無理して頑張る必要はない? 苦手な分野で努力するよりも、自分の長所を活かして戦おう/コミュ力なんていらない①
公開日:2020/11/2
初対面の人と話すのが苦手だ、大勢いる場だと人見知りをして話せない…「自分にはコミュ力がない」と悩むすべての人へ。コミュ力が低くても仕事で成果を出す方法や、人間関係が楽になる術を厳選してご紹介します!
自分が得意なパターンで勝負する。
自分が得意なパターンで勝負する――。
よくよく考えてみると「コミュ力」だけにとどまらず、このことが僕の行動原則の礎になっています。まずは、そのことについて書いていきます。
小学生の頃、僕は少年野球のクラブに入っていました。
その当時、僕は読売ジャイアンツの川相昌弘選手や元木大介選手に憧れていました。普通なら松井秀喜選手や高橋由伸選手のような人気選手を好きになると思うのですが、まったく興味が湧かなくて。
そもそも僕は、自分が活かせるところや勝負できるところで存在感を出すほうが好きなんです。レギュラーに入れるのであれば、打順は9番目でもいい。自分にとっては、しっかりとポジション(役割)があるという事実が自信や安心感につながっていました。
僕が川相選手や元木選手が好きだったのは、みんなが「4番」とか「エース」を目指すなかで、その人にしかできない価値を発揮して、役割として認められていたからなんです。今思えば、自分の価値や能力を発揮できる場所を意図的に探っていたのかもしれないですね。
実際、小学生の頃は少年野球クラブでショートを守っていて、打順は1番か2番でした。その間、一度も4番でエースになりたいと思ったことはありませんでした。
中学生の頃は陸上部に入っていたのですが、高校に進学しても続けたいと考えていました。一方で、いざというときのために学業成績も疎かにしたくなかった。そこで陸上ができることを優先しつつ、勉強のことを気にしなくてもなんとかよい学業成績を保てそうな学校を選ぶことにしました。
そのために何をしたのかと言うと、志望校のランクを落とすことにしたんです。普通なら親が心配しそうなものですが、家庭の状況が大変な時期で子どもの進路にいちいち口を出してくることもありませんでした。
少し話が逸れますが、うちの祖父は僕と同じ経営者でした。しかし、バブルの時期に病気で他界し、借金だけが残る状態で父親が引き継ぐことになりました。
その後、父親は自己破産することになり、夜逃げ同然で引っ越しを余儀なくされます。また、親と離れて暮らす時期も6年ほどありました。僕自身は親戚の家を転々としていたので、進路選択について両親に相談することもありません。そうしたこともあり、僕は志望する高校に難なく入学することができました。
陸上の話に戻りましょう。
僕は100mランナーだったのですが、身長が165㎝程度しかなくて、選手のなかでもかなり小さいほうでした。一方、全国で活躍する選手は高校生でもたいてい180㎝を超えています。陸上において、身長はそれほどに重要なんです。
ちなみに、人類史上最速のスプリンターであるウサイン・ボルト選手の身長は195㎝もあります。
身長が足りない分、そのまま素直に勝負して勝つのはなかなか厳しいものがあります。そこで僕は、対戦相手がベストな走りができない状況をどうやったらつくれるかを真剣に考えました。そして、行き着いた答えが「とにかく50mまでいちばん速く走ること」でした。
人って誰かに前を走られていると追いつこうとして力むんです。そうすると、無意識に歩幅が小さくなり、スピードが伸びなくなります。しかも速く走れる人ほど前を走られたことがないので、対処する術を知りません。
結果として、身長が高くない僕でも上位に食い込むことができました。
陸上部を引退してからは、大学受験に取り組みました。スポーツに関する勉強がしたいと考えていたので、早稲田大学の人間科学部スポーツ科を志望しました。
受験科目は数学、英語、小論文の3科目。評定は、英語の採点項目が半分以上を占めていました。加えて、過去問を確認してみると、10年ほど傾向が変わっていませんでした。
有名校であればあるほど、どういう生徒を合格させたいかは変わらないはず。そうなると問題の傾向が変わる可能性は低いだろうと考えたのです。
そこで僕は、勉強時間の95%を英語にあて、しかも過去問で出てきた範囲だけを勉強するといった戦略に出ました。万が一、試験本番で問題の傾向が変わったら不合格間違いなしでしたが、運よくストレートで合格することができました。
通っていた高校は進学校ではなかったので、学校史上初の快挙だったそうです。
少年野球、部活(陸上)、受験のすべてを通して言えるのは、王道の戦い方を選ばず、自分がいちばん価値を発揮できる戦い方を模索してきたことです。
今ある手札でどのようにごまかすか、どうやったらうまく逃げ切れるのか――。それを常に考えてきました。
でも、これは特別なことではありません。自分の長所を活かす勝ち方は、誰にでもできます。問題は〝長所をどのように活かすか〟なのです。