若い今、自分の「死」について考えること。後悔しない人生を送るための死に方改革

暮らし

公開日:2020/11/12

『死に方改革 「死」に備えることで豊かに生きられる』(川嶋朗/ワニブックス)

“自分の死について考えておくことは、自分らしい人生を生きるために欠かせないことなのです”

『死に方改革 「死」に備えることで豊かに生きられる』(川嶋朗/ワニブックス)は、“生き方”についての本だ。「死」について語ることはタブー視されることも多いが、全ての人にいつか必ず訪れるということは紛れもない事実だ。それならば、あらかじめ「死」について考えておくことで、より豊かな人生を送ることができると医学博士でもある著者の川嶋さんは考える。これは決して高齢者に限った話ではなく、あらゆる世代にとって重要なことだ。

 死について考えるときに欠かせないのが、健康寿命についてだ。平均寿命が延びていく現代で、健やかで自分らしい人生を謳歌するためには、若い頃から運動不足や喫煙、食生活などにも注意していかなければならない。川嶋さんは、“平均寿命は医療の進歩だけでも延びますが、健康寿命を延ばす主役は医療ではない”と指摘し、医療ではなく自分自身の生き方が重要であることを指摘する。

 そこで川嶋さんが提唱するのが、「QOD(Quality Of Death:クオリティ・オブ・デス)」である。これは、よく知られた概念であるQOL(Quality Of Life:クオリティ・オブ・ライフ=人生の質)の対義語とも感じられるが、単にそうではない。QODとは、「本人が理想とする生き方をし、さらにはあとに残された家族にも後悔の念を与えないような亡くなり方をすること」とのこと。タブー視せずに考えてみることで、人生が変わるはずだ。

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 本書ではこのQODを高めるための具体的な方法が紹介されている。そのなかの「人生のToDoリスト」の3つを見てみよう。

・Have To Do(やるべきこと)
人生で得た知識や技術のなかで、家族や友人、後輩に引き継ぐべきだと思うものを挙げておく。

・Be Able To Do(できること)
家族や社会、未来に自分が貢献できることを考えてみる。

・What To Do(やりたいこと)
やってみたかった趣味、行ってみたかった場所への旅行など一生のうちにやりたいことを整理してみる。

 これらについて、若い年齢のうちに「死」から逆算して物事をあらかじめ考え、書き出しておくことで、自分の人生をより豊かに生きることができる。ほかにも、家族で死について話し合う「人生会議」を開く、延命治療の「事前指示書」「リビング・ウィル」を書いておくなど、具体的なアドバイスも満載の本書。長寿社会を健康で自分らしく生き抜いていくために、今立ち止まって「死」について考えてみることが大切ではないだろうか。

文=えんどーこーた