「普通にいい」「ナシよりのアリ」…あいまいな若者言葉に透けて見える処世術とは/突然辞める若者②
公開日:2020/10/13
職場の若手社員はなぜ突然「来月で辞めます」と言うのか? なぜこれまでの常識が通用しないのか?
若者の働き方研究の第一人者・平賀充記さんの著書『なぜ最近の若者は突然辞めるのか』(アスコム)から「若者の価値観がわかるキーワード」や「オトナと若者の意識のギャップ例」を紹介します。
「自分的には普通にいい」? 自己表現は、限りなく曖昧なグレー
「このパスタ、普通においしくない?」最近、こうした表現をよく耳にします。しかしよく考えたら「普通においしい」って、「ちょっとおいしい」でもなく「意外とおいしい」でもなく、非常に曖昧な表現です。
他にも曖昧な表現は増えています。「ナシよりのアリ」とか「アリよりのナシ」とか。またツイッターでは「わかりみが深い」という言葉をよく見かけます。これは単に「わかる」と完全に言い切らないときに使う言葉のようです。
実は、何かを評価する際に使う若者言葉が、どんどん曖昧化しているのです。いいとも悪いとも言い切らない、断定はしない。これも、他人に見られていることを前提にした、過剰な忖度が背景にあります。
オンラインの世界では、「2ちゃんねる」にせよ「食べログ」にせよ、ひとつの話題に対してさまざまな意見や評価があふれています。そんな中ではっきりと断定するには勇気がいります。誰にも否定されないように無難に答える、何ごとにもエクスキューズの余地を残すことが若者の処世術なのです。
「この新しいPOP、どう思う?」「自分的には普通にいいと思いますけど……」この「自分的には」や「普通に」といった表現には、発言の主体性を薄くしようという心理が透けて見えます。オトナからすると、言いたいことがよくわからないとか、自己主張が希薄だと思えるかもしれません。
しかし彼らは決して「ストレートな自己表現が苦手」なのではなく、「あえて封印している」のです。本音は、しっかり持っています。
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【次回に続く!】