生理が近づくと自分を嫌いになっちゃう人へ。悩んでいる心と体のプチ不調は「ホルモン」のしわざかも
公開日:2020/10/20
なぜか、家族や恋人に対して無性にイライラしてしまったり、わけもなく涙が止まらなくなってしまったりする日。感情のコントロールができない自分に嫌気がさし、自己嫌悪に陥ってしまうことも…。いつもと違う「私」に戸惑い、「どこか変なのかな…」と不安にもなってしまう。しかし、こうした行動をしてしまうのは、あなたの性格や情緒に問題があるからではなく、ホルモンのせいかも…?
そう教えてくれる『これってホルモンのしわざだったのね 女性ホルモンと上手に付き合うコツ』(松村圭子/池田書店)は、女性の心と体をほぐす処方箋本。著者の日本産科婦人科学会専門医であり、成城松村クリニック院長を務める松村さんは、女性ホルモンによる“ゆらぎ”に揺さぶられるのではなく、上手く乗りこなして快適な日々を送ろうと訴えかける。
なぜ、女性ホルモンによって心身はゆらぐの?
女性の体にとって重要な働きをしているのが、「エストロゲン」と「プロゲステロン」という2つの女性ホルモン。エストロゲンは別名「美のホルモン」。肌や髪の新陳代謝を活発にしたり、丸みを帯びた体つきを作り、妊娠しやすい状態にしたりして、女性らしさと健康を保てるように働きかけている。
一方、プロゲステロンは受精卵が着床しやすいよう、子宮内膜をふかふかに。赤ちゃんを育むために水分や栄養をため込むなど、妊娠維持の働きをするので「母のホルモン」とも呼ばれている。
2つの女性ホルモンは脳と卵巣の連係プレーによって分泌され、分泌量は月経周期の中で増減。グラフにすると波のようになるのだが、このゆらぎが女性の心身に大きな影響を与える。
女性ホルモンの分泌量は一生の中でも大きな変化があるため、不調の種類は年齢によっても変わるよう。
病院へ行くほどではないけれど、自力ではコントロールが難しい“プチ不調”を引き起こすのだ。
また、ホルモンの分泌と自律神経はコントロールしている司令塔が同じであるため、片方が乱れると、もう片方もたちまち崩れてしまうのだそう。だから、自律神経を乱しやすいストレスは女性ホルモンにとっても大敵だと言える。
こうした事実を伝えた上で、本書では女性が悩みやすいプチ不調をひとつひとつ取り上げ、原因や解決法を解説。例えば、プロゲステロンが減少する月経期は体温が下がるので、体が冷えて血行が悪くなったり、経血によって貧血のような状態になったりして体が疲れやすい。そんな時におすすめなのが、湯船に浸かって体温を上げること。
こうすれば、副交感神経が優位になり、心もリラックス。時間がない時は足浴でもOK。41度のお湯にくるぶしの上まで浸け、20分以上、額が汗ばむまで体を温めてみよう。
ちなみに、月経の冷えからくる疲れには、高たんぱくな食事が効果的。貧血からくる疲れには鉄分が有効だ。
月経期にいつも疲れを感じてしまう方はこれを機に、食生活を改善してみるのもよいだろう。
また、普段から平熱が低かったり、風邪をひきやすかったりする人は“内臓冷え”である可能性が。この場合は卵巣が冷えていて女性ホルモンが上手く分泌されずに不調が現れてしまっていることもあるので、内側から冷えを改善していこう。
他にも、本書では女性の性欲とホルモン分泌周期の関係性が詳しく解説されており、「涙もろくなる」など心の不調に寄り添うアドバイスもたくさん。
PMSや月経痛、更年期障害といった婦人科系症状の原因や解決策も具体的に知れて、ピルやアフターピルの知識も身につけられる。「いつもと違う私」に嫌悪してしまう人はぜひ手に取り、自分を責めなくてもいい「心身との付き合い方」を知ってみてほしい。
文=古川諭香