“飯テロ”ならぬ“旅テロ”マンガで妄想ひとり旅を満喫!? 行ってみたから分かる癒しの旅コミック
更新日:2020/11/22
Go To トラベルキャンペーンの期間中ではあるものの旅行のハードルはまだ高い…ただその気持ちだけでも充足させられる作品が誕生した。『ぼっち旅』(鳶田ハジメ/フレックスコミックス)は、旅好きにたまらない“飯テロ”ならぬ、“旅テロ”マンガなのだ。特にひとり旅が好きな人には。
著者の鳶田氏が向かうのは、【沖縄・西表島】【福井・東尋坊】【北海道・網走】など自然が豊かな場所。そこを基本的にはひとりで目指す。
旅行しにくい現状で、旅に出たくなるマンガなんて! と思われるかもしれない。いや、ちょっと言い過ぎた。本稿のライターもひとり旅が好きなので「わー旅に出たいー!」となったが、それ以上に「ぼっちでも気ままなひとり旅」その楽しさを、満喫した気にさせる作品、と言いなおさせてもらいたい。
“ぼっち旅”は素晴らしいものだ。作品内で鳶田氏も言っているが、寂しいときもある。だがとにかく人に気をつかわなくていいのが魅力だ。のびのびと、みたいものをみて、行きたいところに行き、食べたいものを食べられる。
また、友人と現地集合、現地解散。食事だけ共にしたり、アクティビティだけ一緒にやったりしてもいい。基本自由。“ぼっち旅”は一度ハマるとやめられないのだ。ではそんな体験型の旅マンガをレビューさせていただく。
網走! 東尋坊! 心ウキウキ、ときめき“ぼっち旅”のススメ
“ぼっち旅”の素晴らしさに目覚めた鳶田氏は女性である。今はもうスマホもあり、時刻表も宿泊先の予約もチケットもマップも片手で簡単。電波は海上でも届くほどだ。他人の予定を考えず、「明日行くか」で出かけられる“ぼっち旅”が存分に味わえる時代なのだ。本来は…。
鳶田氏は旅と風景と生き物とお酒が大好き。そんな彼女が訪れた場所は以下の通りだ。
【沖縄・西表島】
目的はジャングルの中にいる野生のヤシガニだ。その圧倒的存在感…。泡盛を飲みつつ満喫する。
【福井・東尋坊】
分かる人には分かる2時間サスペンスドラマの聖地。奇岩と断崖絶壁に圧倒される。“サスペンスの帝王”船●さん気分は味わえるのか…?
【北海道・網走】
真冬に北の大地の網走(あばしり)へ。某マンガで一躍有名になった監獄の他にも流氷やスノートレッキングのようなアクティビティも。
【東京・大島の火山トレッキング】
東京砂漠は実はあるのだ本当に。というわけで向かった伊豆大島。地元の焼酎盛若とくさやを味わい、伊豆の踊子の舞台、砂と風の大地へ向かう。その顛末は作品で。
町、自然、動植物、特産物、グルメなどがカロリー高めの作画(ご本人曰く!)で描かれており、単純な感想で恐縮だが「絵、うまっ!」。サブタイトルに「絶景スケッチ」とあるが、まさに行ってみたくなる情景が緻密なタッチでスケッチされている。
~人見知りマンガ家のときめき絶景スケッチ~未来に想いをはせよう
サブタイトルには“人見知り”ともあるが、鳶田氏も旅先で自分と同じような“ぼっち旅”中の女性(初対面)と出会い、仲良くなることもある。旅先のお店で地元の方と仲良くなることも。人見知りとは思えないのだが…笑
鳶田氏はうまくいかないマンガ家業から、いったん離れていた時期があったという。そんなときに“ぼっち旅”をするようになった。最初はただの癒しだったが、いつしか夢中で旅をしては絵を描いていくように。それが本作の出版につながったのだ。
鳶田氏には“ぼっち旅”が、マンガ家復帰のための絶妙なインプットとインスピレーションになったのかもしれない。
行ってみないと分からない“コト”を伝えてくれる本作の続編をまだまだ描いて欲しい。Twitter
(@kazuholland_dr)
を見ると、やはり“ぼっち旅”は続いているので期待大だ。
ひとり旅に限らず、気兼ねなく、自由気ままに旅ができる状況に早くならないかな…と思いながら、今は『ぼっち旅』を読み返していよう。
最後に、「鳶田先生の旅は、ぜんぜんライトじゃないです…笑」
文=古林恭