たった1行の格言で、人生は変わる!『凜として生きるための100の言葉』
公開日:2020/11/27
女性が内側からも外側からも綺麗になる方法を日々ブログなどで発信し続け、著書も98万部を超えるカリスマメンタルコーチ・ワタナベ薫さん。そんな彼女の最新刊は、古今東西の偉大な女性たちと、彼女自身の言葉を集めた『凜として生きるための100の言葉』(KADOKAWA)だ。2020年は、生活が大きく変わったという人も多いだろう。そんな中で、ワタナベさんが実感した“言葉の力”とは? 自分らしく生きるための信念、価値観の見つけ方とは? お話をうかがった。
「偉大な先人たちの力強い言葉に、私自身が励まされました」
──ワタナベさんご本人が登場するカバー、とてもエレガントに仕上がっていますね。
ワタナベ薫さん(以下、ワタナベ) ありがとうございます。実はこの装丁に使われている写真は、私のクライアントの作品でもあるんですよ。私のコーチングを受けてくれたメイクさんと、ヘアスタイリストさん、衣装さんで毎年作品を撮影していて、今回のカバー写真も、彼女たちとの作品のひとつです。思い出の本になりました。
──今回のご本では、古今東西の偉人女性や、ご自身の格言を解説していらっしゃいます。ワタナベさんの今までのご著書にはなかった内容で、新鮮ですね。
ワタナベ そうですよね。しかも、今まではブログの編集プラス加筆修正で本をつくってきましたが、今回は完全な書き下ろしなんですよ。私にとって、新たな挑戦です。
女性の格言に集中したのは、女性に読んでいただける本にしようと思ったから。女性に響くのは、やはり同じ女性の言葉ではないかなと考えました。私は毎年、カレンダーをつくっているのですが、そこにはふだんよりもちょっと強い調子で格言を書いていて、「ここにほかの方の格言もあったらおもしろいんじゃないかな?」と思ったこともきっかけですね。
──ジャンヌ・ダルクから樹木希林さん、そしてワタナベ薫さんという、いろいろな時代の女性の言葉に、同じように力強く自分の中に沁み込んでくるものがあることに驚きました。
ワタナベ 私自身、たった1行の文章で人生が変わった人なので、言葉にこめられたパワーを感じていますし、「言葉は生きている」と思っています。読者さんにも、そういった“言葉の強さ”を伝えられたらと思い、この本をつくりました。
この本では、見開きの右ページに格言を載せ、左ページに500文字くらいの短い解説を載せています。格言は100もあるから、ひとつくらいは腑に落ちるものがあるんじゃないかな? 短い解説だと、言葉を厳選しなければならないので、よりシンプルに、かつ伝えたいものをこめられたと思います。
──「たった1行の文章で人生が変わる」とは、どのような経験だったのですか?
ワタナベ 私、これまで生きてきた中で、すごく“落ちて”いたときがあったんです。ところが、将来の不安を抱えてふらふらしていたときに、デール・カーネギーの『道は開ける』という本に出会い、「今日、一日の区切りで生きよ」という言葉を読んだだけで、スコーンと腑に落ちるものがあって。そこからマインドチェンジがはじまったんですよね。「そうだ、『これから先、どうしよう』なんて考えているから不安なんだ。今だけ生きればいいんだ」と思ったとたんに、人生がすごく楽になって、すべてが好転しはじめた。そこから自己啓発の世界に惹かれ、自己啓発の本なども読むようになったんです。
現在、コロナ禍のもとで「どう生きればいいかわからない」という方もたくさんいらっしゃると思います。そんなとき、この本に載っている言葉の中に、何百年も前に生きた人の言葉であるにもかかわらず、ぴったりくるものがあるかもしれません。なによりも、執筆中、偉大な先人たちの力強い言葉に触れて、私自身が励まされました。ぜひみなさんにも、彼女たちの言葉に触れていただきたいなと思います。
心が震える言葉を見つけられたとき、自分の信念や価値観が見つかる
──ワタナベさんは、ブログやご講演でも、言葉を使って人に影響を与え、人を励ましていらっしゃいます。そういった場でも、言葉の力を実感することがありますか?
ワタナベ もちろん、あります! クライアントたちの人生が変わっていくのを、実際に見てきましたからね。ブログに対する読者さんたちのご感想も、「ひとつの記事を読むだけでそんなふうに思うようになったんだ、すごいな」と感じるものがたくさんあるんですよ。
そういった経験から、「言葉って大切だな」と思う反面、最近は、言葉が悪い影響を持ちうることも思い知らされました。私自身、誹謗中傷を受けてみてわかりましたが、言葉って、人を殺してしまうくらいの力を持つこともあるんですよね。きちんと選ばないと、本当に危険なものにもなりえます。言葉の使い方や伝え方は、あらためて大切にしたいですね。
私のコンセプトは「かっこよく生きる」ということなのですが、言葉を使う前には、よく「この言葉を使うことはかっこいいことなのか? この言葉を使う生き方はかっこいい生き方なのか?」と考えます。言葉を使ったり、行動を起こしたりする前には、自分のコンセプトやテーマに沿って、「それは本当にかっこいいのか」「そこには本当に愛があるのか」「それは本当に〇〇なのか」と考えられるといいかもしれませんね。
──なるほど。自分の信念やコンセプトを定めるには、どうしたらいいのでしょう?
