寝不足でパフォーマンスは低下する! 自分にとって最適な睡眠時間を知る方法
公開日:2021/1/14
年齢を重ねるにつれて、気合だけではどうにもならなくなってくるのも事実だ。日々の疲れも溜まり、体がふと重くなったりだるくなったり…。改善の仕方は色々と思い浮かぶところだが、睡眠こそが「健やかで活力に満ちた生活をプレゼントしてくれる最良の友」と主張するのは、専門家による書籍『Sleep,Sleep,Sleep』(クリスティアン・ベネディクト、ミンナ・トゥーンベリエル:著、鈴木ファストアーベント理恵:訳/サンマーク出版)である。
睡眠研究のスペシャリストによる本書を読めば、健康的な生活を送るために欠かせない“眠り”に関するあらゆる知識を学べる。
日中に、無意識に受け取った、あらゆる情報を整理する
睡眠はなぜ必要なのか。それを知るためには、対極にある「覚醒」ついて考える必要がある。
本書によると「目が覚めている間、人は望もうと望むまいと、つねに情報収集を余儀なくされている」という。たしかに、意識せずとも街中の雑音や通りすがりの看板に書かれた情報が入ってくるし、とにかく覚醒しているときは「体と脳は絶え間なく新しい情報や状況」にさらされている。
そして、深い眠りへつくにつれて、人間はだんだんと情報収集能力が低下していく。日中に吸収する情報が多かったのを受けて、脳に溜まったよけいな情報を整理するための時間として、眠りにつく時間というのは、誰にとっても欠かせないものとなっている。
睡眠不足は日頃のパフォーマンスにも影響
それぞれの事情により、日常的に「睡眠不足」へ陥ってしまっている人たちも少なくないかもしれない。ただ、睡眠不足は私たちの体にさまざまな影響を及ぼす。
例えば、本書では「集中力や創造性の欠如」「衝動的な反応」「記憶力の低下」などが取り上げられている。また、なかでもとりわけ気になるのは「実行機能」が損なわれるということだ。実行機能とは「感情や思考、行動をコントロールする精神機能」で、身の回りの状況を正しく把握して判断する機能を指し、日頃のパフォーマンスに弊害も生じかねない。
この他、不安をおぼえやすくなる、衝動的で短気になるなど、仕事やプライベートの両面で生活に影響を与えてしまうのだ。
気の向くままに眠って最適な睡眠時間を測る
一般的に、睡眠時間は“1日8時間”が理想だとされている。しかし、なかには短時間でも安眠できるショートスリーパーと呼ばれる人もいる。本書では、自分に必要な睡眠時間のテスト方法が紹介されている。
やり方は単純で、目覚まし時計を使わずに何日間か気の向くままに眠ってみるだけ。これをすることで、自分の体がどれほどの睡眠時間を必要としているかが分かる。なお、早起きをする必要がない連休中にやってみるのがよい。
また、簡単でもよいので自分がどれほどの睡眠時間を必要としたかを記録する「睡眠日記」を付けてみると、より正確に把握できる。ただし、週末に長く眠ることで日頃の睡眠不足を補う人も少なくないため、可能であれば平日も含めたある一定の期間で試してみよう。
ベッドで横になり、目を閉じてもなかなか寝付けない。眠っているはずなのに疲れが取れないなど、睡眠についての悩みは意外と多いもの。本書を通して、自分自身の睡眠環境をいま一度見直してみてほしい。
文=カネコシュウヘイ