愛情/富田美憂の「私が私を見つけるまで」⑦
公開日:2020/12/27
デビュー直後、初めて座長を努めさせていただいた作品が『アイカツスターズ!』です。
収録当時は、とにかくがむしゃらにゆめと向き合い、お芝居をしていました。
『アイカツスターズ!』についてのお話はいろいろな場所でお話ししていますが、収録から数年経ち、今なら少し客観的に当時の事を話せるのでは、と思い、今回この記事を綴っています。
まず、アニメはワンクールの作品が多い中、全100話という話数で、こんなにも長い時間継続的にキャラクターと向き合えることは、なかなかありません。この100話という時間があったからこそ、今の「富田美憂」がいる、と思っています。
最終回の収録の後に、音響監督の菊田さんが「100話の間で花嫁修業をしたつもりだから、他の現場でもみんなきっと大丈夫です」と言ってくださったんです。
なんて愛情深い現場なんだろう、と思いました。
私はこの100話の間で、菊田さんをはじめ、愛に溢れたスタッフの皆さま、お父さんのような佐藤監督、憧れの先輩方、そして膝をつき合わせて一生に頑張ってきた同世代のみんな、こんな素敵な「仲間」に、役者としての技術、アフレコでのお作法、お芝居の楽しさ、仲間とひとつの作品を作っていく喜び、キャラクターとの向き合い方、作品愛、全てを教えていただきました。
本当に、私は人に恵まれていると思う。
そしてやっぱり、ゆめには感謝してもしきれないです。
彼女に出会えていなかったら、今の私はきっといません。
放送が終了した今も彼女と一緒に歩めていることが本当に嬉しいです。これからも末永くよろしくね!
でも、この気持ちはどの作品にも言えること。
ファンのみなさんから「今まで演じてきた中で一番好きなキャラクターは誰ですか? 好きな作品はどの作品ですか?」と聞いていただくことがよくあります。
私にとっては、今まで演じてきた子達全員が一番大好きで、今まで関わらせていただいてきた全てが一番好きな作品なんです。
全部が私にとって一番なんだ。
だってどの子が欠けてもどの作品が欠けても、今の「富田美憂」は存在しないから。
大袈裟に聞こえるかもしれないけど、役が決まった時、「この子の人生をよろしくお願いします」と言っていただくのと同じだと私は思っています。そのくらいの重みと覚悟をもって、きっとどの役者さんも演じているんじゃないかな。
だから私は、そんな大切な子達の為だったらいくらでも努力できるし、苦手なことも頑張れます。
これからも、この気持ちを大切に頑張っていきたいです。
(次回へ続く)