煉獄のように誰かを守れるのだろうかと不安を募らせる炭治郎の言葉。弱い自分が許せないときには…/「鬼滅の刃」の折れない心をつくる言葉⑨

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公開日:2021/1/1

「鬼滅の刃」がヒットした理由は、自分の弱さと向き合い、葛藤し、それでも立ち上がろうとするキャラクターたちの“折れない心”にあるのではないでしょうか。そんなキャラクターたちが放った“言葉の力”に注目した1冊から、『鬼滅の刃』で生まれた名言をご紹介します。

「鬼滅の刃」の折れない心をつくる言葉
『「鬼滅の刃」の折れない心をつくる言葉』(藤寺郁光/あさ出版)

「鬼滅の刃」の折れない心をつくる言葉

 鬼の上弦の参・猗窩座との戦いで、炭治郎や後輩たちを守った煉獄。「柱ならば後輩の盾となるのは当然だ (中略) 若い芽は摘ませない」という後輩想いの言葉と、「今度は君たちが鬼殺隊を支える柱となるのだ 俺は信じる 君たちを信じる」という後輩を鼓舞する言葉を伝えました。はたすべきことを全うした煉獄を目の前に、自分の力不足を突きつけられ、煉獄のように誰かを守ることができるのだろうかと不安を募らせる炭治郎の言葉です。

 

 あなたには誰かに憧れていたり、尊敬していたりする人はいますか。どのようなきっかけで、その人に憧れや尊敬の念を抱くようになりましたか。

 マンガのなかの登場人物や、本や雑誌、テレビなどで見た人。あるいは、先輩や友人・知人、そのような人に出会い、その人の何かに惹きつけられて、「自分も同じようになりたい……」と思ったことはあると思います。

 

 小さい体で大きな敵を倒すことができる、人間離れした神技を次々と披露する、ほかの人を寄せつけない圧倒的な能力を持っている、偶然出会った人も一瞬で虜にするような魅力がある。そんな人に少しでも近づきたいと思い、努力を始めます。

 はじめはおぼつかない足取りで、一歩一歩、おそるおそるその世界へと足を踏み入れていく。そしてやっと、少しは上達してきたかな……と思うところにたどり着く。しかし、すぐにいともあっさりと、誰かが自分を抜き去ってゆく。打ち込めば打ち込むほど、上達すればするほど、そういうことの繰り返しが待っています。

 

 でも、あなたが尊敬するその人も、同じ道を歩んできたはずです。はじめから頂点にいたわけではありません。何度も何度も敗れて、そのたびに悔し涙を流し、目の前に立ちはだかる分厚い壁を1つひとつ乗り越えて、いまの場所へと上りつめたのです。

 

 もし、いまのあなたの実力で、憧れの人と同じ場所に立つことができたら、あなたはその人とまともに戦うことができるでしょうか。その人が戦っている場所で、活躍することができるでしょうか。

「分相応」という言葉がありますが、自分の才能・性質・身分がふさわしくなければ、期待されるような結果をのこすことはできません。

 あなたの理想とする将来像と現在のあなたにはまだまだ差があり、挫折しそうになるかもしれません。でも、あきらめたらそこで終わりです。

 悔しいという気持ちが強いのは、それだけあなたが本気だからです。その気持ちを前に進むエネルギーに変えましょう。「悔しいなぁ」という想いを胸に抱きながら、少しずつ前進するのです。前へ進み続けることが、憧れの人へ近づく最短距離なのです。

<第10回に続く>

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