女性が気になる男性の不潔ポイント「爪」「足もと」「肌」。ケアを日常に取り入れよう!/大人男子の「超」清潔感ハック⑤
公開日:2021/1/23
「年齢を理由にあきらめる」のはもう古い。今や男性でもスキンケアをして、肌の手入れをする時代。現役美容師であり、YouTubeチャンネル登録数10万人を超す宮永えいと氏が、アラサーから意識するべき「大人男子の身だしなみ」の新常識をご紹介!
男性の不潔で気になる点③「爪」
「末端は汚れやすくもあり、磨けば光りもす」という僕の名言があります(笑)。髪の毛先、足の指、ベルトの先端、スマートフォンの四つ角……どれもすぐに劣化する部分ですが、逆にそこさえ磨いていれば清潔に見えやすい部分でもあるということです。
爪の処理はトップセールスマンやギタリスト、マジシャンなど、見られる意識が強い人は長年きれいに整えています。 ご自身の爪先を見て「もっとこうすれば清潔感が増すかな?」と考えてみてください。
「適当に切ればいい」をやめてみる
「爪をきれいにすれば清潔に見えるのはわかる。でも、切る以外に何か方法はあるのだろうか?」
男性なら誰しもそう考えるでしょう。ケアはもちろんですが、予防や爪に関する動作についても、女性から意見をいただいているので紹介しましょう。
【爪が長いと負のサイクルが起こる】
爪が長いと、ちょっとしたものをつまんだり、鼻をほじったり、何かと便利なことが多いものです。しかし、その動作自体が不快であったり、あるいはその動作によって爪の中にゴミが溜まったりします。さらにはそのゴミを取ろうとコマコマと掘ったり……。こう考えると負の連鎖でしかありません。
まだスマホが普及していない頃、電車に乗っているときは音楽を聞いてボーッとするのが定番でした。じっとしていればいいものを、無意識に爪のゴミをほじり、パラパラと床に落とすという、今考えると不快極まりない行動をしていたことがあります。そんな人の隣には座りたくもありませんよね……。
そうならないためにも週に1回は爪を切り、不快な行動の原因からシャットダウンする必要があると思います。
【足の爪の手入れも忘れないように】
爪と言うと、手の爪のみに一生懸命になる方が多いです。もちろん、手を中心にケアや予防を行うのはよいことだと思いますが、比率が10対0になってしまってはもったいない。外ではきれいに保てていたものの、靴下を脱いだら足の爪が伸び放題! それに加えて靴下のゴミも溜まっていてくさそう……という方をサウナでよく見かけます。
ビジネスではなかなかお披露目する機会は少ないですが、女性への身だしなみのために、足の爪もセットで手入れしていきましょう。足の爪こそ末端です。ここを磨けば清潔感は一気に輝くでしょう。
【爪は切った後にやすりをかけたほうがよいのか】
爪切りの裏に付いている簡易的なやすり。あの小ささと操作性の悪さでやすりをかけない人生でしたが、ネイル専用のやすり「メンズグルーミングキット」に入っていたものを使うようになった途端、カット後のやすりがけが習慣になりました。
メンズグルーミングキットとは、爪切りやピンセット、ミニバサミなど、身だしなみに役立つ道具がセットになったアイテムです。ネイル専用のやすりは小回りも利いて使いやすいので、自分好みに爪をカスタムできます。足の小指などは爪切りだと衝撃を与えて縦割れしてしまうこともあるので、優しくやすりをかけるだけで十分なケアになります。
女性との夜の前、一生懸命に爪を切って対策をしますが、実は逆効果の可能性もあるというのを覚えておいてください。切ったばかりの爪は断面に角があって危険です。やすりをかけて角を落とすのも、男性の身だしなみに有効です。
美容師はシャンプーのときに過ってお客様の頭を爪の角で傷つけてしまう可能性があるので、常に丸く削って手入れをしているのです。
「切るだけ」からさらにレベルを上げる
初歩的なことはやっているけど「手を見られる機会が多いからワンランク上を目指したい」という方もいらっしゃるかと思います。名刺を受け取るとき、スマホを持っているとき、相手に資料を見せるとき。そんなときのために、もう一歩、爪のケアをレベルアップする方法もご紹介していきます。
【女性では当たり前の甘皮処理をやってみる】
爪の根っこにある、うっすらと爪を覆う皮膚のようなものを甘皮と言います。女性は当たり前のケアとしてやられている方が多いのですが、男性にはあまり知られていません。ここを処理すると、爪が長く見えたり、爪がより健康的になるというメリットがあります。
