「ウチの子にはまだ早い」と思っていませんか? 婦人科受診は何歳からでもOK!/思春期の性と恋愛 子どもたちの頭の中がこんなことになってるなんて!⑥
公開日:2020/11/18
性教育Twitterで人気の思春期保健相談士・にじいろが、子どもたちのリアルな疑問や悩みを集め、医師夫婦・アクロストンがそれに答えた1冊! 思春期の子どもの親として知っておくべき性の最新知識をご紹介します。
婦人科受診
FROMにじいろ
大人のサポートが大事
「ハードルが高い」と言われがちですが、下調べや親の一言でハードルは下がります! 安心して前向きに受診できる一言を。
婦人科は何歳からでも受診OK。女子のからだの悩みは何でも相談しましょう
娘がいる親にとっては、気軽に相談ができる婦人科があると非常に助かると思います。特にお子さんに生理の不調がある場合は、心強いですよね。婦人科は子どもが行くところではないと思っている人もいるようですが、婦人科は何歳からでも受診可能です。
ただ、低用量ピルを希望する場合は、中学生には処方してくれないところもあるので、事前にホームページでチェックしましょう。また子どもによっては、どんな医師が診察してくれるのかが気になる場合も。ホームページで子どもといっしょにドクターの性別や雰囲気もチェックしておくといいと思います。女子は女性医師を希望する場合が多いかもしれませんが、子どもによっては女性医師がいいとも限らないものです。
最近は思春期の子ども専門の外来もふえています。16歳になっても生理が一度もこない場合は、思春期外来を受診してみましょう。女性のからだに生まれてきたことに違和感を持っている子が生理の不調で悩まされているときは、思春期外来での受診を特におすすめします。また、思春期の子に、初回から内診をすることはほぼありません。問診とおなかの上からエコーを当てる程度です。問診では、セックス経験について聞かれます。秘密は守ってくれますので、正直に話すように伝えてください。
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にじいろコラム
薬を使いたくても親が反対!?
ある日、「廊下でうずくまっている女子生徒がいるから来てほしい」と保健室に連絡がありました。かけつけると、1年生のAでした。意識はあるものの、顔色が悪く冷や汗をかいています。その場にいる男性教諭には「大丈夫です」としか言いません。保健室に連れていくと、「実は生理痛をがまんしていただけなんです」と話し始めました。そういえばこの子、先月もそう言って保健室に来ていたな……。「薬は飲んだ?」と聞くと、「薬はからだに悪いし、私もがまんしていたからあなたもがまんしなさい、ってお母さんに言われています」と。そこで私は、生理痛はがまんしなくてもいいこと、鎮痛剤を飲んでもいいこと、低用量ピルで改善できること等を話し、一度、婦人科で相談してみることをすすめて彼女を帰しました。
1カ月後、彼女はまた生理痛をがまんして教室で倒れ、保健室に運ばれてきました。「お母さんに話してみたけど、高校生が婦人科に行くなんて! ピルを飲むなんて! と怒られた」と言います。そして「私は病院に行きたいけど、お母さんには何を言っても、どうせ反対されるし、私のことはなんでも勝手に決めるし」と。彼女はあきらめモードです。でもこの状態をずっと繰り返すわけにもいかない……そこで担任と相談して、私からお母さんに電話をすることにしました。毎月生理痛で学校生活に支障が出ていること、生理痛を放置することで、将来に影響する可能性があること等を伝えました。最初は産婦人科受診に抵抗を示していたAの母ですが、ほかにも同じような生徒が何人もいること、近くのB病院には10代専門の思春期外来があることを伝えると、「そこで診てもらえるのなら」とAを病院に連れていってくれることになりました。
こういった知識や情報は、親・大人にも伝える必要があります。子どもたちが知識+αで自分のからだや人生を守ることができるよう、+αの部分を大事にしていきたいです。