うっかり忘れないメモのとり方・書き方・活かし方って? “締め切り厳守で毎月1冊本を書く”プロが教える秘訣

ビジネス

更新日:2020/11/2

『メモ活』(学研プラス)
『メモ活』(上阪徹/学研プラス)

 重要なアポイントや、とっさに閃いたアイデアなど、人間はどんなに大切だと思っていることでも、つい「うっかり」忘れてしまうものだ。そのためメモをとる人も多いと思うが、イマイチ使いこなせていない、ということはないだろうか。

『メモ活』(学研プラス)は、メモを「どうとるか」「何を書くか」「仕事や人生にどう活かすか」を網羅した1冊。著者の上阪徹氏は、毎月1冊の本を書く文章のプロ。仕事で数多くの人に取材を行い、その内容を記事や本にまとめている。

 そんな著者は、これまでに1度も締め切りを破ったことがない。これを可能にしてきたのが「メモ」だという。早速、本書の内容を紹介する。

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とにかくメモする、いつでもどこでも・なんでもメモする

 著者のメモ術は、いたってシンプルである。人は必ず忘れてしまう生き物という大前提のもと「とにかくメモする、いつでもどこでも・なんでもメモする」のだ。

 大事なスケジュールはもちろん、「仕事のポイント」もすべてメモする。その時、いわゆる小型のメモ帳ではなく、A4サイズのノートを使うのが鉄則だ。

 A4サイズのノートは、同じページにたくさん書けるという利点がある。たとえば、商談相手とのアポイントについてメモしておくとしよう。日時や場所、担当者名、何かあった時にすぐ連絡をとれるように電話番号もメモしておけると安心だ。

 ひとつのスケジュールをメモするだけでも、意外にたくさんの情報があり、小さなサイズのノートや手帳では管理が難しい。また、小さなメモ帳に色んなメモを残すと、情報があちこちに散らばって、収集に手間がかかる難点がある。

 時間をムダにせず、効率よく仕事をするために、A4サイズのノートにメモ(=情報)を集約しておくのは、何かと便利なのだ。

仕事中のメモは「何のためか?」目的意識をはっきりさせる

 なんでもメモするとはいえ、商談や会議中の内容をすべて記録しておくのは難しい。メモをすることに必死になって、肝心の内容が頭に入らないのでは本末転倒だ。

 では、「仕事のポイント」をきちんとメモするには、どうすればいいのか。本書によると、大切なのは何のためにメモをとるのか、目的をはっきりと意識することである。

打ち合わせでも会議でもミーティングでも商談でも、その場がセッティングされている目的があるはずです。それをしっかり理解して、臨むことです。(p.87)

 また、メモすることは誰かの発言だけではない。たとえば、商談中にこちらが提案したことに対して、相手の「様子」は厳しかったか、好意的だったか。その様子をメモしておけば、会社に戻ってから、上司に的確な報告ができるだろう。

 実際に自分の目で「見たもの」は、メモするに値する貴重な情報なのだ。

とっさに浮かんだアイデアを物にする「攻めのメモ」術

 スケジュールや仕事中のメモは、いわばうっかりを防ぐ「守りのメモ」。それよりもアグレッシブな「攻めのメモ」の代表例が、新しい仕事や企画に直結するアイデアメモだ。

 アイデアというと、お風呂でシャンプーをしていたり、ジョギングをしている時にパッと思い浮かんだりしたことのある人は多いと思う。それもそのはず、アイデアは脳が油断した時にこそ浮かびやすいのだという。そのため著者は、デスクで企画やアイデアを考えることはないそうだ。

 著者いわくアイデアは閃いた時に「即スマホにメモ」。つまり電子ツールのメモ機能を活用するのだ。

「アイデアを出そう」と身構えてしまうと、やはり出てこない。だから、私がやっているのは、自然体で過ごすことです。(中略)思わぬところで、脳の考えてくれていたものが、出てくる瞬間があるのです。だから、何かの拍子にアイデアが出てきたとき、すぐにキャッチしてメモしておくこと。このことが、なにより大事なのです。(p.150)

 スマホにメモしたアイデアは、ノートに手書きして整理していく。手書きはPCやスマホで文字を打つよりも脳に刺激を与えると言われており、改めてこの作業中に新たなアイデアが浮かぶこともあるそうだ。

 著者のメモ術は「とにかくメモする」とシンプルだ。だからこそ、もっと詳しく! と思ったのなら、本書を手に取ってみるといいだろう。A4ノートをどう使う? 文字の色分けは? メモをもとに企画書やブログなどの文章をスピーディに書くには? ――その答えがすべて詰まった1冊である。

文=ひがしあや