はじめに

幸せになる権利を他人にゆだねるな

　ついに、あなたがこの本を手にする時がきました。

　ただ、最初にお伝えしたいのは、この本の内容に怒る人もいるだろうということです。

　ある意味では「この内容を公開しなくてもよかった」と言ってもいいかもしれません。

　それでは、なぜこの本を書いたのか？

 

　その理由は……

　あなたを含めて、多くの人が頑張っているからです。

 

「家族のため、会社のために遅くまで働いたり」

「子供のために朝早く起きてお弁当を作ったり」

「理不尽な仕事に耐えながらも休むことなく会社に出勤したり」

「人間関係に悩みながらも、我慢して人付き合いを続けたり」

「正体のわからない新しい何かを渇望するモヤモヤと日々戦ったり」

 

　多くの人がそれぞれの状況で大変でありながらも、本当に頑張っている。

　頑張っていますよね。耐えていますよね。

　あなたは、すごい人です。

　ただ、残念ながらここであなたにお伝えしないといけない話があります。

　それは「多くの人の日々の頑張りは、科学的に正しくない」ということです。

 

「ええっ、毎日頑張って努力しているのに正しくないなんてひどい……」

　そうがっかりする人もいるでしょう。

 

「こっちがどんな気持ちで毎日頑張って生活してると思ってるんだ！」

　そう怒る人もいるかもしれません。

 

　誤解しないでいただきたいのですが、「日々の頑張りが無駄だ」と言っているのではありません。ただ、日々のその努力は「生きるための努力」であり「あなたを幸せにする努力」にはなっていない可能性が非常に高いということなのです。

 

悪いのは決してあなたではない

　世の中には、同じ年齢、同じ性別、同じ仕事、同じ年収、同じ場所に住んでいても〝幸せな人〞と〝不幸な人〞がいます。

　この違いはいったい何によるのでしょうか。

　その答えはとても簡単です。

 

「幸せになるための授業を受けたか、受けていないか」の差だけです。

　たとえるなら、算数を学んだ人は計算ができるし、学んでいない人は計算ができない。

　これとまったく同じように、あなたが「幸せになる」か「不幸になる」かは、単純に「幸せになるための知識の差」だけなのです。

 

「あなたは学校で〝幸せになるためのメカニズム〞の授業を受けたことがありますか？」

　おそらく99.9％の人が「いいえ」と答えるでしょう。

　心理学が学問として認められるようになって100年以上経ちますが、その長い歴史に反して、これまで「人はどんな時に幸せだと感じるのか？」に関連する研究はほとんど進んでいませんでした。しかし、ここ40年近くで、そんな「幸せに関する研究」は急激に進み、今や、人はどのような時に幸福感が高まったり、どんな行動をすると幸せを感じるかなどのメカニズムが科学的に明らかになっています。

　そう、今は科学的に「自分で自分を今以上に幸せにする」ことができる時代なのです。

 

　本書では、偉人の逸話や名言、過去の教訓、礼節などを並べて「人はこうあるべきだ」など、非科学的な「こう生きると幸せになります」という話をするつもりはまったくありません。

　本書で紹介するのは、これまでのあなたの常識をくつがえす驚きの内容であり、科学的な裏付けに基づく、「自分で自分を今以上に幸せにする」ための知識ですので、間違いなくあなたのお役に立てることでしょう。

　ただ「そんなの信じられない」という人のために、ここで簡単な例を紹介します。

 

「科学的に幸せになる」具体的な方法とは

　たとえば「一日一善」は私たちを幸せにしてくれないことが科学的にわかっています。1日1回程度の良いことでは、人間の脳は1日の終わりに自分がした行いを忘れてしまうからです。それでは、私たちはどうすればいいのでしょうか？

 

　また、好きなことをやっているだけでは幸せになれないこともわかっています。

　信じ難いことに、20代と60代の幸福度はほぼ同じで、80代のほうが20代よりも幸福度は高いという事実があります。

　さらに、スターバックスでのあなたの過ごし方で、あなたの幸福度が判明したり、幼少期の母親との関係次第で、子供の将来の年収に870万円も差が出てしまうといった非常に興味深い研究結果もあります。

