「支払い額の多い客でも優遇しない」という飲食店のモラルに賛否?

ビジネス

公開日:2020/12/3

「支払い額の多い客でも優遇しない」という飲食店のモラルに賛否

 何か事情があって飲食店に長居する時には、「お店に迷惑がかかっていないか」と気になってしまうもの。そこで今回は日本と海外の比較を通して、店員がどんな意識をもって接客を行っているのか見ていきましょう。

日本の民間企業は「お金で差別」しない?

 昨年8月25日に作家の藤沢数希さんがファミリーレストランで体験したとある出来事についてツイートを行い、大きな話題を呼びました。

 ある日、レストランの店内で6時間ほど作業に取り組んでいたという藤沢さん。長居によって迷惑がかかることを考慮して6,000円以上の注文を行っていたようですが、混雑してきたタイミングで店長から追い出されてしまうことに。そこで藤沢さんは店長が客単価を考慮せず、「ドリンクバー300円で二時間いる客」ではなく自分に声をかけたことを“面白い”と感じたそうです。

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 続くツイートで、藤沢さんは日本の民間企業について「たくさん金を払う客を優遇しない」と指摘。またアメリカと日本を比較し、“モラルの違い”があるという議論も展開しています。アメリカでは普通のレストランでもチップ払いに応じて扱いが悪くなり、お店に払った金額によって“差別”することが庶民レベルのモラルになっているとのこと。それに対して日本では「たくさん金払う客を贔屓するのは悪いこと」という風潮があると分析していました。

 一連の投稿に対して、ネット上では「お金がないお客さんも平等に扱うのは、日本人の美徳のような気もする」「興味深い考察ですね。効率を無視した日本人のもてなし気質に由来するのかな」などの声が。また「自分がその店長なら出ていくようにお願いすると思います。いくら金を払う客がいたとしても自分の給料は変わらないし、会社の利益なんてどうでもいいと思ってしまうから」という、店員側の目線に立った意見も上がっています。

「お客様は平等」という意識の是非

 どんな客も差別しない“平等主義”は美徳とも言えますが、その一方で弊害が生じてしまう可能性もあるようです。2018年11月に放送された『クローズアップ現代+』(NHK)では近年深刻化しつつある「カスタマーハラスメント」について特集されていました。

「カスタマーハラスメント」とは飲食店などの客が店員に対して過剰なサービスを要求したり、理不尽なクレームを行ったりすること。番組に出演したタレント・厚切りジェイソンさんは、アメリカでは店員と客が対等な立場にあり、理不尽な要求に抵抗するためハラスメントが生じにくいと指摘していました。

 また番組ではハラスメントに一石を投じるものとして、都内に展開する居酒屋チェーンの取り組みを紹介。その店舗に掲示された張り紙には「おい、生ビール」と注文するとビールが高額になり、「すみません。生一つください」と丁寧な言葉遣いをすると定価になることが記されています。

 太っ腹な上客も迷惑客も“差別”しない日本の飲食店文化は、今後どんな風に変化していくのでしょうか。