ミスをすると立ち直れない? 気持ちの切り替えが苦手な人は…/精神科医Tomyの自分をもっと好きになる 「自己肯定感」の育て方⑤
公開日:2021/2/3
Twitter上で多くの人の不安や悩みを吹き飛ばしてきたTomy先生が、自己肯定感を見つけて育てていく方法を、さまざまなケースから読み解きます。これであなたも、肯定感が持てないパターンと対策がわかる!

ミスすると立ち直れない
はい、今日のご相談は28歳のOL、喪変女ダロさん。早速いってみましょうか。
はじめましてTomy先生。私の悩みは、ミスするとかなり尾を引いてしまうことです。「自分はなんてダメなんだ」とクヨクヨしてばかり。自分のことを恥ずかしいと思ってしまい、会社に行くのもつらくなるほどです。
そのくせ、ミスもわりと多いほうなので普段からびくびくしています。昨日も大きなミス、しかも以前と同じミスをしてしまいました。上司からは軽く注意されただけなのですが、みんなにだいぶ迷惑をかけ、冷たい視線を浴びまくっているような気がしてなりません。
一体どうしたらいいんでしょうか?
ミスするとクヨクヨして立ち直れない人って、二つの面があると思うのよね。
一つは気持ちの切り替えが苦手。
もう一つはクヨクヨすることで心のバランスをとっている。
まず気持ちの切り替えの苦手な人は、いったんネガティブモードになるとそこからなかなか戻ってこないのよね。まあ、どんなに気持ちの切り替えが遅くても、延々と同じ感情が続くわけではないから、そのうち戻ってくると思うんだけどね。
それでも切り替えるのが苦手なら、「まず今やるべきこと」を考えて、そこに目を向けるべきだと思うのよね。
ミスするってことは、ミスしないようにしなきゃいけない。だから、やるべきことはあると思うのよ。そこで「あーーー、ミスしちゃいけないのにまたミスする私ダメだあ」とかスイッチ入れ直しちゃダメよ? エンドレスエンドレス。
たとえば、ミスしないように手順を変えるとか、誰かにチェック入れてもらうとか、ミスしやすい状況を分析してそこを直すとか、やることなんていくらでもあるのよ。
で、それを実行したり、会社に提案したりすればいいだけなんじゃないかしらね。ほら、会社ってアナタに自分を責めてもらうために注意しているわけじゃないでしょ。そんなことしても会社はまったく利益はないんだから。同じミスをしてほしくないから注意するわけよ。
だから根本的にその具体的な方法を考えていれば、勝手に意識がそっちに振り分けられるわけ。自分を責めちゃうときって、いわば「頭がお暇もらってる状態」なのよ。お暇があるから責めちゃうわけ。そこをちゃんと働かせてあげれば嫌なことを考えずに済む。
そしてその内容を会社に報告して、「いつも同じミスばかりするので、こうしてみたいと思うのですがいかがでしょうか、キリッ」って感じで言えば「おーがんばってるじゃん」となって自分のことは責めずに済むわ、評価も上がるわでいいことづくめなんじゃないかしらってアテクシは思うのよね。
あと、もう一点、自分を責めるっていうのは防衛機制の一つでもあるわけなのよね。防衛機制っていうのはね、もともと精神分析ってジャンルから出てきた考え方なんだけど、簡単に言うとね、人間には自分が認めたくないことがあると、自分の気持ちに加工してバランスとろうとするのよ。その仕組みのことを防衛機制っていうのね。
一番単純な防衛機制は否認。まあ、「そんなことはない」って否定することね。たとえばさ、小学生ぐらいの男の子が好きな女の子に「お前のことは嫌いだ」なんて言ったりするじゃない。あれも否認の一種よ。
他にも、本当は自分が相手のことを嫌いなのに、「相手が私を嫌っている」と思うことがあるわ。これは投影という防衛機制。自分が抱いている都合の悪い感情を相手がもっていると思うことで、心のバランスをとろうとしているのね。
また、攻撃というのも防衛機制です。自分の心のバランスをとるために、相手を攻撃するとかね。
今まで取り上げた防衛機制は、なんとなく嫌な感じがするものが多いけれど、素敵な防衛機制もあるわ。
たとえば、昇華。これは自分の中のネガティブな感情をスポーツや芸術表現などに置き換えるといったものなのよ。
では、なぜ自責が防衛機制なのかについて説明してみるわね。自分を責めるという行為は決して快適なものではないけれど、すぐに解決できない問題が起きたとき、とりあえず何とかした気分になる、というメリットもあるのよ。また、本当に向き合わなければいけない問題に直面することも避けられるから。だから、
自分を責めることにも意味がある
って認めることも大切なのよ。
今やるべきことをやって気持ちを切り替える
クヨクヨする気持ちにも意味があると認めてあげる
この二つの方法でしのいでみて?

