「梨泰院クラス」は“いい男”の教科書だ! 主人公パク・セロイに学ぶ“いい男”の10箇条

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公開日:2020/10/27

梨泰院クラス
男が惚れる男、パク・セロイ/Netflixオリジナルシリーズ『梨泰院クラス』独占配信中

「梨泰院クラス」の主人公パク・セロイは、男が惚れる男である。そしてイソとスアというふたりのヒロインによるセロイをめぐる恋の鞘当ても物語の大きな軸になっていることからもわかるとおり、きっとこういう男はモテる。では、セロイのどんなところが我々を惹き付けるのか。というか、天パのロックおたく、中年×コロナ太りが気になるアラフォーの筆者はどうしたらセロイのようないい男になれるのか。なれると信じてドラマを読み解いてみたい。

(※本記事には一部ネタバレがあります)

①仲間や家族を愛し、信じろ

 父・ソンヨルに飲食店「タンバム」の個性豊かなメンバー。セロイは仲間や家族を愛し、信じる。店のスタッフのトニーに対する人種差別を目の当たりにしたとき(第8話)、同じくヒョニがトランスジェンダーであることが暴露されたとき(第12話)、そしてグンスをかばって車に轢かれたとき(第15話)。セロイが語る一点の曇りもない言葉は、問答無用でカッコいい。あと、イソの頭をナデナデする仕草。ああいうことが自然にできるようになりたい。

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②腕っぷしは強くあれ

 セロイはいかにもケンカが強そうだ。ガタイがいい、目つきが怖い、そして怯むことなく向かってくる。ケンカを売っては絶対にいけない相手だ。そして実際に強いから手に負えない。物語のクライマックスでグンウォンをタコ殴りにするときの凄み(第16話)、ぜひ参考にしたい。

スア
ヒロインのひとり、セロイの初恋の人スア/Netflixオリジナルシリーズ『梨泰院クラス』独占配信中

③男は恋に奥手であれ

 そんな男の中の男セロイだが、恋愛にかんしては純朴というか鈍感というか、どうにも得意ではなさそうだ。ドラマではスアとイソによるセロイをめぐる恋の鞘当ても起きるのだが、それが全然進展しない。イソの過剰なまでの好き好き光線(古い)もスルーだ。ふたりには何度かキレられているが、それでも結局愛されるのである、このイガグリは。ずるくないだろうか?

イソ
セロイを一途に想い続けるイソ/Netflixオリジナルシリーズ『梨泰院クラス』独占配信中

④目標に向かって努力を重ねろ

 セロイは努力の人である。漁船に乗って開業資金を稼ぎ、オーダーメイドの着ぐるみを着てビラを配り(第3話)、イソのアドバイスを受けてDIYで店の内装を施し(第5話)、店のある通り全体を盛り上げようと他店へのサポートも始める(第9話)。ドラマでは描かれないが、店を「IC」という名の会社にし、数年で自社ビルを建てるまでに成長させた裏にも、半端ではない努力があったはずだ(どう見ても経営が得意なタイプには見えないし)。自分を追い込む男の姿はいつだってカッコいいのだ。

⑤でも、ちゃんと隙も見せろ

 そんな努力家で労を惜しまないセロイだが、決して完璧ではない。イソの指導を受ける前の「タンバム」は場末感MAXのダサい店だったし、前述のオーダーメイドの着ぐるみも、店のプロモーションとしては正直、微妙だ。でもそれが「かわいい」のだ、きっと。

⑥酔っ払ったときはかわいく

 かわいいといえば、スイッチが入ったときのはっちゃけぶりも愛らしい。仲間を励まそうとカラオケに繰り出したセロイの歌の下手くそっぷり(第4話)、イソと飲んで夢を語ったあげくに酔いつぶれる姿(同じく第4話。イソは「惚れてまうやろ!」とセロイに初めてキスをする)、そしてTV番組「最強の居酒屋」で優勝した祝賀会で、いい感じで酔っ払って上げた怪気炎(第13話)。いくらでも飲めそうでいながら意外と酒に弱いところもポイント高い。

パク・セロイ
服装もオシャレ!/Netflixオリジナルシリーズ『梨泰院クラス』独占配信中

⑦オシャレはTPOに合わせて

 他の登場人物同様、セロイはオシャレだ。高校の制服はちょっと無理があったけど、刑務所の囚人服ですらイケてる風に見えるのは羨ましい。しかも、普段はダボダボの服装でも、エラい人に会うときはちゃんとシュッとした格好をしていたりして、場をわきまえているのがいい。天賦のスタイルはマネできないが、せめてその姿勢だけは見習いたい。

⑧曲がったことを許すな

 父の命を奪ったグンウォンをボコボコにして逮捕されたり(第2話)、ガラの悪い客にブチ切れたり(第3話)、未成年飲酒を通報されて警察に連れて行かれたときも、権威にヘコヘコする警察官の胸ぐらに掴みかかったり(同じく第3話)、ドラマの端々で「ヤバいヤツ」の片鱗を見せるセロイ。だがすべて筋が通っているから納得できる。セロイは、許せないものは許せない。その実直さが男らしい。ビビリの筆者とは見事に対照的だ。

グンウォン
セロイの宿敵グンウォン/Netflixオリジナルシリーズ『梨泰院クラス』独占配信中

⑨人には親切であれ

「強くなければ生きていけない、優しくなければ生きていく資格がない」(フィリップ・マーロウ)。それこそまさにセロイである。強さについては上に書いたとおり、そして優しい。合コン相手にトイレの中まで追いかけられたイソをたまたま見て助けたり(第4話)、行き倒れていたおばあさんを病院に運んだり。結果的にそれでイソはセロイに恋をし、じつは資産家だったおばあさんは「タンバム」に投資して飛躍的な成長を後押ししたのだから、人には親切にしておくものである。今度電車に乗ったら積極的に席を譲ろう。

パク・セロイ
セロイはとにかくまっすぐ!/Netflixオリジナルシリーズ『梨泰院クラス』独占配信中

⑩決めたことは何があってもやり通せ

 父から「信念をもって生きろ」と教えられたセロイ。店の入居していたビルを追い出されたり(第8話)、投資家に騙されたり(第12話)、挙げ句の果てにはイソを拉致されたり(第15話)。そんな状況でもセロイは負けない。「今1回、最後に1回、もう1回。一瞬は楽になる。だけど、繰り返すうちに人は変わる」。第3話で警察に反抗して営業停止を甘んじて受け入れたセロイが、イソに「商売人ならプライドを捨てろ」と非難されて返した言葉だ。隙あらば楽なほうへと流れる自分を正すために、この言葉を紙に書いてトイレの壁に貼っておこうと思う。

 というわけで10箇条挙げてみたが、わかったのは筆者は逆立ちしたってセロイにはなれないという残酷な事実である。モノが違うとしかいいようがないが、それだって憧れるのは自由である。今はもう少し優男な「サイコだけど大丈夫」のムン・ガンテを目指そうとしているので、そちらも進捗ありしだいご報告します。

文=小川智宏

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