コミュ力がなくても営業で成果が出せる!? あらかじめ会話のパターンを用意しておく戦法/コミュ力なんていらない⑦

ビジネス

公開日:2020/11/8

初対面の人と話すのが苦手だ、大勢いる場だと人見知りをして話せない…「自分にはコミュ力がない」と悩むすべての人へ。コミュ力が低くても仕事で成果を出す方法や、人間関係が楽になる術を厳選してご紹介します!

コミュ力なんていらない 人間関係がラクになる空気を読まない仕事術
『コミュ力なんていらない 人間関係がラクになる空気を読まない仕事術』(石倉秀明/マガジンハウス)

刺さった話のパターンをつくり、それだけ話す。

 僕は対面でのコミュニケーションが苦手で、その場の瞬発力でいろいろ話したり、相手の懐にうまく入ったりすることができません。

 でも、リクルートにいたときも、リブセンスにいたときも、DeNAにいたときも、営業成績は常にトップクラスでした。

 それを実現できていたのは、自分が苦手な方法で勝負をしないことを心がけて、勝てるパターンを習得していたからです。

 結論から言うと、すごく簡単な言葉と身近な例があれば共通認識が生まれるので、伝えたいことと近しい構造のものを見つけて、わかりやすくたとえて話すだけ。

 今から10年以上前のフリーター時代、僕は個人宅に電話をして、光ファイバーの契約を獲得する仕事をしていました。昼間から一軒家に在宅しているのは年配者の割合が圧倒的に多かったので、「ADSL から光ファイバーに切り替えませんか?」と案内してもピンとこないんですよ。そこで用いるのが、たとえ話。

 なんだかよくわからない光ファイバーの話を、相手の生活と関係のある話に置き換えてあげると決断できる材料ができます。

 

 そのときは「お買い物に行きますよね」からはじまり、「スーパーに向かうときは自転車ですか? 徒歩ですか?」と聞く。そこで自転車という返答があれば、「自転車が電動自転車になったと思ってください。そうすると重い荷物を運べてラクだし、ペダルも軽いので速く走れるようになりますよね?」と説明します。

 そして、「ADSL が光ファイバーになるのは自転車が電動自転車になるようなものだと思ってください。電動自転車が自転車に比べて高いように、便利になるので少し高くなりますが、毎日使うものが便利に快適になるのは嫌ではないと思うんです。これから光ファイバーも普及して当たり前になってきますし、今なら工事費も無料でできるので、どうですか?」とお伝えするわけです。これをひたすら繰り返していました。

 特にテレアポは、営業トークをパターン化して説明するにはもってこい。しかも、相手の顔を見ながら話す必要もありませんし(なんなら下を向きながら話していてもいい)、空気感を察する必要もありません。

 だから、僕みたいな対面で会話するのが苦手なタイプにとっては、ストレスなく働くことができるとても恵まれた環境でした。

 

 一方で、断られるのが嫌だという同僚もいました。でも、逆の立場になって考えてみてください。いきなり営業電話がかかってきたら絶対に断るじゃないですか。

 だから、断られるのが普通。むしろ話を聞いてくれる人は超いい人なんですよね。

 めちゃくちゃ断られるけど、世の中にはたまにとんでもなくいい人がいるんだな、と思えるようになってから、辛いという気持ちにはならなくなりました。

 断られるのが辛いというより、話を聞いてくれる人がこの世の中にこんなにいるんだって、嬉しい気持ちが勝ったというか。

 そう思えるようになると、メンタルが安定してきますから、仕事が楽しくなります。仕事が楽しくなると、結果が出る。結果が出ると、メンタルがより安定し仕事がより楽しいと思えてくるのです。

 

 「メンタルが安定すると結果が出る」「モチベーションが上がると結果が出る」と言われることもありますが、僕は逆だと思っています。

 どんなに楽しい仕事でも、1ヶ月頑張り続けて成果が出ないと、絶対に心は折れてしまう。でも1日10件成果を出せば、楽しくてしょうがなくなる。

 だから、安定して結果を出すにはどうするかということに向き合う必要があるのです。

<第8回に続く>

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