セルフケアをする場合は、ユーチューブで「甘皮 ケア」と検索すればプロのネイリストのコンテンツが豊富ですし、あるいはネイルサロンに行って1度よい状態を知っておくのもおすすめです。
【マットコートへの抵抗感をなくそう】
爪のケアをするうえで最上位に来るのが「塗る」という行為。「そこまでしたらネイル感が出て抵抗があるなあ」と考えている方が多いと思いますが、実はこれが意外といいんです。
女性のネイルはかわいい色や立体的なデザイン、ツヤッとした質感がポピュラーですが、メンズはマット・透明のみです。塗っている感はないですし、爪の凹凸やムラが消え、マットな膜が1枚貼られたようで清潔感がグンと上がります。高級車にマットシートを貼ってきれいに見せている感覚でしょうか。
切って、やすりをかけて、甘皮を処理して、マットコートを塗れば、手の印象がガラリと変わるでしょう。なぜか所作までもきれいに見えるので、マジシャンなどがよく手入れをしているのも納得できます。
【肌と同じように爪も乾燥する】
爪の縦ジワが気になることがありますよね。これが深くなってくるとおじいちゃんのような見ためになりがちです。
この原因として挙げられるのが、老化と乾燥です。爪も肌と同じように保湿が必要なので、ハンドクリームを爪の周りや指先などに 塗って潤いを与えましょう。
男性の不潔で気になる点④「足もと」
「おしゃれは足もとから」という言葉があります。単に「ファッションの入り口は靴だ」という意味だけではありません。足もとには生活態度や性格が出やすいため、足もとの管理で判断されてしまうという説もあります。
女性はヒールを履いたり、フットネイルをしたりして足もとにも気を使っているため、男性に対しても厳しくなりがちなのかもしれません。
ボロボロですり減った靴は履かないように
以前、仕事用にプラダの高級シューズを購入し、愛用していました。履き始めた頃は靴ずれすらも清々しく、プラダを足もとにまとう自信で快適だったのを覚えています。
けれど、気に入って履き続けること数年、「その靴、もうヤバいですね(笑)」と女性に言われてギョッとしました。 革はひび割れ、靴底も斜めにすり減っており、 言われてみれば限界でした。愛着が湧きすぎていて、これらの傷みすら気づいていなかったのです。
以前、カスタムを続けたパソコンに愛着が湧きすぎてしまい、毎日かばんに突っ込んで持ち歩く生活を続けていたところ、気づけば傷だらけのパソコンで打ち合わせということもありました。
どうやら相棒への愛が強すぎると、中身しか見られなくなってしまうみたいです。
あなたの靴箱にある相棒は、人から見てもきれいでしょうか?
「足もとからバッチリ!」と言えるでしょうか?
明らかに靴底がすり減っていたら、歩き方からあらためたほうがよいかもしれません。そうでなくても、足は臭いが連想されやすいポイントなので、他の部分以上に清潔にしておく必要があると思います。
手入れを定期的に、毎日は履かない
革靴は週に2~3足をローテーションで履くのがよいと言われています。高級なものは勝負のとき、その前後はリーズナブルな靴で挟むのが僕流です。
メンテナンスは月に1回、休みの日に一気に3足をきれいにします。 ブラシをかけ、オイルを塗り、乾拭きをする一般的な方法です。最後に防水スプレーをかけて完了です。
靴のメンテナンスで気づいたことは、スキンケアと一緒だということです。観察するのも、保湿をするのも。肌は敏感なためスキンケアでは肌を擦らないようにしますが、同じようにシューケアでも、靴を履くときは靴べらを使って革に負担をかけないよう心がけます。
共通して考えられることが多いので、どちらかを覚えれば応用が利くかもしれませんね。
ダサい靴下はやっぱり恥ずかしい
「チラッと覗いた靴下が合ってないと、瞬間的に『ダサ!』って思ってしまいます」という女性の声がありました。
コーディネートに関して、見えない靴下までこだわる人は何割くらいいるのでしょうか。トップスやボトムスはこだわりを持って購入するものの、靴下は誰かに買ってきてもらったり、適当に買ったり……なんてことはありませんか? 僕はあります。
20代前半のとき、一人暮らしの男友達の家に遊びに行ったことがありました。僕から見て彼はライフスタイルがイケていて、オシャレ感があふれ出ているような青年でした。
