「お客様は平等に」は幻想… 大口と小口で対応に差をつけるのは当たり前!?/ヨイショする営業マンは全員アホ⑩

ビジネス

公開日:2020/12/19

きれい事一切なしの超実践型、現場営業論! 「最初の雑談はすっ飛ばしてもいい」「お客様の信頼を失う行為」など、著者が営業マンとして現場で気づいた“売れる”人間力を生み出す39の法則から、一部を抜粋してご紹介。

ヨイショする営業マンは全員アホ 1%だけが知っている禁断の法則
『ヨイショする営業マンは全員アホ 1%だけが知っている禁断の法則』(宋 世羅/飛鳥新社)

大口と小口を同様に扱ってはいけない

 昔の演歌歌手が言った「お客様は神様です」という有名なフレーズがありますが、当たり前ですけど「お客様はお客様」。それ以上でもそれ以下でもありません。けっして神様ではない。

 では、お客様とどのような距離感で接したらいいのか、私の持論をお話しします。

 

対応の差は絶対に必要

 まず、大口のお客様と小口のお客様の対応の違いについて。

 もちろん、大口にはビタビタに対応して、小口には対応しない。これは当たり前の話です。

 私もかつてそうでしたが、社会に出て日が浅い戦闘力弱めの新入社員とかだと、「小口をないがしろにしてはいけない」みたいに言ってしまいがちなんですよね。

 

 でも、こう考えてみてください。マクドナルドで300円のハンバーガーを買ってるのに、ビタビタの対応をしてほしいなんて誰も思ってないと思うんです。スーツをパリッと着こなしたコンシェルジュが来て、水をスッと渡されて、みたいな、そういう対応されるとは誰も思っていない。というのも、300円だから。

 一方で、5万円のフレンチに行って、水は紙コップでセルフと言われたら「なんでやねん」っていう話になると思います。それと同じことで、高額のお客様にはそれなりの対応をしなければいけないし、小口のお客様にそれと同じ対応をしてはいけないわけです。

 

営業マンとお客様は対等ではない

 かっこつけてよく「営業マンとお客様は対等だ」と言う奴がいます。実は私も、イキってこれをやっていたことがあります。

 野村證券時代はまだペーペーで、お客様はすごく年上のお金持ちの社長。経験的にもマインド的にも、絶対に私が下になるんですよね。この差があったんですけど、仕事に慣れてきた頃に、ネット記事に書かれていた「お客様と営業マンは対等だ」というのを真に受けちゃったんです。

 それで、実際に対等でいってみたところ、全然上手くいかなかった。

 たぶん、対等と言っている時点で、営業マンがちょっと上からになっているんですよね。お客様と営業マンは対等だからと偉そうに言っている時点で、営業マン自身がイキっているので、実質7対3ぐらいになってる。だから上手くいかない。

 そもそも、お金を払っているのはお客様なので、どこをどう考えても対等ではないんですよね。お客様が払ったお金で自分は食べているんだから、対等ではいけない。その意識を忘れてはいけないというのが私の結論です。

 

仲よくなっても友達にはなるな

 営業をしていると、お客様と親しくなることもあると思います。でも、どれだけ仲よくなっても、友達になってはいけない。

 今、私は保険の営業をしていて、野村證券時代の後輩や、仲がいい地元の友達も私のお客様になっているのですが、私から保険に入った時点で彼らはお客様。後輩であっても、営業マンとお客様というこの関係は崩しません。

 私は、それまで「おい」とか言っていた後輩にも、お客様になった時点で絶対に敬語でしゃべります。「宋さん、やめてくださいよ」と言われるんですが、そこは絶対に変換させないようにしています。

 昔からの知り合いだけでなく、仲よくなって飲みに行くようなほんまにズブズブになったお客様がいたとしても、絶対にそこの関係は一線引いたほうがいい。

 

 というのも、結局、営業マンがキツい状況になった時に助けてくれるのは、友達でなくお客様だからです。私の経験上、友達にしてしまうと、いざという時に助けてくれなくなるんですよね。お客様はお客様として、その関係を絶対に残し続けたほうが営業マンとしてプラスです。

 相手にも、お客様という意識を植えつけることで、たとえば、新規のお客様を紹介してくれたり、追加の契約をくれたりする。ズブズブになりすぎると、そういうことがなくなってしまうんです。

 

「営業マンがキツい時に助けてくれる」というのは「お金を出してくれる」ということ。私の感覚ですが、お金をともなう関係となると、友達よりもお客様のほうが出してくれるという印象があります。

 野村證券時代は「今月マジでしんどいんです」「すみません、経済合理性はないんですけど、これやらせてください!」とお客様にお願いすることもあったのですが、そういった時に「しゃあないな。頑張れよ」と言って、要件を吞んでくれるのはだいたい、一線引いた関係性を保ったお客様でした。

 ペーペーの私が、どの株が上がりますとか、あなたにとってはこれがオススメです……とやっても、ウソっぽくなるので、ズバッとお願いだけする。それで数千万円のお金が動くことはザラにありました。

 

「宋ちゃーん」「うぇーい」と友達みたいになっていた主婦のおばちゃんやおっちゃんたちは、月末に深刻そうな感じで、「お願いできませんか?」と言っても、お金は出してくれなかった。いつもはお菓子とかいっぱいくれるんですけどね。

 ズブズブになりすぎちゃいけないというのは、その当時の経験から思ったことです。

続きは本書でお楽しみください。

【レビューを読む】
▶「雑魚な営業マンほど、自分の型を崩せない」 元野村證券YouTuberが語る“本当に現場で使える”型破り営業術