わが子の英語教育、何歳から始める? 「英語ダメダメお母さん」が英語ペラペラ小学生を育てた英語メソッドの秘密

出産・子育て

公開日:2020/11/2

0歳から始めて8歳で英語ガイドができる子を育てた 拓土くん家の英語メソッド
『0歳から始めて8歳で英語ガイドができる子を育てた 拓土くん家の英語メソッド』(拓土ママ(著)、原田哲男(監修)/KADOKAWA)

 4年ほど前、岡山後楽園で流暢な英語を使って外国人観光客と会話する小学生の姿に、私の目は釘付けになった。それは全国ネットの情報番組だったと思う。まだ幼さの残る8歳の男の子が、文化財について歴史的背景まで含めて説明していたのだ。それも、単なる暗誦ではない。相手に応じてちゃんと受け答えをしているではないか。もちろん、英語で。

 その少年の名前は川上拓土くん。ご家族はみんな英語を話さないし、海外に住んだこともないという。

 わが子にも、こんなふうに英語でコミュニケーションを楽しんでほしいと思った私は、VTRに映り込んでいた英語教材を早速スマホで検索した(その後、価格にひるみつつも購入し、今は娘とともに楽しんでいる)。

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 本書『0歳から始めて8歳で英語ガイドができる子を育てた 拓土くん家の英語メソッド』(拓土ママ:著、原田哲男:監修/KADOKAWA)には、英語の音を効果的に届ける英語環境のつくり方に加えて、拓土ママがどのように英語を話す機会を用意したのか、いかに本人の興味に沿って英語に触れさせていったのかが詳しく書かれている。それは「好きなもの、ハマっているものに英語を連れてくる」というやり方だ。その際に活用した本やDVDが紹介されているのもありがたい。

 また、原田哲男教授(早稲田大学教育・総合科学学術院)のコラムによって、学術的な見地からの解説が加えられており、納得感がある。

 さて、私がテレビで初めて拓土くんの姿を見てから4年の間に、彼はさらなる成長を遂げていた。

 海外の作家・アーティストとの親交をあたためていたり、環境問題を扱った絵本『プラスチックのうみ』(小学館より刊行)の翻訳までも手がけていたりと、どれも小学生が簡単に経験できることではない。

 拓土くんがこれほどの実力を身に付けられた理由について、本書の中で拓土ママはこう述べている。

「拓土が特別なわけではなく、赤ちゃんのころから英語環境をつくってきたから」

 早期英語教育に力を入れようとすると、ときには周りから白い目で見られることもある。

「赤ちゃんのうちから英語“勉強”させるなんて、かわいそう」とか「日本語の発達が遅れるんじゃないの?」などと言われたことのある人もいるはず(私だ)。

 しかし、拓土ママのやり方を知ると、そんな批判を軽くかわすことができる。

 まず、拓土くんは英語を“勉強した”とは感じていないし、赤ちゃんのときから英語に“触れてきた”からこその成果を体現している。

 そして、英語の絵本を翻訳できるほどの日本語の力までも身に付けているのだ。拓土ママによると、世界中から来た人々との交流が、日本への興味につながったという。

 わが子の個性に沿った拓土ママの英語メソッドは、「読めるけれど話せない」大人を量産してきた英語教育とは一線を画す。しかも、母親が英語ペラペラの「スーパーお母さん」である必要もない。

 子どもの英語教育に興味のあるプレママから、現在子どもの英語教育に奮闘している現役ママまで、ぜひ手にとってみてほしい。これは私たちの「おうち英語」のよきガイドとなってくれる1冊だ。

文=松山史恵