インテリアも北欧風で素晴らしかったのですが、ご飯を出してくれたときに拍子抜けしました。明らかに実家の引き出物から持ってきたであろう「花柄のダサい食器」だったのです。このとき、僕は瞬間的に「おお、ダサい!」と思ってしまいました(ごめんなさい)。
整った全体像の中に、一部だけ他人の価値観が入り込むと「ダサい違和感」が生まれるのだと思います。これを思い出したとき、冒頭の女性の言葉に納得したのです。パリッとした黒いスーツに、カジュアルなチェックの靴下がチラ見えすると、もったいなさを感じざるをえません。それをきっかけに、僕はユニクロの黒無地ソックスを10足買い、 少しでも毛羽立ってきたら買い替える生活をしています。どんなときでも黒なら違和感がないですし、洗濯物を畳む際の「靴下神経衰弱」がなくなるので時短にもなります。
「靴を脱いでも誇れる状態」になっているか
足もとへ細心の注意を払うようになったなら、気にすることは1つだけです。それは「靴を脱いでも誇れる状態なのか?」ということです。
靴を脱いだとき、だらしない部分や気を抜いた部分が丸裸になります。具体的に言うと、「靴下が汚くないか」「靴下が毛羽立っていないか」などです。 手入れをしていなくとも、靴下はだいたいスボンの裾に隠れてしまいますし、騙し騙し履くことは可能です。けれど、御座敷など急に脱ぐ場面がやってきて、「まずい、自分はほかの人より最後に脱ぎたい」と思ったら準備不足ですよね。
「靴を脱いでも足もとが清潔な状態」を保つ準備を心がけると、自然と習慣になってきます。僕もマッサージ屋さんや、マンションの一室のオフィスにお邪魔する機会が増えたので、常に清潔な状態を保つようにしています。
余談ですが、僕は革靴のソールにブランド名の印字が入っているものをよく購入しています。なぜかと言うと、印字がすり減って消えてくるのが「劣化の合図」と決めているからです。愛着が湧くとついつい履きつぶしてしまいがちですが、印字はすり減ると復活しないので、よいアラーム代わりになります。
男性の不潔で気になる点⑤「肌」
女性へのアンケートで興味深かったのは、肌に関する回答でした。
ニキビや肌荒れなど、改善するのが大変な点に関しての否定的な回答は一切ありませんでした。やはり肌の悩みは、女性も同じく抱えているものです。「肌荒れはよくない!」なんてことは言わないのです。
一方、口を揃えて言っていたのは、「肌が放置されている状態が嫌」というものでした。男性は放置したり、そもそもトラブルに気づいていないケースも多いので、女性は気になってしまうところが多いのでしょう。ついつい目が行ってしまう(男性が放置してしまう)部分はどこなのでしょうか。
唇が乾燥してビロビロの状態
人の第一印象を数秒で判断するうち、顔の割合は7割ほどと言われています。
肌のケアは男性でも関心が増してきていますが、唇のケアまでしている人は少ないと感じます。特に冬場の乾燥する時期、唇がパックリ縦割れしていたり、バサバサな人を見かけることは多いですよね。
唇を放置した人を見ると、口臭を連想します。逆に、きれいにケアされているとそう感じにくいのです。第一印象で口臭を連想される可能性は、なんとしてでも避けたいところですよね。
【唇の荒れは肌よりも早く改善する】
「そもそも唇とは何なのか」から考えてみたいと思います。
唇は皮膚と違い、汗腺や皮脂膜がない粘膜の一部です。そのためバリア機能も少なく、とてもデリケートな部分なのです。さらにメラニン色素も少ないため、紫外線の影響も受けやすく、とてもか弱い部分だということがわかりますね。
荒れる原因としては、飲食、舐める行為、歯磨き粉のような化学的な刺激、あるいは乾燥や体調などにも左右されます。
唇も肌と同様に、細胞の生まれ変わりが定期的に行われます(これをターンオーバーと言います。詳しくは第3章でご紹介します)。肌は約28日周期と言われていますが、唇はなんと3~5日周期です。
今、自分の唇を見てガッカリした方も、唇の荒れは肌より早く改善されるはずです。しっかりケアしていきましょう。
【リップクリームは保湿用に常備】
縦割れやビロビロ、乾燥には何と言っても保湿です。保湿さえできていれば、この問題はほぼ解決に近づきます。
ご飯を食べたら口を拭いて、リップクリームで保湿。このステップを習慣にすると唇の状態は変わります。
