相手を思うからこそすれ違ってしまう…タイBLの青春ラブストーリー『Love By Chance』

エンタメ

更新日:2021/1/29

“これが、恋…?”

 運命の出会いによって始まる甘酸っぱい恋心を、繊細に愛らしく、相手を思うからこそすれ違ってしまう想いも描く青春ラブストーリー『ラブ・バイ・チャンス/Love By Chance』はもう観ましたか? まだの方はぜひ今すぐ、もう観た方はもう1回、何度でも観てほしい作品となっています!

ラブ・バイ・チャンス/Love By Chance
(C)Studio Wabi Sabi. All rights reserved.

 気付けばその人のことを考えていて、いつしかその人のことを目で追って、もらった言葉すべてが大事になり、ちょっとのすれ違いで涙が止まらなくなる。そんな恋愛の喜怒哀楽をすべて詰め込んだ本作は、愛おしくて、切なくて、苦しくて、でも最高に素敵なお話になっているのです。

 主人公はお金持ちの家で育ったマシュマロのように白い肌で可愛らしいピートと、学校の寮で暮らす、純朴でマジメなエー。サッカーまっしぐらで、恋には疎いですが、男気は抜群。大学の学部も部活も違うふたりは出会うはずがありませんでしたが、ある時、車にぶつかりそうになったピートをエーが助けます。これぞ王道の出会い! 運命の出会い!

ラブ・バイ・チャンス/Love By Chance
タイドラマは本当によく傷の手当てのシーンが出てきます
(C)Studio Wabi Sabi. All rights reserved.

 エーの優しさに触れたピートはそれからエーのことが気になってしまいますが、ピートは恋にはかなり鈍感。さらに、ピートはゲイであることで苦い記憶があるため、積極的にはなれず…。その後もピートは、ピンチになると駆けつけてくれる王子様のようなエーにどんどん惹かれていきますが、この恋は叶わないと勝手に幕引きをし、想いを閉じ込めようとしてしまいます。しかし、一方でエーもまた、徐々にピートに対し、“何かしてあげたい”“いつも考えてしまう”と、その気持ちを自覚していきます。 そう、それが恋、それが恋なんだよ! 初恋に戸惑いながらも、ストレートに想いを伝えようと動き出すエーのカッコよさに、何度テレビの前で「頑張れぇぇ!」と叫んだか…。この正月、箱根駅伝ばりにふたりの恋愛を応援したくなった(?)ことは間違いありません!

ラブ・バイ・チャンス/Love By Chance
左:ピート 右:エー
(C)Studio Wabi Sabi. All rights reserved.

 ただ、本作には愛らしいラブストーリーのほかに、カミングアウトの問題や、アウティングなど、ふたりにとって大きな壁となるできごともしっかりと描かれていきます。そのたびに、周りがどう変化していくのか、そして本人たちがどう変化していくのか、ちゃんと描かれているからこそ、より応援したくなるのです。

ラブ・バイ・チャンス/Love By Chance
(C)Studio Wabi Sabi. All rights reserved.

 さらにもう1組、見逃せないカップルが登場します。エーと同じサッカー部のキャンは、名前をなぞるようにキャンキャンうるさく、中身はまるで小学生のような男の子。でも友情に厚く、天真爛漫な魅力にあふれています。そしてピートと同じ学部で、冷徹でセレブな御曹司であるティンは、口を開けば憎まれ口をたたきますが、実は心に深い傷を負っていて…。凍てついたティンの心をほぐすのは、まさかのキャンなのですが、彼がどうにもこうにも鈍すぎて観ているこっちがジリジリ…。実はこのふたりのお話は人気を呼び、『A Chance To Love(Love By Chance2)』ではメインカップルとして登場。その理由がしっかりと分かるティン×キャンのお話もぜひ楽しんでください。

ラブ・バイ・チャンス/Love By Chance
(C)Studio Wabi Sabi. All rights reserved.

 実は本作は、大人気ドラマ『TharnType the Series』の3年後を描いた世界。演じるキャストは違いますがタイプやター、タムなどが出演します。それもあって、『TharnType the Series』にはティンとピートがカメオ出演していますし、そこでのセリフに「!?」と驚くところがあるので、一緒に観て楽しんでくださいね。

 相手がいるからこそ、思い通りに行かない“恋”。苦しくて、切なくて、でもどうしようもなく会いたくて、自然と涙がこぼれて…。つらくもあるけれど、恋愛は素晴らしい。そんなことを教えてくれる本作を、いまあらためてじっくり観てみることをおすすめします!

文=吉田可奈

※作品紹介に誤りがありました。修正の上、事前の確認不足についてお詫び申し上げます。

<プロフィール>
吉田可奈:好きをとことん広めたいエンタメ系フリーライター。ダヴィンチやInRed、俳優誌などで執筆中。