子どもを急かすのは逆効果! 親の焦りが伝染して早く動けなくなってしまうことも…/図解 自律神経の話⑥
公開日:2020/11/1
心と体のパイプ役を果たす自律神経。原因不明の体調不良の多くは、自律神経を整えればある程度改善できます。私たちが日常生活で実践すべき自律神経を整えるコツなどを、専門医が図解でわかりやすく解説します。
自律神経の乱れは伝染する
自律神経が職場や家庭にも影響
自律神経が整うと自分自身にメリットがあるだけでなく、周りにもよい影響が広がります。
例えばスポーツ選手。ある一人の選手の投入によりピンチだった流れがガラリと変わるということがあります。こうした選手は自律神経が安定しており、高い集中力と冷静さを保ちながらリラックスしたムードをチーム内にもたらします。安定した自律神経はチームメイトにも伝染し、不利な形勢を一転有利に変えてしまう力があるのです。
職場でも同様です。大事なプロジェクトが進行しているとき、プレッシャーからメンバーの自律神経は乱れがちに。そんなとき自律神経の安定した人がいると、その落ち着いた立ち居振る舞いや声かけにより他の人にも安心感が伝わります。ピリピリした空気が和やかになってメンバー同士の結束が強まり、プロジェクトを成功に導くのです。
それは家庭でも同様。お母さんやお父さんの自律神経が安定していると、子どもの自律神経にもよい影響が及びます。逆にお母さんが育児に不安を感じていたり、お父さんが仕事で強いストレスを抱えていたりすると子どもの自律神経も乱れ、心身の不調につながることがあります。「早く早く」と急かしてばかりの子育てでは、子どもの交感神経が過剰に刺激され、落ち着きのなさを招くことに。家庭では大人がゆったりと接することで、子どもの自律神経も安定していくのです。
自律神経は周りの人にも影響を及ぼす
子どもを急かすと逆効果
いつも「早く準備しなさい」「早く食べなさい」と子どもを急かしてばかりいると、子どもの能力を引き出すためには逆効果。親の自律神経の乱れが子どもにも伝染してしまうため、早く動きたくても動けなくなってしまいます。
スピーチやプレゼンなどで緊張を和らげるコツ
自分なりのルーティンを決めておく
試合中のアスリートが、サーブを打つ前やキックを蹴る前などに、決まった動作や手順を行っている姿を見ることがあります。これらは自律神経を整えるためのルーティン。普段の練習からルーティンを繰り返すことで、プレッシャーや雑念に捕らわれず、平常心でプレイできるのです。アスリートでない一般人にも、心を整えるルーティンは役立ちます。ストレスのかかる場面に遭遇し、心が乱れそうなとき、平常心を取り戻したいときにはルーティンを実践し、自律神経を整えましょう。
深呼吸は心を落ち着かせる有効な手段のひとつですが、「深呼吸しなければ」と思い詰めることが、かえってストレスになる場合もあります。そんなときは、その場にまったく関係のないことに集中するとよいでしょう。例えば緊張するプレゼン前の待ち時間には、部屋にある時計を探し、そのデザインや文字盤をじっくりと眺めます。「時計を見る」という動作に集中し、自律神経を乱す原因から一旦心を離すことで心拍数や呼吸を落ち着かせ、自律神経を安定させるのです。これでうまくいけば、その後も「時計を見る」というルーティンを繰り返すことで、大事なプレゼンや会議に落ち着いて臨めるようになるはずです。このように、あらかじめ自分が落ち着けるルーティンを決め、自律神経が乱れそうになったらいつでも実践できるよう準備しておくことをおすすめします。
心を落ち着けるルーティンワーク
「イライラしたらこうする」など自分なりのルーティンワークを持っていると、想定外のことが起こったときも慌てずに心を冷静に落ち着けることができます。
おすすめのルーティン
緊張するときに使える対処法
手を広げる
気持ちがこわばると、体もこわばります。特に親指に力が入ってしまいがちなので、意識して力を抜きましょう。
時計のデザインを見たり、メガネの人を数える
時計のメーカーや形に意識を向けたり会場に入ったらメガネの人を探すことで、焦っていることへの集中が弱まり呼吸も安定します。