「責任をとって辞めます!」は責任をとったことになる?
公開日:2020/12/11
政治や経済の世界でよく耳にする引責辞任。「責任をとって辞めます」と言って現在の地位から退くのは、もはやお約束になりつつあります。しかし「辞める」という責任の取り方に疑問を持つ人も少なくありません。
すぐ責任をとって辞めるのはどうなの?
昨年注目を集めたのは、吉本興業の芸人による闇営業問題。渦中にいた宮迫博之さんや田村亮さんは、当初責任をとっての「引退」を申し出ていました。二転三転あって「謹慎」という形になりましたが、今度は吉本興業の社長・岡本昭彦さんらの進退が話題に。引責辞任ではなく「減俸」という処分には、様々な意見が寄せられました。
やはり多いのは「辞めるべき」との意見で、「あまりにも軽すぎるでしょ」「社長が減俸になったところで痛くも痒くもないのでは?」「ここまでの騒ぎになったのに『減俸』だけで済むの?」「それだと世間は納得しない」といった声も。確かに「減俸」というのはあまり聞かないケースで、受け入れられないという人もいるようでした。
一方で「安易に『辞める』という選択をしなかった点だけは評価したい」「処分自体はどうでもよくて、本当に聞きたいのはどのように改善していくかということ。ちゃんと説明できていたとは思えないけど……」「まあ『辞める』ことだけがトップの引責ではないよね」といった指摘も。しっかり説明責任を果たせていたかどうかは別として、「引責辞任」だけを求める風潮は疑問視されています。
「引責辞任」にもちゃんと意味がある?
本田圭佑さんもTwitterで闇営業問題に言及していましたが、「引責辞任」には批判的な様子。「良い事とは言えないのはわかるけど、長い間、多くの人を笑顔にしてきて、それがなかったことになるような大袈裟な事じゃないでしょう。責任取って辞めるって文化もよく分からんし」と持論を展開していました。
反社会的勢力との繋がりは十分大袈裟なことではというツッコミも受けていましたが、「責任取って辞めるって文化もよく分からん」という部分には賛同する人が多い模様。「確かに『辞めたら問題解決』って風潮は良くないよね」「個人的には『大袈裟』なことだからこそ、辞めないで少しずつ責任をとっていくべき」「結局『辞める』って逃げてるだけ」との声が寄せられていました。
この問題に限らず、社会全体で見た場合「引責辞任」は間違いではないとの考え方もあります。ネット上では「問題を起こした人が辞めるのは責任をとるためでなく、そのポジションに正しい人材をつけるため」という意見も見かけました。
人々に根づいている「文化」としての一面だけでなく、社会を回すための「機能」もあるとのこと。いずれにせよ条件反射的に辞めるのではなく、しっかりと考えた上で責任をとってもらいたいですね。