朝の一歩と4時間後でチェック! その睡眠、本当に十分?/疲労回復の名医⑤
公開日:2020/10/16
メラトニンの分泌を促して睡眠に備える
人間は昼行性の生き物ですので、本来、昼に活動し、暗くなると眠るという生体リズムが、DNAに組み込まれています。
これは、暗くなると脳内で生成される「メラトニン(睡眠ホルモン)」の影響によるものです。一方、朝起きたときに生成される「セロトニン」というホルモンは、起床後14~16時間経過するとメラトニンに変換されます。
メラトニンの分泌を正常化するには、眠りに入る前の3時間、昼の光に近い白くて明るい光を浴びないようにするのが理想です。
そのため就寝1時間前からは、テレビやパソコン、スマートフォンのモニターの発する刺激の強い光をできるだけ避け、夕焼け色に近いオレンジ色の照明を使ったり、間接照明で光を弱めたりしてみましょう。
ベッドの中でスマートフォンの画面を見ながらSNSに興じるなどは、最も安眠から自分を遠ざける行為です。寝る前の読書も、好ましくありません。
オレンジ色の光を演出するには、照明器具に市販のオレンジ色の耐熱フィルムを貼るなどの方法があります。
自然界における夕方から夜の環境を身のまわりに再現すると、睡眠モードへの準備が整いやすくなり、スムーズに眠りに入っていくことができます。
とはいえ、なかなか実践は難しいかもしれません。それならせめて、寝る前に「1分間すっきりストレッチ」を行うようにしましょう。
「肌荒れ」と「朝の一歩」がバロメーター
ご自分の睡眠が十分かどうかは、クリニックに行って大がかりな測定をしなくても、簡単にわかります。たとえば「肌荒れ」と「朝の一歩」がバロメーターになります。
肌荒れは、良質な睡眠がとれていない、つまり疲労がリセットできていない証拠です。肌が荒れてくるのは、自律神経が疲弊して血流が滞り、肌に水分や酸素を豊富に含む血液が十分に行き渡らなくなるからです。
眠る前に「1分間すっきりストレッチ」や半身浴で血流をスムーズにしておくことは、美容にもつながる習慣になります。
また朝、ベッドや布団から出て立ち上がり、最初の一歩を踏み出したとき、「つらい」「重たい」と感じたら、それは眠りが足りていない証拠です。
起きたばかりのタイミングは、頭がまだ半分眠った状態です。
脳の前頭葉が「疲れを隠そう」とする余裕がないので、疲労感がストレートに現れるのです。
また、起床してから4時間後の覚醒度も、良質な睡眠を測る指標になります。
この時間帯は、実は1日のうちで最も覚醒度が高いところです。
このときに「眠い」と感じたら、睡眠が十分でない可能性があります。
しっかりと脳を休めることを意識して、休養をとってください。
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