たとえば辛いラーメン、ポテトチップス、脂っこい肉は皆さん好きだと思いますが、そんなものを唇に乗せたままでは当然、刺激になります。食後に唇をペロッと舐めれば大丈夫と思っても、そもそも舌が汚いから意味がありません。それに、舐めたところで、保湿因子がないのですぐに水分は飛んでしまいます。
お手拭きは片面を残しておき、食後に拭いてリップクリームで保湿しましょう。
最近では男性向けのカッコいいパッケージのリップクリームもたくさん売られています。コソコソと女性用のかわいいパッケージのリップクリームを塗る時代は終わりです。ぜひ自分が常備していてモチベーションが上がるリップクリーム探しから始めてみてください。
【たまには角質を落とす特別なケアを】
古い角質が溜まっているとガサガサの原因になります。指で擦ったり、無理やり剝いたりすると刺激になって逆効果になります。そんなとき、角質を優しくオフするケアをしてあげると、すっきりきれいな唇に生まれ変わります。
方法はさまざまですが、僕はリップスクラブというアイテムを使っています。その名の通り、粒々のスクラブで角質を落としてくれ、さらに保湿もしてくれるので一石二鳥です。「ガサガサしてきたな」と感じたら、週に1回程度でいいのでトライすると改善しやすくなりますよ。
顔に粉が吹いていたり、ギトギトの状態
こちらも「ケアをしていないのがバレバレな状態」ですね。
実は僕も、以前は顔に粉が吹いている状態で仕事をしていました。先輩に「顔が粉粉だから、化粧水買ってこい。そんな状態でお客様の前に立っちゃダメ」と言われ、初めて自分の顔に粉が吹いていることを知りました。
気にかけていなければ、自分の顔が粉だらけだなんて気づきもしません。ですが、 僕も含めてほとんどの男性が「気にしていなかった」時代があるのです。だから改善した今は余計に気になり、人に言いたがるんですね。かくいう僕も、今では粉粉・ギトギトな男性は気になってしまいます。
【顔面の粉吹きの原因は乾燥肌】
肌に水分が足りていないうえに、室内の空調の影響による乾燥で余計に水分が奪われていく結果が、粉を吹く状態です。
もともと乾燥肌の方でも、男性はボディソープでそのまま顔を洗っていたりします。ちゃんと洗顔料を使っていてもゴシゴシと手で顔を擦っていると、知らぬうちに刺激を与えたり、皮脂を奪いすぎている可能性があります。
乾燥肌用の洗顔料で優しく洗ったり、洗顔後の乾燥する前に化粧水や乳液で保湿しておくことが大事です。
僕が粉粉で出勤していたときは、まさにボディソープで洗顔をして、体を流すときと同じ熱い温度のシャワーで流し、保湿ケアは一切していませんでした。今考えると恐ろしいですが、ケアをするようになってから粉は1度も吹いていないですし、乾燥特有のパキパキとした痛みやかゆみもなくなりました。
【乾燥が「肌ギトギト」の原因の1つ】
一般的に男性は女性に比べて皮脂の分泌量が3倍と言われています。だから、「ガッツリ洗おう!」「皮脂をしっかり落とそう!」という発想になるのはわかりますが、そうするとさらに皮脂を分泌しかねないのが現実です。
そもそも皮脂は人間のバリア機能に欠かせないものです。適度な皮脂の分泌は必要なものですが、過剰となれば見ための問題や肌トラブルの原因にもなります。
意外かもしれませんが、過剰な皮脂分泌の原因の1つが「乾燥」です。脂性肌の方ほど洗いすぎたり、ベタつくからとスキンケアをしなかったりしますが、それが原因で洗顔後は一時的に乾燥します。すると、肌が乾燥状態を防ごうと過剰な皮脂分泌をし、その結果ギトギトになるという悪循環が起こってしまうのです。
スキンケアに関して、詳しくは第3章で解説していきます。
さて、女性からのアンケートをもとに「男性の不潔で気になるポイント」を5つ解説してきました。身だしなみを整えるうえでの最低限の心得かと思いますが、完璧にできているかと言うと100%ではないことも多いはずです。
いずれも、ケアを日常に取り入れれば、見ためも整い、QOL(Quality of Life、生活の質)も上がることでしょう。
身だしなみチェックが終わったところで、次章からはいよいよ、大人男子の身だしなみの重要なポイントである「スキンケア」「メンズメイク」「ヘアスタイル」「ファッション」についてご紹介していきましょう。
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