世界一正確な「鉄道網」の仕組みって? JR東日本のノウハウに感嘆の声
公開日:2020/11/13
秒単位で正確な運行が行われている日本の電車。東京都内では1日にのべ4,000万人が電車を利用していて、路線数は世界一だと言われています。今回はそんな鉄道網の仕組みについてご紹介していきましょう。
時刻表通りに電車を運行する技術
2019年6月29日にNHKで放送された『東京ミラクル』について、大きな反響が上がりました。番組では「巨大鉄道網 秒刻みの闘い」と題して、JR東日本の心臓部である「東京総合指令室」に取材を敢行していました。
東京総合指令室は首都圏を走る24路線の運行を、550人の指令員が管理している部署。様々なトラブルによって発生した遅延を、列車や駅に指示を出して回復させるために日々奮闘しています。
番組の取材中に人身事故が発生すると、指令室はたちまち慌ただしい雰囲気に。そこで指令員は「延発整理」という指示を出しました。延発整理とは次の電車が近づいてくるまで、電車の発車時間を延期する方法。これによって電車の間隔を調整し、駅のホームに乗客が溜まりすぎるのを防げるそう。
さらにダイヤ乱れが深刻になった際には、苦渋の決断として「運転取りやめ」を指示。大幅に遅延している電車をあえて運休にすることで、他の電車が時刻表通りに運行できるようになります。しかし利用者に多大な影響が出てしまうため、関係者は「点数で言うと100点はない」「本当に判断は難しい」と語っていました。
そもそも日本で電車がひしめき合う「過密ダイヤ」が生まれたきっかけは、1923年の関東大震災。被災者たちが郊外に移住したことで鉄道網が発達し、乗客数は大正時代を通して15倍に急増。満員電車が深刻化するなか、少ない路線で最大限多くの列車を走らせるために運行システムが発達していきます。
日本の鉄道技術を紹介した内容はネット上でも大きな話題に。番組は同年7月にも再放送され、「ノウハウを見てちょっと感動した。日本の技術と正確さに感謝」「都心の鉄道網を支えてる人はやっぱり職人だなと」「職員の技術がすごすぎる。この人たちが東京動かしてるなと本当に思う」と驚きの声が続出していました。
鉄道会社による様々な「遅延対策」
鉄道会社では遅延を防ぐため、様々な取り組みを行っているようす。2019年1月に国土交通省が公開した「東京圏の鉄道路線の遅延『見える化』」という資料では、各鉄道会社の遅延対策がまとめられていました。
たとえばJR東日本ではホームからの転落や列車との接触を防ぐために、2010年からホームドアの導入をスタート。2032年度を目途に、東京圏の主要路線全駅への整備が進められています。
また東急電鉄では早朝利用者に東急線アプリでクーポンを配信するなど、「時差通勤」を積極的に推奨。京急電鉄は2016年2月、各駅の係員に列車在線位置が把握できるタブレット端末を配布しました。
鉄道会社の苦労について深く知ると、毎日の通勤が少しだけ楽になるかもしれませんね。