このままではアナタの給与が大幅ダウン!? 生き残るために必要な資質と働き方とは?

ビジネス

公開日:2021/1/4

『給与クライシス』(平康慶浩/日本経済新聞出版)

 コロナショックによる経済の大打撃、リモートワークやフレックスタイムなどの導入。企業はこれまで以上に効率や成果を重視するようになった。今まで通りの働き方で、今後同じ給与がもらえる保証はないという。
 
『給与クライシス』(平康慶浩/日本経済新聞出版)は、アフターコロナの社会で評価されるであろうスキル、転職の考え方、学びなおしのヒントなどを伝授してくれる1冊。ここでは、社会の現状や今後の展望、求められる働き方を説明しつつ、評価とスキルをあげるための方法について紹介していきたい。

【現状】残業代も異動も昇格もなくなる!? 成果主義による新しい仕組み

 冒頭でも触れたとおり、多くの企業でリモートワークや短時間勤務などの働き方改革が加速した。この風潮は今後も続き、同じ場所・同じ時間に働く機会はより減少する。場所に縛られず自由に働くことができるようになった反面、会社は「成果」でしか評価できなくなった。

 成果主義が進むと、残業は真っ先にカット、ボーナスや退職金も徐々にダウンするという。効率よく成果を出すために職務は専業化され、専門外の部署への異動は廃止。役員についても、これまでのように社員からの昇格ではなく、スキルを備えた有力者を外部から採用することになるのだ。

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 これまで何度も「働き方改革を進めよう」と旗印があがっていたが、目立った変化がなかったのは知ってのとおり。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行で働き方は一変。今度こそ、企業はもちろん、そこで働く私たちの考えをアップデートしなければならないのだ。

【展望】今後求められるのは“マネジメント人材”!

 成果主義と言うのは簡単。しかし、成果主義の利点を生み出すためには、従業員が最大のパフォーマンスを発揮できなければならない。だからこそ、業務の効率化や労働者の環境改善が必須だ。そこで企業に課題とされるのが「DX」と「ダイバーシティ」の2つ。

 DXはデジタルトランスフォーメーションの略で、直訳するとデジタル変換。例えばAIの文字認識を使った書類のデジタル保存、入力作業や顧客応対の自動化など、その名のとおり従来の仕組みをデジタル化することを言う。ダイバーシティは多様性を意味し、性別や年齢、職歴、国籍、ライフスタイルなど、多様な人材が所属する状態を表す。男性の育児休暇取得や女性の管理職登用などを増やそうという働きかけは、その対策の一環と言える。

 これらは従来通りのトップダウンの指示だけでは実現できない。ただ言われるだけの命令では部下のやる気が削がれてしまうからだ。部下と上司が対等な立場で互いを理解・尊重し合えるチームでなければ、パフォーマンスは上げられないのだ。

 そこで重要になるのが、先の展望を見据えつつ、柔軟な判断ができる「マネジメント人材」。イメージするならば坂本龍馬や西郷隆盛のような、人を束ねチームをまとめる存在だ。大きな歴史のうねりの中、藩を、日本を導いた彼ら。企業が大きく変わる、まさにこのときも同じということなのだろう。

【対策】日々の仕事にちょっとした工夫や意見を加えよう

 とは言え、坂本龍馬や西郷隆盛らが持つマネジメント能力を誰もが一朝一夕で身につけることはできない。では、一体どうすればそのスキルを高めていけるのか。そこで紹介したいのが、仕事にちょっとした工夫や意見を加えるという視点だ。

 例えばプレゼンの資料を作るとき、ただ自社のサービスを紹介するのではなく、相手の業界をリサーチして役立ちそうな情報をちょっと添えてみたり、担当者が興味を持ちそうなネタを混ぜてみたりする。

 そう繰り返すことで、さまざまな視点で考えるクセがつき、自分だけの“味”や“深み”も出てくる。そこから人と違う発想が生み出せるようになれば、周りから「デキる人」と評価され、社内に欠かせない「頼れる人」として重宝される…はずだ。

 まだまだコロナが“アフター”とならない今日この頃。先行きが不透明で、不安が募るという人も多いだろう。しかし、仕事にまつわる今後の変化や展望が分かれば、効果的な一手も考えられるはず。本書があなたを支える“転ばぬ先の杖”となることを願っている。

文=冴島友貴