと遊んでいるか、授業の参加度合いはどうか、休み時間はどうしているか、などについて聞いてみるといいでしょう。こういう質問を通してわが子の勉強やコミュニケーションの様子を把握するのです。中学生なら、学力試験のデータを見せてもらってもいいでしょう。中学生ぐらいになると、成績データを子どもが見せない場合もあるし、わが子の成績がクラスの中でどのような位置にあるのかを、親は正確にわからないこともあるのです。例えば「下から5分の1ぐらいですよ」という結果であれば、相当わからないんだということが親にもわかるでしょう。また授業中の課題作業時に、キョロキョロして全然やろうとしないといったことなど、先生に聞かないと、親は知りようがありません。先生がつかんでいるそういう子どもの様子を聞いていくと、どこのあたりから子どもの状況を改善していけばいいのかわかってくるかもしれません。そうした客観的なものを踏まえないで「勉強しなさい」とだけ言っても、改善はできないと思います。

 もう1つ、例えば友だち関係のトラブルに悩んでいる場合などは、「子ども自身、そして親としてはどのようにふるまえばいいでしょうか」と先生に相談してもいいでしょう。

 また、わが子がやる気を出すような働きかけやクラスでの活動や、係活動など、そういうもので活躍のチャンスを与えてもらう働きかけをお願いすることもできると思います。

続きは本書でお楽しみください。

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