ナゾに思えた猫の行動にはワケがあった! 猫好き一家とひも解く猫のヒミツ

暮らし

公開日:2020/12/22

『猫のヒミツ』(ねこまき:著・イラスト、服部幸:監修/KADOKAWA)

 猫は犬に比べて気まぐれだし、不思議な行動をとることが多い。そんなミステリアスなところも猫の魅力なのだが、じつは気分屋なのには理由があるし、ひとつひとつの行動にもきちんと意味がある。それを知るのにうってつけの1冊が『猫のヒミツ』(ねこまき:著・イラスト、服部幸:監修/KADOKAWA)である。

猫の不思議な生態をほんわかマンガで学ぶ

 この本は、猫好き一家の暮らしを通じ、猫の心理や生態、さらには歴史やお世話の仕方まで学べるようになっている。マンガを手がけたのは、『ねことじいちゃん』(KADOKAWA)、『まめねこ』(さくら舎)などで知られるねこまきさん。監修は東京猫医療センターの院長で、猫医療の第一人者である服部幸氏が務めている。マンガはほのぼのしていてユーモラスだが、解説文は最新の獣医療や動物行動学、ペット栄養学などを根拠にしていて、まさに硬軟織り交ぜた内容になっている。

猫がワガママなのは当たり前!

 本書を読み進めると、ナゾに思えた猫の生態も腑に落ちるようになる。たとえば、猫は飼い主に冷たい態度をとることもあれば、急に甘えることもある。これは、もともと単独生活を送っていたことが関係している。群れないから、相手の顔色をうかがったり空気を読んだりする必要なんてない。そのときの状況や気分で、最適な行動をとっているのである。本書のマンガでは、一家の大黒柱であるたつおが、ツンデレ猫の「メイ」に振り回される様子がユーモラスに描かれている。

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暇さえあれば毛をなめるのは意外な理由があった

 ひんぱんに毛繕いする猫を見て、なぜそこまで体の手入れに時間をかけるのか不思議に思ったことはないだろうか。じつは、猫の毛繕いは気化熱を発生させて体温を下げたり、ストレスをまぎらわせたりする効果もある。このように、よく目にする猫の行動に意外な事実が存在することに気づかせてくれるのも本書の特徴だ。

猫に好かれるのは“猫かわいがり”をしない人

 猫にモテる人のヒミツをひも解いていることにも着目したい。田舎で暮らすたつおの両親は、愛猫「サバ」から好かれていることが一目でわかる。その理由をたつおが探ると、猫をかまいすぎていないことがわかった。猫がかわいいあまり、何度もなでたり抱いたりすると、ストレスを与えてしまうこともある。猫のペースを尊重することが“猫モテ”の秘訣なのだ。

 猫のヒミツを知ることで、猫がより愛おしくなるし、猫との関係を深めるきっかけにもなる。ぜひ本書を猫との生活に役立ててほしい。

文=奥田直樹

【著者プロフィール】
ねこまき(ミューズワーク)
2002年より名古屋を拠点にイラストレーターとして活動を開始。コミックエッセイをはじめ、犬猫のゆるキャラマンガ、広告イラストなども手がけている。
著書には、実写映画化された『ねことじいちゃん』シリーズ、『ねこアンソロジーコミック ねこといっしょ ニャつらの傾向と対策』(KADOKAWA)、『まめねこ』シリーズ(さくら舎)、『トラとミケ: いとしい日々』シリーズ(小学館)など多数。

【監修者プロフィール】
服部 幸
東京猫医療センター院長、獣医師。動物病院勤務後、2005年より都内の猫専門病院の分院長を務める。12年に「東京猫医療センター」を開院し、13年には国際猫医学会からアジアで2件目となる「キャット・フレンドリー・クリニック」のゴールドレベルに認定される。