まるで乙女ゲーム状態!? イケメンと一緒に恋愛パラメーターが見えるようになったJKの一部始終

マンガ

公開日:2020/11/20

『神様が恋をしろと言っている!』(花松あやか/集英社)
『神様が恋をしろと言っている!』(花松あやか/集英社)

 青春時代の入り口、今後の人生にきっと大きな影響を与えるだろう中学・高校時代。もしその学園ライフが男女別学だったら、ほとんどの人にとって“恋に関するイベント”は、可能性が低く、異世界ファンタジーな領域だろう(もちろん中には、かつてのテレビドラマのように学内の教師に恋する上級レベルな人もいるかもしれないが…)。

 そんな環境で過ごしてきた人が進学や転校を機に共学の学校に通うことになれば、待っているのは出会いの広がり、本格的な恋の解禁だ。自分の世界がぐっと広がり、ドラマティックな展開に期待してしまう人もいるはず。今回は、そんな展開が恋愛シミュレーションゲームの主人公のように突然訪れる、女子校出身の転校生少女が主人公、“ときめきどっきんこ”しちゃう乙女ゲーヒロイン系学園ストーリー、花松あやか先生の『神様が恋をしろと言っている!』(集英社)をご紹介!

男女共学へ転校初日、早速イケメンとの出会いが…!?

 高校2年生の中野千夜子は、父親の転勤によって女子校から共学の高校へ転校することになり、心の中は男子と出会いが増えてドラマティックな青春が送れる…と期待で溢れていた。そしてやってきた転校初日。ドキドキしながら廊下を歩いていると早速、少女漫画の王道である「曲がり角でドン」で始まる出会いが。ふと顔を見上げるとそこには…はい、きました、イケメン! 千夜子は当然のことながら、この鉢合わせハプニングに舞い上がりテンパりまくる。と同時に、千夜子の目の前に信じられないものが浮かび現れる。それは、鉢合わせした男子のセリフと、そのアンサーとなる3つの“選択肢”が表示されたウインドウ。突然の状況を把握できていないものの、千夜子はアンサーのうちのひとつを答えてみる。すると、それに対する男子のリアクションとともに、今度はハートとバーが男子の横に空間表示され、まるでゲームのパラメーターのようにメーターがアップする演出が。なんのことだか理解できないまま初めて教室へ入ると、そこでもイケメン男子に話しかけられるイベントが。再び例の選択肢やパラメーター表示が出現する。

 この一連の流れに「まるで乙女ゲームみたい…」と考える千夜子。半信半疑ではあるものの、普通じゃありえないようなレベルで次々と押し寄せてくる“恋のチャンス”に千夜子はちょっとした考えを抱えだす――「神様が私に恋をしろと言っている」と。

 果たしてこの先どんな恋のハプニングとイベントがやってくるのか。そして、パラメーターが100%満たされたときにはなにが起きるのか。乙女ゲームのように繰り広げられる、ときめきどっきんこな恋のスクールライフの幕が開けるのであった。

 いったいどんな徳を積んだらこんなうらやましい学園生活を送ることができるのだろうか! 千夜子はそれまで全然男子と交流がなかったのに、このシステムのおかげでイケメンとお近づきになり、キュンキュンするようなさまざまな場面に出くわしていく。

 千夜子を導く恋のお相手候補は5人。おっとり系からグイグイ系までと個性派揃いだ。私が知るに、乙女ゲームの世界へ転生する物語や、ちょっとはずかしいムチャ振りっぽい選択肢を迫られるようなコメディとは一風異なり、リアルな世界で、しかも選択肢も別の意味で悩ましくなるような、まさに王道の恋愛シミュレーションゲームのような展開。読者もきっとすんなりこの作品世界に入り込んで楽しめるはずだ。ちなみに、千夜子はこの1巻でバッドエンドとパラメーター100%達成の両方を体験することになるのだが、誰とどういう結果を出したのか、ぜひワクワクドキドキしながら見届けてほしい。

 千夜子がキュンキュンしたりイケメンに対するリアクションの表情が、そのたびそのまま顔に出ることが非常に可愛いし好感度が高い! 花松先生の“千夜子愛”には計り知れないものがあると想像する。そしてそれは担当編集さんも同様ではと勝手に考える。というのも、(紙のコミックスに限るが)カバー下にも千夜子のさまざまなリアクションのダイジェストがちりばめられているから。わかります、私もこの子、大好きです。ぜひ「次にくるリアクションラブコメヒロイン」として推させていただきたい。

 こんなに明るくて楽しいイケメンハーレム漫画に出会えたのは、きっと神様が私に読みなさいと言ってくれたのかも…?


文・手書きPOP=はりまりょう