数百万円で企業を購入!? ブームになりつつある「個人M&A」
公開日:2020/12/4
企業の合併・買収を意味するM&A(Mergers and Acquisitions)。一般的には企業間で行われている印象がありますが、昨今では個人が中小企業などを買収する「個人M&A」に注目が集まっているそうです。
「個人M&A」に挑戦するサラリーマンが急増中!
以前放送された「クローズアップ現代+」(NHK)では、実際に個人M&Aを行っている人々に密着。脱サラして会社を買った元サラリーマンは、番組の取材に「給料プラス株式所得がもらえるってなった瞬間に、これだーと思ったんですよ」と答えていました。
彼のように中小企業を個人で購入するサラリーマンは増えているようで、売り手と買い手をつなぐマッチングサイトなども利用者が殺到。買収額はサラリーマンがギリギリ手が届く金額となっており、例えば元トラック運転手は250万円で豆腐工場の設備を丸ごと購入しています。またTシャツ会社を50万円で取得した40代会社員も。かなり低めの金額ですが、商品の受注は右肩上がりなのだそうです。
このような動きの背景にあるのは、近年問題視されている中小企業の後継者難。経営が黒字であっても経営者の後継者不足で廃業する中小企業が続出しており、数百万円の対価で事業引き継ぎを考える企業も少なくありません。このような「売り手」の事情と、老後の収入を考えるサラリーマンたちの需要がマッチして個人M&Aがブームに。ネット上でも「ちょっとチャレンジしたいかも」「定年で退職する前に勉強しておきたい」といった声が上がっていました。
個人M&Aの「リスク」とは?
以前よりグッとハードルが下がった印象の個人M&Aですが、やはり相応のリスクがある模様。番組に登場した元大手メーカー技術者の手島さんは、150万円でフリーペーパー発行事業を購入。しかし技術者だった手島さんは不慣れな電話営業などで苦戦して、結果的に赤字を抱えてしまったそうです。
実際に世間の声を見てみても、「本当に『金のなる木』なのか分析できないと個人M&Aはできない」「勢いで会社を買って失敗するケースもありそう」「赤字でどうしようもないから格安で事業を手放す企業もあるのでは?」と慎重な人は多い模様。また「本当に成功する人は一握りでしょ」との指摘もあり、中々甘くはないのかもしれません。
とはいえどのような事業であっても、お金を稼ぐには大なり小なりリスクが必要。堀江貴文さんもYouTubeチャンネル上の動画で、個人M&Aを始めようか悩んでいる質問者に「意味がないことを考えるのは止めましょう。何だってリスクはあるよ」と答えていました。
個人M&Aがどのように広がっていくのか、今後も注目していきたいですね。