ワタナベ 私はコーチングをしていますが、コーチングのベースは「答えは自分の中にある」ですから、価値観や信念、または在り方はこうです! とは教えられません。自分で見つけるものです。
信念や価値観とは、自分の触れた情報をスクランブルエッグみたいに一度かき混ぜ、そこから自分独自の考えをつくり出していくものです。不確定なことの多いこれからの時代、そういった信念や価値観を持っていたほうが、絶対にいいと思いますよ。
自分の信念や価値観を探ろうとするとき、偉人女性たちの力強い言葉に触れるというのは、とてもいいことではないでしょうか。自分の信念、価値観といったものを見出すのは難しいことです。けれど、誰かの信念や価値観に触れて「それ、いいかも!」と心が震えるような言葉を見つけることが、自分の信念、価値観を練り上げるための第一歩になります。自分の信念や価値観を探したいとき、この本はきっと役に立ちますよ。
──反対に、自分の信念や価値観はあるけれど、最近どうもうまくいかないという人は、どんなふうにこの本を使えばよいでしょう?
ワタナベ 自分の中で「どうしたらうまくいくか、答えをください」と質問してから、本をパラパラめくり、ここだと思うところでストップ、開いたページを読んでみてください。たとえば、「どう生きたらいいんだろう」と悩んでいる人は、すごく多いと思います。そんなときに、ココ・シャネルの「さっさと人生を変えてしまえばいいのに、なぜくよくよしているだけなのか」といった言葉に出会えば、「たしかに!」と思えるかもしれませんよね。この本をパラパラめくっていると、「解決策をください」という質問に対する答えが、かならず見つかると思います。
また、この本に収録した格言は、すべて私が自分のフィルターを通して選んでいます。私が「いいな」と思う言葉を集めたので、“ワタナベ薫らしさ”を感じていただけるかもしれませんね。先人たちの言葉は、時に厳しく感じるものもありますが、そこにはやっぱり“愛”があるんですよ。今回は、サイン本に書く漢字一文字も、“愛”を選びました。“愛”は、常に自分の人生のテーマであり、私が大切にしてきた言葉。読者さんのリクエストにも後押ししていただきましたし、「この本に使いたい」と思える本にできたのかもしれませんね。いい漢字が選べたなと思います。
──今回、出版を記念してオリジナルキャップもつくられたそうですが、そちらに入れる文字も、ご自分で選ばれたのですよね?
ワタナベ 「KY」スワロフスキー・クリスタルキャップですね。この「KY」という文字にも、私の愛がこもっているんですよ。人の目を気にしてばかりで、自分の人生を歩めていないという人に、いい意味で「空気を読まない」のもありだよ、と伝えたくて選びました。ロゴの「K」の文字は、縦の棒が数字の「1」にも見えるようにデザインしています。オンリーワンであり、ナンバーワンの、あなただけの人生をかたちづくってほしいという思いをこめました。
自分も周囲も幸せになる“言葉のプレゼント”
──シンプルで力強い言葉は、周囲の大切な人に伝えたり、贈ったりもしやすそうですね。
ワタナベ “言葉のプレゼント”って素敵ですよね。本を贈りたいというときも、1冊まるまる著者が書いている本は、贈られた側も、好みに合わなければ読みたくないと思うのですが(笑)、この本は格言本ですし、どこからでも読めますから、いろいろな方の発見を、自分で好きなように選んで読むことができます。装丁にも、高級感のある赤色が使われていますので、ぜひ、離れて暮らしている娘さんやお母様、大切な人へのクリスマスプレゼントに(笑)。
自分が感動したものを相手にギフトするって、とてもいい循環になると思うんですよ。自分が幸せになるためには、自分のまわりの人も幸せでなければいけませんからね。周囲の人が前向きになると、自分も幸せになるし、相乗効果があると思います。
──本記事の読者のみなさんに、メッセージを。
ワタナベ この本は、「本を読もう!」と意気込んで読まなくても大丈夫です。ちょっと疲れたな、お茶でも飲みたいなというタイミングで開いてほしい。リラックスした状態で気軽に読んでも、そのとき胸にズドンとくる言葉がかならず見つかるはずです。そして、読んで「いいな」と思ったら、まわりの人たちにも教えてあげてくださいね。言ってみれば、この本自体が、先人からの“言葉のギフト”だとも言えるものですから。
取材・文=三田ゆき 撮影=後藤利江
<引用文献>『道は開ける 新装版』デール・カーネギー(著)、香山 晶(著)(創元社)