韓国ドラマの超人気脚本家によるファンタジー・ラブロマンス! 霊感のある少女と900年以上生きた男が出会う「トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜」
更新日:2020/11/21
もし韓国ドラマを観たいが何から観たらいいか迷っている、という人がいれば、たとえば脚本家を基準に選んでみるのもいいかもしれない。
たとえば、Netflixで配信されている韓国ドラマ「ザ・キング:永遠の君主」の脚本を務めるキム・ウンスク氏は、韓国のヒットメーカーとされる脚本家だ。キム・ウンスク氏は、「太陽の末裔」や「シークレット・ガーデン」「相続者たち」など数々の社会現象になるほどのヒット作を生み出してきた。
その中でも独断と偏見でまずオススメしたいのは、「トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜」だ。
主演は、今年日本でも公開された韓国映画『82年生まれ、キム・ジヨン』でも主演を務めたコン・ユ。過去には「コーヒープリンス1号店」などで話題になり、日本でも多くのファンをもつ人気俳優だ。彼が演じるのは、900年以上不滅の命を生き続ける“トッケビ”と呼ばれる存在。本名はキム・シンと言い、高麗時代は民衆から信頼を集める英雄だった。しかし、若き王の嫉妬により逆賊として命を落としてしまう。その後、神の力によって不滅の命を手に入れた彼は、900年以上の間人間として生き続けるのであった。
彼の命を終わらせることができるのは、“トッケビの花嫁”だけである。彼の胸に刺さった剣を花嫁が抜けば、そこで彼の命は尽きる。そして、900年以上経ったある日、とつぜん自分こそがトッケビの花嫁だと語る女子高生に出会うのだった。
トッケビの花嫁のチ・ウンタクを演じるのは、実力派女優として名高いキム・ゴウンだ。少し幼さの残る顔立ちと愛嬌たっぷりの彼女の演技は素晴らしく、年上(それにしたって年上すぎる)のキム・シンをおじさん呼ばわりして懐く姿は愛らしい。
長い時代を横断して生まれるラブロマンスには、さまざまな足枷が存在する。同じく高麗時代から世に存在し続けキム・シンを憎む側近や、ウンタクが死にかけたところをたまたまトッケビが助けてしまったがゆえに、「処理漏れ」として常につきまとう死神、そして、そもそも花嫁と結ばれることで死んでしまうというあまりにも酷な運命。
高麗時代から現代までを反復横跳びのように行き来しながら、ときに敵であるはずの死神とのコミカルなやり取りに笑わせられ、ときに逃れられない運命に胸を詰まらせ、数々のちりばめられた伏線が回収されていく展開に鳥肌が立つ。ダイナミックな物語をこれほど隅々まで隙なく作り上げた脚本と演出が素晴らしいドラマだ。
設定だけ聞くとファンタジックな要素が多く、観るのを躊躇してしまう人がいるかもしれないが、ドラマ自体は基本的に現代を舞台にしたコミカルなラブコメ調である。死神とトッケビがなぜか同居する羽目になったり、ウンタクの愛らしさにいい歳してふりまわされるトッケビが可愛かったり、心温まる名シーンも多くある。きっと一度観たら虜になる“キム・ウンスクワールド”全開の作品だ。
文=園田もなか