　そして、幸福度が高い社員は幸福度が低い社員に比べて、創造性が3倍高く、生産性は31％、売上は37％高いことも明らかにされています。また、別の研究結果によると「年収が2倍になっても、私たちの幸福度はたった9％しか上昇しない」などの衝撃の事実もあったりします。

 

　どうせなら、「生きるための努力＝自分が幸せになる努力」であるほうがいいと思いませんか？

 

　そのため本書では、科学的に自分を幸せにするための方法を誰もが実践できるように、順を追ってお伝えしていきます。

　序章では、99.9％の人が知らない残酷な真実についてお伝えします。

　第1章では、幸せになるための「お金の使い方」を具体的に説明していきます。「お金は私たちを本当に幸せにしてくれるのか？」という疑問が解消されてスッキリするでしょう。

　第2章では、「嫌われる勇気が不幸の始まり」をテーマに、幸せになる人たちの「人間関係における共通点」や、科学的に「誰からも嫌われない人」になる方法を紹介します。

　第3章は、結婚や恋人など、パートナーシップにおける大切な真実をお伝えします。最先端の研究から見る「結婚と幸福度の関係」などを解説していきます。

　第4章では、あなたの幸せに影響を与える要素＝「感情」のメカニズムを解説するとともに、「ポジティブ思考」という病から抜け出すための実践法も紹介します。

　第5章では、「科学的に行動量を増やして努力を継続させる」をテーマに、本当の自分が見つかる「カレンダー・マーキング法」などの具体的な手法をお伝えします。

　第6章では、あなたの今の〝幸福度〞を科学的に測定することができます。さらに、好きなことをやっているだけでは幸せになれない本当の理由もわかります。

　第7章は、「働きながら幸せになる反則技」が盛りだくさんです。「仕事がつまらない」「やりがいを感じられない」「今の仕事を辞めたい」……そう感じている人はすぐに読んでください。

 

人は何歳からでも変わることができる

　ただ、どんなに知識を学んでも、日常の生活であなたが行動に移さなければ現実は変わりません。

　そんなことは、あなたもわかっているはず。

　でも、行動できない人が多いのも事実です。

　しかしながら、行動しない責任は本人ではなく、お伝えする私たちのほうにあると思っています。

　学んだ本人が行動に移せないのは、完全に知識を伝える側の問題です。

　学ぶ側のあなたに責任はありません。

　だから、私は本書では、知識をどうやって日常で行動に移せばいいかが、具体的にわかるように「行動のレシピ化」にすることにこだわりました（料理のレシピがあれば、料理をしたことがない人でも料理が作れるのと同じです）。

　各項目の内容を実践する時は、本文中にある「即実践！　行動レシピ」をそのまま実行するだけで効果を感じるでしょう。「おわりに」では、それらを1枚のシートにまとめた「実践レシピ集」を全員に無料でダウンロードできるよう準備しておきました。

 

　そして、もっとも大切なことがあります。

　読み進める中で、あなたが「これならできそう！」と感じるものがあれば、迷わず本を閉じて実行してください。最後まで本書を読む必要はありません。

　大切なのは「知識の数」ではなく「できることの数」です。

　実行して「できることの数」を増やしてください。

 

　一昔前と比べて「何が幸せか？」がわかりにくい時代になりました。

　自分にとって「これがいいことだ」と思っていても、SNSやインターネットなどで自分とは違う選択をしている人を見ると、「この選択は間違っていたのかな？」「本当にこれでいいのかな？」と、すぐに不安を感じる世の中とも言えます。

　でも、たったこの本1冊で今の不安や悩みが全て解決されるとしたら、これほど素敵なことはないでしょう。

「あなたの頑張り」が、「あなたを救ってくれる世界」へ。

　さあ、ページをめくって読み始めましょう。

＜第2回に続く＞