良いアイデア出しに必要なのは「質より量」のスタンス? “バズるアイデア”の生み出し方

ビジネス

公開日:2020/10/28

『アイデアは考えるな。』(柳澤大輔/日本経済新聞出版)

 スマホひとつあれば仕事ができる時代。おもしろいアイデアが浮かべば、ツイッターやインスタグラム、YouTubeなどで瞬時に情報が発信できる。それがバズれば、日本中、世界中に情報が拡散されることもあるだろう。
 
 とはいえ、バズるようなアイデアはそう簡単には思い浮かばないもの。どうすれば、アイデアが引き出せるようになるのだろうか? その疑問に答えてくれるのが『アイデアは考えるな。』(柳澤大輔/日本経済新聞出版)。面白法人カヤックの代表・柳澤大輔氏が、アイデアが思いつくコツを教えてくれる1冊だ。

完璧なアイデアは狙わない! 簡単なアイデアを“たくさん”出そう!

 本書の「はじめに」には、こんな言葉がある。

“アイデアを出せないという悩みを持つ人の共通点は、「すごいアイデア」を出そうとしてしまうことです。
でも「すごいアイデア」を出している人は、その何倍も「すごくないアイデア」を出しています。
だから、まずは「すごくないアイデア」をたくさん出すところから始めるべきなのです”

 これを読んで、私は筋トレを思い出した。理想の体を手に入れたい。しかし、初心者がいきなり腹筋を100回するのはムリだ。最初は10回から始め、慣れていくことで少しずつ回数が増え、理想の体に近づいていく…。

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 アイデアもきっと同じだ。簡単なアイデアしか出なくてもいい。それでも、とにかく“量”をこなしていくことで、アイデア同士がつながり、より良いものも生まれてくるだろう。

つまらないことに楽しさを発見できれば、アイデアがどんどん生まれるようになる!

 日々の生活で、アイデアが必要になるシーンはどんなときだろう。本書によると、それは「面倒だな」と感じる場面だという。

「面倒な仕事は後回しにしたい」「面倒な飲み会は、さっさと帰ってゆっくりしたい」こんなぼやきは誰しも1度や2度は覚えがあるはず。正直な気持ちを変えることは難しい。ならば、気持ちではなく“見方”を変えてみよう。

 例えば、仕事であれば場所を変えたり、時間を計ってみたり。飲み会ならば普段話さない人と話すように心がけてみたり、ちょっと深い話をしてみたり。

 このように見方をほんの少し変えるだけで、その場を楽しむ要素はゴロゴロ転がっているものだ。つまらないと思っていたことでも楽しめるようになれば、アイデアがどんどん生まれてくるはずだ。

考えるのに行き詰ってしまったら“連想”を駆使しよう!

 課題の洗い出しやアイデア出しをするとき、「もうこれ以上浮かばない!」と行き詰まってしまった経験はないだろうか。

 新しい考えが出ないときは、すでに出たヒントをもとに“連想”するのもオススメ。 例えば、経営しているカフェの売り上げが下がってしまった場合を想定してみよう。新型コロナの影響を考えると来客数が減ることはお客さん自身の考えもあるため店舗側だけではどうしようもないことも多い。

 そこで、“自粛”をキーワードに連想してみよう。外出自粛している人は、家でゲームをしたり、本を読んだり、テレビを見たり…きっとゆっくりと過ごしているはず。それならば、お家でもっとリラックスできるような応援をしてみるというアイデアはどうだろう。カフェで定番の音楽をリストにしてツイートしたり、家でコーヒーを楽しむヒントをブログやYouTubeなどで披露したりと、あえて自粛生活に貢献してみるのもひとつの手だ。興味を持った人が、自粛明けに来店してくれるかもしれないし、ブログの書籍化なんていう想定外の仕事が舞い込んでくる可能性だってゼロではない。

 このように、連想することでアイデアを出す材料がさらに生まれる。行き詰まっても、また別のことで連想すればいい。そうすれば、思考をストップさせることなく、アイデアを出し続けられるのだ。

 本書の「終わりに」には、こんな言葉がある。

“楽しく働くためには、アイデアが必要です。それは、すごくないアイデアでもいい。アイデアさえたくさん出せるようになれば、毎日が楽しくなってくる”

 とはいえ、日常の面倒ごとや悩みがなくなるわけではないので、ちっとも楽しくならないじゃない…と悪態をつきたくなることもあるかもしれない。だが、「塵も積もれば山となる」だ。はじめは100だった辛さが、自分なりにアイデアを出し続けるうちに、90、80、70…と改善していくはず。そうやって着実な一歩を積み重ねていけば、こちらから迎えに行かずとも、向こうの方からすごいアイデアが近づいてきてくれる日も近くなるに違いない。

文=冴島友貴