“これ”さえやれば定番おかずが劇的においしくなる! プロの技で家ごはんを極める【作ってみた】

暮らし

公開日:2020/11/29

和食屋が教える、劇的に旨い家ごはん
『和食屋が教える、劇的に旨い家ごはん』(笠原将弘/主婦の友社)

 家庭料理にはルールがない。例えば肉じゃがひとつとっても、作り方は人によって千差万別。それぞれに家庭の味があるだろう。

 私も家族のために毎日のように料理を作っているが、いつもスマホで適当にレシピを検索したり、作り慣れているものは目分量で調味したりしてやり過ごしている。でももし時間とお金があったら、家庭料理のコツを教えてくれる料理教室に通ってみたいな~なんて夢見ていた。

 そんなときに出会ったのが『和食屋が教える、劇的に旨い家ごはん』(笠原将弘/主婦の友社)。予約の取れない和食店で有名な「賛否両論」の店主・笠原将弘さんのレシピ本だ。本書は「肉じゃがは煮る前に肉と野菜に焼き目をしっかりつける」というような笠原流の家庭料理の“これさえやれば旨くなる”ポイントを集約した1冊。これを読めば笠原さんの料理教室に通っているつもりになれるかも…ということで、秋冬のレシピの中から3品作ってみた。

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乱切りにして食感を楽しむ「れんこんと手羽元のうま煮」(p.67)

和食屋が教える、劇的に旨い家ごはん

 まずは、れんこんが主役の1品。れんこんは切り方や調理の仕方でいろいろな食感が楽しめる食材だ。作り方はれんこんの皮をむいて乱切りにし、水にさっとさらして水けをきる。フライパンに油を熱して手羽元を焼き、全体に焼き目が付いたられんこんを加えてさっと炒める。だし汁、しょうゆ、みりん、砂糖を入れてひと煮立ちさせたら弱火にし、落としぶたをして15分ほど煮る。仕上げにいんげんを加え、煮汁に水溶き片栗粉を加えてとろみをつければできあがり。

 笠原さんが横にいるつもりでレシピ通りに作ってみたら、れんこんはほっくりした歯ごたえと素材本来のやさしい甘みが存分に感じられる仕上がりに! 料理のポイントが一目で伝わるよう、レシピにマーカーが引かれているのもわかりやすくてありがたかった。ちなみに炒め物にするときは、繊維に沿って棒状に切るとシャキっと仕上がるという。れんこんの煮物は“乱切り”、炒め物は“棒状”と覚えておこう。

さっと煮て歯ごたえキープ「きのこと大根のおひたし」(p.76)

和食屋が教える、劇的に旨い家ごはん

 2品目はきのこの旨みを味わうおひたし。作り方は鍋にだし汁、しょうゆ、みりんを入れて火にかけ、煮立ったら手で食べやすい大きさに裂いたエリンギ・マイタケと細切りにした大根を加えてまぜ、再び煮立ったらアクをとって火を止める。冷蔵庫で冷やして器に盛り、好みでゆずの皮を散らせば完成。

 口に入れると、噛むほどに旨みがじゅわり。こんなにきのこの旨みと食感を感じたことはないかもしれない! と思うほどの味わいだった。きのこは煮すぎてしまうと歯ごたえがなくなってしまうので、火を入れすぎないのがコツ。また包丁で切るより手で裂いたほうが、香りが立ちやすいそう。

炒めてもシャキシャキ! 「白菜の軸の豚こまいため」(p.87)

和食屋が教える、劇的に旨い家ごはん

 最後は白菜と豚肉を使った定番の炒め物。白菜は葉と軸を分けて扱うと、それぞれの食感を生かした調理ができる。作り方はフライパンに油を熱して豚肉を炒め、色が変わったら繊維に沿って5cmの長さの拍子木切りにした白菜の軸を加え、少ししんなりするまで炒める。酒、しょうゆ、砂糖を加えてさっと炒め合わせ、器に盛り、好みで万能ねぎと一味唐辛子をふって完成。

 この料理は白菜の軸を繊維に沿って切るのがポイント。白菜と豚肉の炒め物は我が家でもよく作るのだが、切り方を変えるだけでこんなに味わいが変わるものかと驚いた。炒めているのにシャキシャキした歯ごたえがしっかり残っていて、しかも味がよく絡み、ご飯がどんどん進む。

 本書のレシピにはこんな風にプロの技がたくさん盛り込まれている。どれも火加減や火を入れる時間、食材の切り方などの“ちょっとしたこと”なのだが、そのポイントを押さえるだけでいつもの味が驚くほどおいしくなるからスゴイ!

 おうち時間が増えている今、本書を参考に家庭の味をアップグレードしてみるのも楽しいかもしれない。毎日1品ずつ作っていったら、1冊コンプリートする頃には料理の腕が格段に上がっているはずだ。

文=齋藤久美子