禁断の果実を食べ、エデンの園から追放されたアダムとイヴ。そして人類の苦難の歴史が始まった/365日でわかる世界史①
公開日:2020/10/30
学校の授業や受験勉強で頭に詰め込んだ知識ではつかみきれなかった、世界史の全体像が見えてきます。1日1ページずつ読めば教養としての世界史が身につく1冊から、10ページでわかる世界史の大きな流れをご紹介します。
通史 10ページでわかる世界史の流れ①
聖書に登場するアダムとイヴの物語
人類の始祖は、神がエデンの園でつくった男女ひとりずつのアダムとイヴだと『旧約聖書』には書かれている。アダムとイヴは、知恵の木の禁断の果実を口にしたので地上に追放され、人類の苦難の歴史が始まった。
エデンの園の場所がどこを想定したものか諸説あるが、チグリス川源流に近いアルメニアか現在はペルシア湾の海底になっているバーレーン付近が有力説だ。
後者は聖書に書かれている4本の川のイメージに涸れた川の跡が衛星写真で発見されて話題になった。
旧約聖書では、大洪水で神を信じない人類を滅ぼした「ノアの方舟」や、互いの言葉が通じなくなる「バベルの塔」にまつわる試練を経て、バビロニアから出発してカナン(パレスチナ)にやってきた遊牧民の族長アブラハムが、神から諸民族の父になることを認められたとする。
ユダヤ教やキリスト教徒だけでなく、イスラム教徒も、ムハンマド・イブン=アブドゥッラーフも、みずからをアブラハムの子孫だとしているので、世界の人口のかなりの割合が、このアブラハムの活動をもって世界史の始まりと位置づける。
ユダヤの民は、エジプト王に招かれてナイルの畔に移った。だが、ファラオが代わると特権を奪われ、預言者モーセに率いられてカナンの地に戻ろうとするが、その途中のシナイ半島で、十戒を神から与えられた。
前10世紀のダビデ王は王権を強化し、エルサレムを首都とし、その子のソロモンのもとでイスラエル王国は全盛を迎えた。
だが、前6世紀に新バビロニアのネブカドネザル王によってバビロン捕囚とされる。アケメネス朝ペルシアのキュロス王によって解放されたのは、サッカーでおなじみのジュゼッペ・ヴェルディ『ナブッコ』の合唱『行け金色の翼に乗って』で知られる逸話だ。
イスラエルは、ペルシアやエジプトのプトレマイオス朝の支配を経て、ローマ勢力のもとでヘロデの王国があったときにイエス・キリストが生まれ布教を行った。そののちローマに編入され、やがてユダヤ人はカナンの地から世界各地にディアスポラ(民族離散)させられた。
教養への扉 ギリシャ人は、神々より先に人間は存在していたとする。いずれも「ガイア」(大地)の子である。プロメテウスは人類に神々から盗んだ火を与えたが、ゼウスはその復讐に女を人間社会に与えて苦悩の種をつくったとする。一方シュメール人は、神々が農作業に疲れて粘土から人間を創造したという。