つい親がやってしまうNG行動を8つの対応で置き換え! 「どならない練習」で子どもも自分もラクになる
公開日:2020/12/9
いつも笑顔でいたいのに、子どもがなかなか言うことをきかないとついどなってしまう…そんな悩みをかかえるママは多いはず。正直「どなる」ためにはかなりマイナスのエネルギーを使うし、できれば自分の精神衛生上も避けたいもの。でも、やっぱり、うちの子は無理なのよね…そんなふうにため息をついたママにお伝えしたい。実はどならないためには「対応」があり、それを「練習」するのが効果的だと知っていただろうか。
「スポーツや音楽の練習は『あり』だけど、子育てになると練習は『なし』になりがち。子育ても簡単な反復練習、リアルな応用練習をしておくと、最初はうまくできなくても必ず上達します」とは、『子どもも自分もラクになる どならない練習』(ディスカバー・トゥエンティワン)の著者で、仲間たちと子育て練習講座「ちはっさく」を開催している市役所職員の伊藤徳馬さん。「ちはっさく」では子どもをどならないための「8つの対応方法」の練習で効果があがっているといい、本書はそれが家でもできるようにと書かれたものなのだ。
ところで「8つの対応方法」とはどんなものなのだろう。中身を見てみると、5つの基本対応「1.代わりの行動を教える」「2.一緒にやってみる」「3.気持ちに理解を示す」「4.環境をつくる」「5.ほめる」と、3つの応用対応「6.待つ」「7.落ち着く」「8.聞く・考えさせる」と、一見ベーシック。だが問題は「コラッ!」と沸騰した瞬間に、こうした落ち着いた対応ができるかどうか(「いやいや、できないから、どなっちゃうんです」というママ、だからこそ「練習」が必要なのです!)。本書では伊藤さんがやさしくガイドしながら、さまざまな例題「こんなとき何と言う?」への対応を読者に考えさせ、そのあとでふさわしい対処法と正解例を紹介してくれる。最初はうまく対応できなくても、繰り返し練習すれば正解が脳と体に入ってくるし、とっさのときに自分でも使えるようになるというわけだ。
たとえば「子どもがスーパーのカートで立ち上がってしまった」とき、あなたならどうするだろう。つい「コラッ! 危ないでしょ!」と声を荒らげてしまいがちだが、こういうときは1つめの対応方法「代わりの行動を教える」を利用して「座ってね!」と声をかけるといい。あるいは「何度言っても子どもがぬいだ服を床に放り出す」のにイラっとするのだったら、1と2「一緒にやってみる」の合わせ技で「服は洗濯カゴに入れようね。ほら、ママと一緒にやってみよう」と促せばいい。本書で考える例題は子育てあるあるのオンパレードなので自分のお悩みと似たケースも見つかりそうだし、反復練習で基本対応が身についたら「あ、あのケースみたいなものね」と応用も可能だろう。もちろん全てがバラ色に解決するわけではないだろうが、とっさのときにママ自身が冷静でいられるようになるだけでもうれしい進歩だ。
ちなみに上記の8つの対応方法は、たくさんある基本的な対応方法の中でも「練習しやすい、使用する機会が多い、効果を実感しやすい」ものを抽出している(「これだけやればOK!」というものではないので注意しよう)。巻頭には8つの対応方法が青色のカードにまとめられているので、切り離して手帳に入れておいたり、冷蔵庫にはったりと、繰り返し目に入るようにして練習、練習! 子どもとの無駄なケンカが減ったら、子育てはますます楽しくなるに違いない。
文=荒井理恵