「上司の機嫌が悪いのは自分のせい?」HSPの悩みが1冊のマンガに! 自分らしく生きるには…
公開日:2020/12/26
まわりの人が気づかない小さなことにもよく気づく“繊細さん”。繊細さんとは「HSP」というひといちばい敏感な気質を持つ人のことで、5人に1人はいると言われています。ささいなことにもよく気づくため、それがストレスとなり、生きづらさを感じている人も少なくないのでは?
『わたしは繊細さん まんがでわかる!HSPが自分らしく生きる方法』(武嶌波:漫画、武田友紀:監修/飛鳥新社)は、自身も繊細さんであるHSP専門カウンセラー・武田友紀さん監修によるマンガ本です。
自分が繊細さんだと気づいた27歳OLのなぎさが、さまざまな壁にぶつかりながら自分らしく生きていけるまでに成長する物語。「『キライ』は大切なセンサー」「『つい人に合わせてしまう』を変えるには」など、なぎさの人生を通して、繊細さんが元気に生きていくための具体的な対処法を教えてくれます。
小さなことをすべてキャッチしてしまう繊細さん
照明器具メーカーで企画・運営の仕事をしているなぎさ。地味だけど堅実な仕事ぶりで上司からも認められていますが、自分に自信がありません。上司から大きな仕事を任されても「自分の働きが足りていないから、もっと働かせようとしているのかも」と悲観的。
なぎさには困っていることがたくさんあります。悲しいニュースや災害の報道はどんどん調べて落ち込んでしまうから仕事前には見ないようにしているし、会社に通勤すると椅子のギシギシする音や電話の音を聞いているだけで疲れてしまうのです。
特に困るのは、近くに不機嫌な人がいると敏感に感じ取ってしまうこと。同僚は「気にしなくていいんじゃない?」といいますが、「きっと自分が原因だ」と考えてしまい……。
地味かもしれないけど、仕事ができて、愛してくれる家族や彼氏もいて。一見しあわせそうに見えるなぎさですが、なんだかとても生きづらそう。大きなトラブルが起きるわけではありませんが、日常のなかで、もしくは新しい出来事が起きるたびに、大変な想いをしていることが伝わってきます。
予想は意外とはずれている!?
あるきっかけで武田さんのカウンセリングを受けることになったなぎさは、武田さんから告げられます。繊細さんにとって「誰かの機嫌が悪いと気づく」のは、「机にあるコップが見える」のと同じくらい自然なことであり、それに気づかないでいるのはむずかしいのだと。だからこそ大事なのは、まずは非・繊細さん(HSPではない人)とは感覚が「ちがう」という事実を知っておくことだといいます。
武田さんからは、具体的な対処法も。それは、「機嫌が悪いのが本当に自分のせいなのか、相手に確認してみましょう」という提案でした。とはいえ「怒ってますか?」といきなり聞くのは勇気がいるので、「日頃から自分の“予想”や“推測”がどれくらいあたるものなのか安全な場所で把握しておくこと」をすすめています。「予想って意外とはずれているもの」という武田さんの言葉にドキッとする繊細さんもいるのでは?
このように、相手の気持ちを察しすぎて予想がはずれることもありますが、繊細さんには、光や音などの「自分の外側にあるもの」や、体調や新しいアイデアなど「自分の内側で起きていること」をひといちばい感じとる力があることは確かで、それが仕事などに生かされることも。「繊細さを克服すべき課題としてとらえるのではなく、いいものとしてとらえる。そこが出発点」という武田さんの言葉は、これから前に一歩踏み出そうとする人に勇気を与えてくれそうです。
いまのままで、大丈夫?
非・繊細さんと自分のちがいを知り、「私はこうしたい」という本音と感性を大切にするようになったなぎさは、取り巻く環境や外見、身にまとう雰囲気などが少しずつ変わっていきます。自分の本音を出せば出すほど、「今するべきことが見えてくる」なぎさの姿が印象に残りました。
武田さんによれば、繊細さんが本音を大切にしはじめると、ときには「人間関係の入れ替わり」が起こることも。自分を抑えてつきあっていた人とは関係が続かなくなり、ありのままの自分を大切にしてくれる人と出会いやすくなるのです。
本書では、繊細さんが自分の性質を正しく理解することで、日々のストレスは十分に軽減できることがわかります。それどころか、空気をよみすぎて自分を抑え込んでしまいがちな繊細さんが、自分を開放し、自分らしく生きていくこともできるのです。「繊細さんには大変な面もありますが、自分のままで元気に生きていくことはできます」という武田さんの言葉が、繊細さんの心をしっかりと支えます。
登場人物の感情やシチュエーションが手に取るようにわかるマンガで、繊細さんが元気に生きていくための方法がまるわかり。仕事、家庭、恋愛…とさまざまな場面で、具体的かつ“できそうなこと”だけを教えてくれる武田さんの対処法が役立ちそう。
いま、あなたが身を置いている環境は、本当に心地いい場所ですか?
「今までなんで思い付かなかったんだろう…」と、ハッとさせてくれるような“気づき”が、このマンガのなかに見つかるかもしれません。
文=麻布たぬ