靴下NG、エアコンOK! 快眠にまつわる常識・非常識/疲労回復の名医④

健康・美容

公開日:2020/10/15

何をやっても疲れがとれない、寝てもスッキリしない……。そんなお疲れの方に試してもらいたい疲労回復法を、梶本修身著『疲労回復の名医が教える 誰でも簡単に疲れをスッキリとる方法』(アスコム)からご紹介します。


寝汗は睡眠の質を落とす

「1分間すっきりストレッチ」で睡眠の質は格段に向上しますが、さらにクオリティを上げるひと工夫がいくつかありますので、ここで紹介します。

みなさんは夏の夜、「寝るときに、冷房をつけたままにするかどうか」で迷った経験はないでしょうか。

男女には、快適に感じる温度に差があります。一般的に、筋肉量が多く、体内で産出される熱の量が多い男性のほうが、低めの温度を好みます。

一方、女性は高めの温度を好む傾向があるので、冷房をオフにして寝る方も多いと思います。

しかし、眠っている間に寝汗をかいているようでは、体温調節のために自律神経が睡眠中も休まず働いていたことになります。さらに、近年のように熱帯夜が続く夏、寝苦しいのをがまんして冷房をつけずに寝ると、熱中症を招く可能性が高まり、大変危険です。

「睡眠中の冷房は体によくない」という説に、根拠はまったくありません。

寝苦しい夜は、高めの室温設定でもよいので冷房をつけたまま眠りましょう。室温は何度が適当かとよく質問されますが、実は湿度によって快適性は大きく異なります。

たとえば室温が28度でも、湿度が50%以下であれば、大半の方が快適と感じます。しかし、湿度が80%を超えるようでは、多くの人が不快に感じ、熱中症のリスクが高まります。事実、厚生労働省も28度は熱中症の警戒温度としています。最近のエアコンは除湿機能が付いている製品も多いですから、湿度を50%以下にするよう心がけましょう。

室内環境が快適であれば、自律神経を酷使せず、脳を休めることができます。

靴下をはいて眠ると睡眠の質が下がる

冬は暖房をつけたままで眠ってかまいません。

夏と同様に、快適に眠れる室温をキープすることが大切です。

冬の夜に注意をしなければならないのは、部屋の外との温度差です。

極端な温度差は、脳のコントロールセンターの急発進を招きます。脳の疲労につながるのはもちろん、血圧が急上昇して、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まります。

夜中にトイレに起きたり、朝ベッドから出て室外に行くときには、パジャマの上から羽織る部屋着や厚手のスリッパを着用して、温度差を少なくしましょう。

また、人間には上半身を温めると交感神経が優位になり、心臓より下の下半身を温めると副交感神経が優位になるという習性があります。

だから「頭寒足熱」が理想の就寝環境なのです。

ベッドに入ったら、肩や腕は布団の外に出し、心臓より下は布団をかぶって温かい状態をキープしてください。

冷え性の女性などで靴下をはいて眠る方も多いですが、靴下で足裏を覆うと体温を放熱することができません。睡眠中は脳や体の代謝を落として休ませることが重要なため、深部体温を1度ほど落とすようになっていますが、靴下をはくと放熱が進まず体温を下げることができないため、深くて質のよい睡眠を得ることができません。

靴下ではなくレッグウォーマーで足首を冷やさないようにして寝るのがいいでしょう。血流を阻害するようなタイトなものではなく、ゆったりしたものがベストです。

【次回に続きます】

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