「何となく不安」の原因はスマホ!? メンタリストDaiGo流「究極のマインドフルネス」
更新日:2021/6/28
誰だって、幸せになりたいと思いながら生きている。しかし現実は「あの時、ああしておけば…」という後悔と、「これから先、どうなるんだろう」という不安が募る毎日をおくってはいないだろうか。そして頭を悩ませるこれらの問題は、とにかく漠然としていて解決の糸口すら見つからない…。
そんな不安だらけの毎日、不幸な自分を変える手がかりになる1冊がある。メンタリストDaiGo氏の『自分を操り、不安をなくす 究極のマインドフルネス』(PHP研究所)だ。本書では、日々の漠然とした不安感を和らげ、幸せに生きられる「マインドフルネス」な状態を目指す方法が解説されている。
マインドフルネスとは、一言でいうと「気づき」とのこと。先入観を持たず物事をありのままに見ることで、大事なこと、本質的なことに「気づく」ことができるようになる。そして幸福度が高まり、不安やストレスから解放されるのだという。本書の内容を一部紹介する。
漠然とした不安の正体は…「マルチタスク」
何となく不安、という感情を抱いたことのある人は多いと思う。考えても仕方がないことでクヨクヨしてしまい、目の前のことに集中できない、といった経験はないだろうか。
この消したくても対処のしようがない“何となくの不安”について、これまでに数々の研究が行われてきている。そして、明らかとされた“何となくの不安”の正体は「マルチタスク」だという。
マルチタスクとは、簡単に説明すると「同時進行でいろいろなタスク(作業)を処理しようとする」こと。一見、効率がいいように思えるが、人の脳はマルチタスクでは集中ができないようになっている。あれもこれもいっぺんに作業しようとすると、成果が上がらない割に脳は疲労し、漠然とした不安感にも繋がるというのだ。
特に現代人の日常にはスマートフォンが欠かせない。スマホは便利な反面、集中力を削ぎやすく、人をマルチタスクな状態にしやすいのだという。
お坊さんとサイコパスの意外な共通点
マルチタスクに陥りがちな現代人が、漠然とした不安を和らげるにはどうしたらいいのだろう。本書にはマインドフルネスの実践者として、ある意外な人物を挙げている。それが仏教の僧侶、いわゆるお坊さんと、なんと“サイコパス”だ。
両者の脳を調べると、前頭葉前半部の働きが似ています。サイコパスの脳は大脳の機能の偏りが少ないので、ポジティブ感情の増加、不安感の減少、集中力の増加、そして報酬思考が強くなります。(中略)一方、ある研究によると、深い瞑想状態に入ることができるようになったお坊さんにも同じような特徴が確認されています。(pp.207〜208)
彼らの脳には「目の前のことに集中して生きる」という共通点がある。「今、ここ」に集中して生きているため、彼らは過去の後悔や未来への不安にとらわれ、今の時間を無意味に過ごすことがないのである。そして彼らのこの状態こそが「マインドフルネス」なのだ。
サイコパスのように生きればいいの? と不審に思う方もいるだろう。確かにお坊さんとは違い、サイコパスにはマイナスなイメージが強い。しかし本書によるとサイコパスにはプレッシャーに強い、余計な不安を抱かないなど人生の役に立つ“いい面”もあるという。これを「ファンクショナル・サイコパス」というそうだ。
とはいえ、我々がマインドフルネスな状態になるために、今から出家してお坊さんになったり、サイコパスになろう! というのは現実的ではない。そこで彼らのような状態に近づいて生きるためのメソッドが、本書で多数紹介されており、そのひとつが「瞑想」である。
瞑想とは、目の前のことに集中するための練習といえる。瞑想にはさまざまなやり方があり、一般的に実践しやすいのは「自分の呼吸に集中する」方法だという。継続して行うほど、1回あたりの瞑想で得られる効果が高まるといわれており、“やればやるほど”漠然とした不安に悩まされなくなるそうだ。
何となく名前は知っていても「マインドフルネス」をつかみどころのない概念のように感じている人は多いと思う。本書は数々の研究結果をエビデンスとして、脳科学や心理学の観点からマインドフルネスについて分かりやすく学べる内容となっている。
漠然とした不安を抱えながら日々を悶々と過ごすより、今を大切にして生きられたら、その積み重ねの先にある未来もきっと違ってくるはずだ。メンタリストDaiGo式マインドフルネスメソッドを、よりよい人生をおくるための手がかりにしてみてはどうだろう。
文=ひがしあや