慢性的な腰痛は自律神経が影響している!? 謎の腰痛は心配事が無くなれば治る可能性も!/図解 自律神経の話②
公開日:2020/10/28
心と体のパイプ役を果たす自律神経。原因不明の体調不良の多くは、自律神経を整えればある程度改善できます。私たちが日常生活で実践すべき自律神経を整えるコツなどを、専門医が図解でわかりやすく解説します。
ココロの不調は体の不調
自律神経を介してつながる心と体
私たちの健康は、体を構成する約37兆個もの細胞の一つ一つがしっかりと機能することで守られています。この細胞のエネルギーとなるのは十分な栄養と酸素。これらが足りないと細胞がきちんと機能せず、やがて全身のあらゆる器官に不具合が生じてしまいます。とりわけ重要なのが脳。栄養や酸素の不足により脳細胞の働きが衰えると記憶力や判断力が低下するだけでなく、内臓や各器官の働きも鈍くなります。胃や腸の機能が衰えれば消化や栄養の吸収が悪くなり、下痢や便秘などの不調の原因に。さらに肌や髪、爪などの細胞の再生が滞ることで、美容面にも悪影響が及びます。こうした不調に見舞われないようにするには食事や呼吸によってとり入れた栄養と酸素を、一つ一つの細胞へしっかりと届けることが重要。その役割を担っているのが血液です。前項でも説明したとおり、血液の流れを司っているのが自律神経。自律神経を整えることで血液の流れがよくなり、全身の細胞の機能が活性化されるのです。
そして自律神経には心の状態が大いに関係しています。怒りや不安によって心が乱れると、自律神経のバランスも崩れて血流が悪くなります。すると体にも様々な不調が現れてきます。つまり心と体は自律神経を介してつながっているということ。心の状態がよければ自律神経のバランスも整い、体の調子も安定するのです。
自律神経は脳と各臓器をつなぐライフライン
自律神経は、脳と各臓器をつなぐという重要な役割を持っており、生命維持に重要なもの。ライフラインと言っても過言ではありません。
臓器とは… 消化器や胃などの内臓を含めた体全体の器官の総称
自律神経が整っていれば心身ともに健康になる
自律神経は、体中をめぐる血流をコントロールしています。自律神経が整っているということは、血流がよく「健康である」という証でもあります。
逆に血流が悪いと各臓器に不調が生じます。血流のよし悪しは体の好調か不調かを左右するほど大きく大切なものなのです。
謎の腰痛は心配事が無くなれば治る可能性も
血流悪化が痛みを引き起こす
多くの人が一度は経験したことがある腰痛。特に重いものを持ったわけでもなく、腰に負担がかかることをしていないのに腰痛を患った経験はありませんか? 例えば、病院へ行っても原因がわからない慢性的な腰痛。これは自律神経が影響しているかもしれません。
イライラしたり、緊張やストレスが続いたりすると、交感神経が優位に働き血管が収縮して血流が悪くなります。通常は、夕方から夜にかけてはリラックスして副交感神経が優位になりますが、緊張状態が続いて交感神経が高まったままだと血管は収縮したまま。長時間血流が滞ってしまい、痛みへとつながるのです。腰痛だけではなく、人によっては頭痛や肩こり、全身のだるさなど、様々な不快な症状を引き起こします。
もし、原因不明の痛みに見舞われたら、心にストレスや心配事を抱えていないか考えてみましょう。思い当たった場合は、まずは体を休めてリラックスすること。寝る前に軽くストレッチをしたり、ゆっくり時間をかけて入浴したりといったことや、不規則な生活をやめてしっかり睡眠をとることも重要。一時的な自律神経の乱れなら、このような対処法で改善できるはずです。自律神経が整えば、血流もよくなって脳の働きも向上します。物事を冷静に判断し、自然とストレスや心配事を前向きに転換できるようになるのです。