クールビューティな女子高生が、ヘタレなイケメン書道家に逆プロポーズ!?『水玉ハニーボーイ』の著者、最新作は禁断の同居ラブコメ

マンガ

更新日:2021/1/21

末永くよろしくお願いします
『末永くよろしくお願いします』(池ジュン子/白泉社)

 侍の異名をもつ剣道部主将の女子高生×家事力高めのフェミニンな男子高生のラブコメを描いた『水玉ハニーボーイ』。著者の池ジュン子さんの最新作『末永くよろしくお願いします』(白泉社)の主人公もまた、男女問わず魅了していくクールビューティな女子高生・鷹司輝(たかつかさ・ひかる)、16歳。唯一の肉親である父親を亡くし、名のある美術商だった父親が目をかけていた、親戚でもある23歳のイケメン書道家・葛霧清水(くずきり・きよみず)の家に引き取られるところから物語は始まる。

 輝は、作り物のようにきれいな顔立ちなのに、父が死んでも涙ひとつこぼさない鉄仮面。周囲からは気味悪がられ、学校もサボりがちだったために友達もゼロ、という孤高の少女……と思いきや。スーパーに行ったこともないという輝に「マジで箱入りだな」という清水に、返した言葉は「気軽にお嬢様と呼んでください」。思うように書を書けず、癒しのぬいぐるみたちにダイブする清水にかける言葉は「私を抱きしめますか? 前の学校ではミス聖女と呼ばれたこの私を」。

 なかなか“いい”性格をしているな、とわかってきたところからじわじわ、ハマる。無表情とふざけた言動のギャップがいい。あげく、実は幼いころから清水の書に惹かれていて、彼自身にも惚れていることを早々に明かすと、颯爽と彼の唇を奪ってしまう。「私 清水さんのお嫁さんになりますので 末永くよろしくお願いします」と清水を押し倒したのがタイトルの由来。自分の美貌を十二分に自覚したうえで、物理的にも精神的にも強気に攻める少女。最高である。

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 さらにときどき、その無表情の奥に本当に孤独を秘めているのが垣間見えるのも、いい(いや、本人にとっては全然よくないのだけれど)。父親と会えるのは年に1回程度、学校でも生徒たちに遠巻きにされ、どこにいても独りだった彼女が、好きな相手としてではなく、家族として清水を頼る姿にもキュンとする。どう考えても清水が恋に落ちないわけがなく、保護者としての理性と感情の狭間で彼が葛藤していくのであろう今後が非常に楽しみである。

 そして2巻では、ついに輝は編入先の高校に登校しはじめる。1巻のラストに登場したわんこ系金髪男子・柊と、柊の様子を気にするツインテールのギャル系女子・紅葉(くれは)とさっそく友達になり、家に招待した輝。あきらかに柊は輝を気にしている様子なのに、輝は意に介さず2人の目の前で××してしまうし、惜しげもなく愛を注ぐ姿は、男2人を恐怖で凍りつかせるほど重くて深い。清水の書道教室にかようプレイボーイの小学生・円加(まどか)もくわわり、輝の日常はますます賑やかに。2人の恋の進展だけでなく、濃ゆいキャラたちが織りなす群像劇に、ますます夢中にさせられる。

 ちなみに個人的には、輝がずっと前の高校の制服を着ていた理由にいちばん笑いつつ、はじめて描かれる彼女の超かわいい私服姿とそれにまつわるエピソードがイチオシなので、ぜひチェックしてみてほしい。

文=立花もも